女性

平成27年4月6日
 昨年12月18日,外務省で開催された女性・平和・安全保障に関する行動計画策定についての第11回少人数グループ会合の概要は以下のとおりです。

1.出席者

 以下の少人数グループのメンバーが出席したほか,関心を有する方々20名強がオブサーバーとして傍聴されました。

〔参考〕少人数グループメンバー(敬称略)

<学識者>
秋林 こずえ(欠席) 同志社大学グローバル・スタディーズ研究科
川眞田 嘉壽子(欠席) 立正大学法学部
田中 雅子 上智大学総合グローバル学部
橋本 ヒロ子(欠席) CSW日本代表
福井 美穂 お茶の水女子大学グローバル協力センター
堀内 光子(欠席) (公財)アジア女性交流・研究フォーラム
三輪 敦子 (公財)世界人権問題研究センター
目黒 依子 ジェンダーアクションプラットフォーム
<市民社会連絡会>
(注:各ワーキンググループリーダー/サブリーダー他6名)
石井 えり(WG2サブリーダー) 難民支援協会
渡辺 美奈(WG3リーダー) アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」
山下 泰子 (WG4ーダー) 国際女性の地位協会
与那嶺 涼子(WG5サブリーダー) 日本紛争予防センター
本山 央子 市民連絡会コーディネーター
<外務省>
和田 幸浩 アジア大洋州局大洋州課長
松川 るい 総合外交政策局女性参画推進室
他3名
<関係府省庁等>
内閣府    国際平和協力(PKO)本部事務局
防災担当
法務省    大臣官房秘書課国際室
防衛省    人事教育局人事・計画補任課
人事教育局人材育成課
警察庁    長官官房総務課
消防庁    総務課
消防・救急課
国際協力機構 経済基盤開発部ジェンダー平等・貧困削減推進室

2.議論の概要

  • (1)冒頭,12月3日~5日の日程でワシントンDCにて開催された「行動計画アカデミー」(ジョージタウン大学女性・平和・安全保障研究所と包含的安全保障研究所《Institute for Inclusive Security》, No Ceilings Initiatives(クリントン財団)による共催)に関し、外務省及び市民社会より参加報告がなされました。
  • (2)また,市民社会側の参加者よりインドネシア・ジェンダー主流化NGO強化研修に関する報告がなされ,その中で報告義務がある女子差別撤廃条約(CEDAW)に市民社会からどのように本行動計画を提案していくのかが課題であるとの意見がありました。
  • (3)冒頭、外務省より、パブリックコメントに付した第2稿の「I.参画」(PDF)別ウィンドウで開く「II.予防」(PDF)別ウィンドウで開く「III.保護」(PDF)別ウィンドウで開く「IV. 人道・復興支援」(PDF)別ウィンドウで開く「V.モニタリング・評価・見直し」(PDF)別ウィンドウで開くをもとに,市民社会から提出された第11回少人数グループ会合に向けた提案(PDF)別ウィンドウで開くに関し,出席者間で意見交換を行いました。その中で,「序文」については,外務省による「序文」第二稿修正(案)(PDF)別ウィンドウで開くを配布し,市民社会に意見を求めました。また,パブリックコメント意見・応答概要(案)についても配布・共有しました。
  • (4)各課題に関する議論の主な結果は,以下のとおりです。なお,外務省、法務省,防衛省,警察庁,消防庁から,それぞれ施策の現状等について補足説明がありました。
    (ア)序文における「3.日本の取組」部分について
    市民社会側の参加者から,序文には,「慰安婦」ないし「大規模な性暴力」との文言,もしくは「河野談話の継承」を言及するべきと改めて要請がなされた。これに対し,外務省からは,今後,外務省及び関係省庁内での決裁がある他,最終的には官邸にも入るため,一義的に決定すること,現時点でそのような文言を含めることは難しいとの説明がなされた。この点に関し,市民社会側の参加者からは,少なくとも「戦争を含む過去の歴史の中で」や「反省に立って」に部分については,日本を主語とした表現とすべき,もしくは前回の案にある「20世紀には~」との文言を復活した方が,微妙なバランスを保てるのではないかとの提案が出された。具体的な対案について次回の少人数グループ会合までに市民連絡会より提出されることとした。
    (イ)序文におけるその他の提案
    市民社会側の参加者より,「女性世帯主世帯」との文言は,世帯を指しているため,女性個人に焦点を当てるという意味で「女性世帯主」とすべきとの意見があった。また,行動計画の実施では,多様な関係者によって多くの好事例が生み出されるように,NGOの関与に関しても記載すべきとの意見がだされた。その他,「女性・女児等多様な受益者」についても,女性・女児は一様ではなく,様々な脆弱性を持っている点に留意すべき点を序文に含めるべきとの説明があった。これらの点については,引き続き,検討をした上で,次回の少人数グループ会合までに反映させるかどうか調整を図ることで一致した。同時に,用語については,主要な文言を選定した上で,行動計画の別添資料として扱う案についても提案された。
    (ウ)「III.保護」目標1具体策2について
    市民社会側の参加者より,この部分については,女子差別撤廃条約(CEDAW)のマニュアルに則り,ジェンダーに基づく暴力への対応には,リプロダクティブ・ヘルス・ライツの観点を含むことが重要との点を踏まえ,指標1の文言を提案しているとの説明がなされた。これに関して、消防庁からは、消防職員に対してGBV研修を実施すべきとの市民社会からの意見を受け内部で議論したが、消防においては自治体消防の原則から消防機関に対し研修の実施について助言するには具体的な理由が必要となるところ、東日本大震災の事例を見てもGBVの問題が顕在化するのは避難所以降のフェーズであるため、被災者の救出から病院搬送までのフェーズに限られる消防職員を対象とした災害時に特有のGBV対応に係る研修として、どのような研修が必要であるかが必ずしも明らかではないことから、どのような場面を想定してどのような研修が必要であるかについて、市民社会側からより具体的な提示がなされなければ判断が困難である旨の説明があった。これについて,市民社会側の参加者からは,阪神淡路大震災を例に、発災直後でも治安の悪化により暴力が起きる可能性はあり、初動体制下で救助する消防隊員が災害時にGBVの被害者に遭遇する可能性があることを指摘した。また、女性(婦人)防災クラブのメンバーへの研修や自治体との連携の中で消防庁が果たす役割は大きいとの意見が出された。これについては、消防庁から、(1)消防機関が担う被災者の救出から病院搬送までの段階においてGBVに関連し得る対応は平時の対応と同様と考えられることから、新たな研修の必要性が具体的に想起できないこと、(2)女性(婦人)防火クラブについては消防職員のような研修に係る基準もなく、消防庁が直接実施する研修もないことについて、追加説明があった。次回の少人数グループ会合までに,市民社会側の参加者より消防庁に対して具体的な問題や課題に関する追加資料を提出することとし,それを基に消防庁内で検討を進めることとした。
    (エ)「III.保護」目標3具体策5について
    市民社会側の参加者より,新たに,女性の庇護申請者が収容された場合の女性特有のニーズやリスクへの対応状況に関する指標の提案があり,具体的には,法務省に対して,こどもがいる場合の面会やジェンダーに基づく暴力を受けた可能性がある女性に対する心のケアの提供等に関する好事例のフォローアップ時における提示について要望がなされた。法務省からは,引き続き検討が必要であることから,次回の少人数グループ会合までに書面で回答するとコメントがあった。

3.その他

  • (1)今回の第11回少人数グループ会合で協議され合意がなされた点については,外務省にて第二稿を修正し,行動計画の最終版策定に向けて引き続き作業を進めることで合意されました。次回の少人数グループ会合では、行動計画に対する対応案及び第二稿の修正案について協議・検討する予定です。
  • (2)外務省から,1月中には行動計画の確定案を完成させ,3月までに英訳が終わるように進めたい,ついては,次回の少人数グループ会合では,最終的な確認が出来る様に進められると良いとのコメントが出されました。

 少人数グループ会合の開催及び同会合における検討状況等は,引き続き外務省ホームページなどを通じて幅広く共有させていただき,随時御意見を頂きながら,作業を進めていく予定です。



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