女性

平成27年1月20日
 11月25日,外務省で開催された女性・平和・安全保障に関する行動計画策定についての第10回少人数グループ会合の概要は以下のとおりです。

1.出席者

 以下の少人数グループのメンバーが出席したほか,関心を有する方々20名強がオブサーバーとして傍聴されました。

【参考】少人数グループメンバー(敬称略)

<学識者>
秋林 こずえ(欠席) 同志社大学グローバル・スタディーズ研究科
川眞田 嘉壽子 立正大学法学部
田中 雅子 上智大学総合グローバル学部
橋本 ヒロ子(欠席) CSW日本代表
福井 美穂(欠席) お茶の水女子大学グローバル協力センター
堀内 光子 (公財)アジア女性交流・研究フォーラム
三輪 敦子 (公財)世界人権問題研究センター
目黒 依子 ジェンダーアクションプラットフォーム
<市民社会連絡会>
(注:各ワーキンググループリーダー/サブリーダー他6名)
石井 宏明 (WG2リーダー) 難民支援協会
亀永能布子(WG3サブリーダー) 公人による性差別をなくす会
武田 万里子 (WG4サブリーダー) 国際女性の地位協会
与那嶺 涼子(WG5リーダー) ジェンダーコンサルタント
本山 央子 市民連絡会コーディネーター
<外務省>
和田 幸浩 アジア大洋州局大洋州課長
松川 るい 総合外交政策局女性参画推進室
他5名
<関係府省庁等>
内閣府 国際平和協力(PKO)本部事務局
法務省 入国管理局総務課,警備課
防衛省 運用企画局国際協力課
人事教育局人材育成課
人事教育局人事・計画補任課
地方協力局補償課
警察庁 長官官房総務課
長官官房国際課
消防庁 総務課,消防・救急課
国際協力機構 経済基盤開発部ジェンダー平等・貧困削減推進室

2.議論の概要

  • (1)冒頭、外務省より、パブリックコメントに付した行動計画の第二稿(「序文」「I.参画」「II.予防」「III.保護」「IV. 人道・復興支援」「V.モニタリング・評価・見直し」)に対するパブリックコメント意見概要を配布し、その内容について説明を行いました。
  • (2)今回の会合では,前回の少人数グループ会合で積み残しとなっていた議題に関し、市民社会から提出されたコメント「市民社会コメント(積み残し版)」について、市民社会側からの説明を基に出席者間で検討が行われました。
  • (3)また、市民社会側より、以下のコメントと要望が出されました。
    今年9月に開催された「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム:WAW! Tokyo 2014」は、我が国の女性やジェンダーの課題に関する重要な取組であり、女性がつくる平和と安全保障について、紛争当事国の代表者やNATOの女性担当特別代表等も交えて議論がなされた意義は大きい。WAW!の中で、2つの具体的な提言を出している。一つ目は、女性の政治的リーダーシップと参加を確実に進めることは、国際的な女性の課題と国内の取組を連動させるに当たり、不可欠な要素であること。二つ目は、平和と安全保障における女性の役割強化という点で、女性の意思決定へのアクセス強化、資源の配分、性的暴力の不処罰の終焉、エンパワーメントのメカニズムを作ることなどが重要であるという点である。この点を本行動計画の「序文」にも盛り込んでいただきたい。

3.各課題に関する議論の主な結果は,以下のとおりです。なお,外務省、法務省,防衛省,警察庁,消防庁から,それぞれ施策の現状等について補足説明がありました。

  • ア.行動計画の実施におけるNGOの関与について
    市民社会から,行動計画のモニタリングにおいてNGOが作業部会に入るというよりは、目標2具体策7にある「グッド・プラックティスの蓄積と公開」においてNGOの事業を含んでいくことの方がより適切,同時に、「序文」においてもNGOの役割について言及することも検討したい,発注を受ける事業型NGOがジェンダー主流化を進めていくには、そういった明確な方針を政府から発信されることが最も効果的であるといったコメントがあり,これを踏まえ,具体的な記述を引き続き検討していくこととなった。
  • イ.女性・女児等の多様な受益者に関する説明について
    女性・女児等といっても一様ではなく、その中でも更に脆弱な様々な人々が存在する点について留意が必要であることを確認し,具体的な記述内容と方法については、次回の少人数グループ会合にて検討を続けることとなった。
  • ウ.「序文」における歴史的な記述内容(慰安婦等)について
    市民社会から,国際的に信頼感を与えるには、本件に関して真摯に対応する必要があり、「慰安婦」や「大規模な性暴力」等の記述を復活させ,何によって苦しみがもたらされたのかを明記,又は,それが難しいようであれば「河野談話の継承」について言及することで対応すべきである旨強い要請があった。これを踏まえ、次回の少人数グループ会合までに外務省にて一案(文言の修正案)を作成し、協議・検討を行うこととなった。また、過去に目を向けるだけでなく、同時に未来に向けた表現を盛り込むことも重要である点が確認された。
  • エ.「I.参画」:女性の参画を促す具体的な施策について
    外務省から,「外交・安全保障分野における女性の参画や昇進を妨げている要因の分析と改善策の提案」については、外交・安全保障又は防衛等における特殊な要因があるというよりは、霞ヶ関全体や働く女性一般に共通するものであり,また、202030の施策による様々な取り組みが行われつつあるので、この会合で要因を部分的に取り出すよりも,202030の施策による様々な取組でまとめて取り組んでいく方が効果的ではないかとの意見が出された。本施策案の取扱いについては,引き続き検討することとなった。
  • オ.「III.保護」:PKO活動や災害派遣、途上国支援事業に従事する者への研修に関して,原案では,ジェンダーに基づく暴力(GBV)の対応に関してセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツに関する研修を行うとの書きぶりになっているが、具体的にどのような研修内容が想定されているのか,次回の会合までに市民社会側からより具体的な提案をすることとなった。同時に、災害対策(国内を含む)を含める上で、GBVに焦点を当てた取組の妥当性についても検討することとなった。今回提案された目標1,具体策2に「災害派遣」も含むとすると、防衛省、警察庁、消防庁、JICAが入り得るが,いずれにせよ,本件については、必ずしも新たなカリキュラムを全ての研修に網羅的に設けるということではなく,各府省庁等で、例えば、パイロット的に取り組んでいく(例:謝金払いにて講師を招聘し,現行の研修にジェンダーに関する研修を盛り込む等)ことも可能ではないかとの指摘もあった。また,このほか,省庁側より,行動計画内に記載されている専門用語(例えばセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ等)については,実施段階で説明が求められると予想され,専門用語をまとめた解説のようなものがあると,省庁間で,理解の統一が図られるので良いのではないかとの意見があった。
  • カ.「III.保護」:目標3具体策5では、申請者が申し立てる事情に直接触れるものであることから指標1は意見なし(法務省)。一方で、指標2~4は、12の関連機関で検討される必要があり、法務省だけで検討・対応できるものではないことから、今後の対応については引き続き検討を続けることとなった。
  • キ.「III.保護」:目標4具体策3に関して,GBV加害が出た場合の訴追・処罰メカニズムの確立については,派遣時だけでなく国内においても通常から苦情申立てや処罰のメカニズムが確立・公表されていることが重要であるとの理由から,市民社会側より「派遣時」との文言を削除してほしいとの要望が出された。一方で,これまで本具体策にかかる指標は,派遣時を想定して関係省庁で議論を重ねてきた経緯があるため,現時点において文言は変更しないこととなった。
  • ク.市民社会側から,国内における外国軍隊によるGBVへの法的対応数等のモニタリングについて不処罰を防止する観点からは件数以外の対応状況についてもモニタリングされるべきとの意見があった。また、関係府省庁から,日米地位協定第18条に基づいた補償の仕組みに関して説明がなされた。いずれにせよ,行動計画の実施において、首都圏以外の地方でも市民社会との意見交換会の実施を続けていくことができれば、その中で取り扱っていくことが可能との議論が行われた。
  • ケ.「IV.人道・復興支援」:市民社会から,人道復興支援に係る研修は,現場で対応する者や担当職員に対する研修の数をこなすだけではなく,実際に意思決定を行う管理職が安保理決議第1325号の内容及び本行動計画を含む内容を把握し,理解を示すことが重要である,人道支援においては,二国間協力(バイ)と国際機関への資金拠出を通じて実施するもの(マルチ)の二通りの支援があるが、国際機関は管理職への研修等を基本的に実施しているところ,バイにおける取組の参考になるのではないか,PKOについては、扱う研修が多数あるため、部隊長等に特化した研修を行うことが効果的である,といった意見が出された。
  • コ.「I.参画」:目標4具体策2について、市民社会から,女性・平和・安全保障(WPS)とは安保理決議第1325号を含む関連決議の実施のことであり、それを促進すべく担当部署(必ずしもジェンダー部署の新設を意味しない)及び担当者の特定をすることが重要である,警察庁にはぜひ担当府省庁に入ってほしいとの要望が出された。

4.その他

  • (1)今回の会合で協議され合意された点については,外務省にて第二稿を修正し,行動計画の最終版策定に向けて引き続き作業を進めることとなりました。次回の少人数グループ会合では、引き続き第二稿の修正案について協議・検討する予定です。
  • (2)少人数グループ会合の開催及び同会合における検討状況等は,引き続き外務省ホームページなどを通じて幅広く共有させていただき,随時御意見を頂きながら,作業を進めていく予定です。


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