女性

平成27年4月21日
 1月29日,外務省で開催された女性・平和・安全保障に関する行動計画策定についての第12回少人数グループ会合の概要は以下のとおりです。

1.出席者

 以下の少人数グループのメンバーが出席したほか,関心を有する方々20名強がオブサーバーとして傍聴されました。

〔参考〕少人数グループメンバー(敬称略)

<学識者>
秋林 こずえ(欠席) 同志社大学グローバル・スタディーズ研究科
川眞田 嘉壽子 立正大学法学部
田中 雅子 上智大学総合グローバル学部
橋本 ヒロ子 CSW日本代表
福井 美穂 お茶の水女子大学グローバル協力センター
堀内 光子(欠席) (公財)アジア女性交流・研究フォーラム
三輪 敦子 (公財)世界人権問題研究センター
目黒 依子 ジェンダーアクションプラットフォーム
<市民連絡会>
(注:各ワーキンググループリーダー/サブリーダー他5名)
石井 宏明(WG2リーダー) 難民支援協会
渡辺 美奈(WG3リーダー) アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」
武田 万里子(WG4サブリーダー) 国際女性の地位協会
与那嶺 涼子(WG5サブリーダー) コンサルタント
本山 央子 市民連絡会コーディネーター
<外務省>
和田 幸浩 アジア大洋州局大洋州課長
松川 るい 総合外交政策局女性参画推進室
他5名
<関係府省庁等>
内閣府    国際平和協力(PKO)本部事務局
防災担当
犯罪被害者等施策推進室
法務省    入国管理局警備課
総務課
大臣官房秘書課国際室
防衛省    運用企画局国際協力課
人事教育局人材育成課
人事教育局人事計画補任課男女共同参画推進企画室
警察庁    長官官房総務課
消防庁    総務課
消防・救急課
国際協力機構 経済基盤開発部ジェンダー平等・貧困削減推進室

2.議論の概要

  • (1)冒頭、外務省より、前回の少人数グループ会合にて確認・合意した内容を反映している全体統合版20150129(PDF)別ウィンドウで開くを配布し、これまで,積み残しとなっていた部分について,最終的に修正等がなされた箇所につき説明を行った上で,最終版(案)(注:序文・本文含む)の確認を行いました。また,本行動計画の別添との扱いで策定を進めている用語集についても,市民連絡会より提出があった用語の定義20150121(PDF)別ウィンドウで開くを配布し,意見交換を行いました。
  • (2)最終版(確定)の公表時期については,2月に発行される〔新〕開発協力大綱が決定してから, 女性関連のイベントである3月の婦人の地位委員会(CSW)の機会を用いて対外的に発表することを検討している点,外務省より説明がありました。
  • (3)行動計画最終版の確定プロセスと同時に,英語版についても市民連絡会及び関係府省庁にて確認作業を行っていく点,確認がなされました。なお,英語訳の草案については,現在,外務省が外部業者に委託をして作成している点,報告がありました。
  • (4)防衛省より,行動計画を実施するにあたり予算措置を行う観点からも,どの時点から「開始」とするのか等明確にする必要があり,例えば,政府部内で了承が得られた日付が一つの基準となるのだろうかとの問いがありました。これについて,外務省からは,政府部内の関係決裁を踏まえた上で計画の公表を行うこととなるが,計画の実施はいずれにしても新年度(4月以降)とならざるを得ないだろうとの回答がなされました。なお,本行動計画は,閣議にかけるようなものではなく,外務省においては大臣までの決裁をとることで調整中ですが,関係府省庁における決裁者のレベルについては,既にこれまで各府省庁内で必要な決裁を取りつつ,既に修正文言を固めてきている経緯も踏まえ,それぞれが検討・対応していくとのことで意見一致しました。また防衛省より、行動計画を実施に移すにあたり、政府一丸としての取り組みを確実なものとするため、対外公表にあわせて関係府省向けに外務省から通知文書を出して欲しい旨の言及があり、外務省からは承知との回答がありました。
  • (5)市民連絡会より行動計画の実施にかかる予算確保の現状について質問があったことに対し,外務省から,行動計画の実施という予算の項目立てはないものの,各施策は基本的に各府省庁がそれぞれの予算で取り組みを実施していくもので,「モニタリング・評価・見直し」等にかかる国内移動等(首都圏以外)については,一部,交通費負担等を行うための予算を外務省で確保しているとの回答がありました。

3.議論の結果

 各課題に関する議論の主な結果は,以下のとおりです。なお,外務省、法務省,防衛省,警察庁,消防庁から,それぞれ施策の現状等について補足説明がありました。

  • ア 「序文」における「3.日本の取り組み」(3)では,市民社会側からの要望を受けて「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム:WAW!」についても,関連する取り組みの一環として追記している。
  • イ 「III. 保護」目標1具体策2に関して,前回の少人数グループ会合での協議を踏まえて,検討を続けてきたが, GBV、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツに関する研修について,大規模災害時における消防機関の活動・役割の内容に鑑み、既に各消防本部が行っている研修以上の研修を追加実施するように各消防本部に対して助言することは困難との結論に至ったとの報告が消防庁よりなされた。
  • ウ 市民連絡会側委員より「人道・復興支援」に国内における災害復興担当省庁も入れるべきではないかとのコメントがあったが、現段階での変更は難しいので今後の見直しにおいて検討する
  • エ 事前に問い合わせがあったことを受け,「V. モニタリング・評価・見直しの枠組み」に記載の「評価委員会」について,外務省より,「審議会等の整理合理化に関する基本的計画」(H11年4月27日閣議決定)にいう「審議会等」には当たらないものとして整理しており,ついては「評価委員会」が外部に設置されるものである点をより明確にするために,行動計画案の文言を「委員会の事務局は外務省(中略)が努める」から「政府側の窓口は外務省(中略)が努める」に修正しているとの説明があった。これに対し,市民連絡会より,外部に設置されるとしても「評価委員会」の正統性が低下することのないよう、政府と市民社会との明確な合意に基づき、広く社会に説明責任を果たすための枠組が必要であるとのコメントがなされた。更に,外務省より,「評価委員会」の資料提出要求権限について,行動計画案には「委員会は,窓口を通じ,各府省庁に対して,行動計画の実施状況に関して報告を要求することができる。要求を受けた府省庁は,窓口を通じ,委員会に報告する」との記載があるが,これは,評価委員会が法令上の根拠に基づいて資料提出等を要求する権限を有し,要求を受けた府省庁は当該根拠や要求に基づいて資料を提出しなければならない義務を負う,ということは意味しないとの補足説明がなされた。また,各府省庁からの報告に秘情報を含めることは困難である点についても,改めて説明がなされた。他方,評価委員会から行動計画の実施状況に関して報告を求められた府省庁は,本行動計画のモニタリング・評価・見直しの効果的かつ着実な実施に資するよう,各々の判断に基づいてしかるべく報告することが期待されているとの点,関係府省庁と市民社会双方において確認がなされた。なお,「評価委員会」の設置については,市民社会より設置要綱案を提案したいとコメントがあった。
  • オ 「V. モニタリング・評価・見直しの枠組み」における目標2具体策5に記載の「委員会は,毎年事業評価(2カ国程度における事業の実施状況評価調査)を行う。この事業評価には,たとえば,相手国政府,関連国際機関(中略)からの聞き取り等が含まれる」の文言から「相手国」を削除し,「政府」との記載にする。
  • カ 行動計画の別添資料とする用語集について,意見交換を行った結果,以下の点,修正をすることとしました。
    • 法務省より,行動計画の別添資料とする用語集については,本行動計画に限った文であると理解しているが,いずれにしても,難民と国内避難民は違うため,難民については難民条約の趣旨に従って定義し,国内避難民については,国際協力の観点から国連等の定義も参照しつつ整理することが適当であるとのコメントを受け,法務省より修正案を提出し,外務省担当を通じて市民社会側に確認を取った上で,文言を固める。
    • 「人道上の危機的状況」は,自然災害のほか,紛争や産業事故などの人為的な災害とあり,このうち産業事故について市民社会からは国際赤十字等の定義に入っていることから記載しているとのことであったが,協議の結果,対象範囲が広がり過ぎるため,削除することとした。
    • DDRについては,D=Disarmament(武装解除),D=Demobilization(武装解除), R=Reintegration(社会復帰)についての説明のみとし,前段部分を削除する。
    • 早期警戒・早期対応の定義が曖昧でわかりにくいとの指摘を受けて,市民社会側で修正を加えつつ,必要に応じて用語集からは削除することも検討する。
    • 人身取引については,強制結婚や強制的な養子は,女性が被害者となる場合は「性的搾取」の目的に含まれることが多いものの,それらが全て人身取引の定義に当てはまるかどうかは議論の余地があるため,例示は人身取引議定書に沿って性的搾取,労働搾取,臓器摘出のみとし,前段に「少なくとも」という文言を加えたいとの外務省のコメントを採用することとした。また,手段についても,「強制的な方法」に限るとするとスコープが狭くなってしまうとの外務省コメントを受け,これを「上記の暴力,脅迫等の手段」に変更することとした。

4.その他

  • (1)今回の第12回少人数グループ会合をもって,少人数グループ会合をとおした女性・平和・安全保障に関する行動計画の最終案の作成を完了したことを受け,少人数グループ会合を終了いたします。今後,関係決裁を経て確定版を公表することとなる予定です。
  • (2)最後に和田大洋州課長より,これまでの策定プロセスを振り返り,政府側と市民社会側双方が共に学び合うことが出来,より理解が深まったと思うとの感想や,これまで策定に関わって下さった少人数グループ会合の出席者へお礼の言葉が述べられました。


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