イタリア共和国
日伊首脳会談及びワーキングランチ
令和4年5月4日
(写真提供:内閣広報室)
(写真提供:内閣広報室)
現地時間5月4日午後12時40分(日本時間同日午後19時40分)から約1時間40分間、イタリアを訪問中の岸田文雄内閣総理大臣は、マリオ・ドラギ・イタリア共和国首相(H.E. Mr. Mario Draghi, President of the Council of Ministers of the Italian Republic)と日伊首脳会談及びワーキングランチを行ったところ、概要は以下のとおりです。
1 冒頭
- (1)ドラギ首相から、岸田総理大臣のイタリア訪問を歓迎、基本的価値を共有する日本との二国間関係を一層強化するとともに、ウクライナ情勢を始めとした国際情勢及び地球規模課題への対応において連携していきたい旨述べました。
- (2)これに対し、岸田総理大臣から、2016年以来のローマ訪問で、ドラギ首相との初の首脳会談を行うことができ嬉しい旨述べた上で、ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがしており、ロシア軍が無辜の民間人を多数殺害していることは断じて許されない、日本は法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くため、イタリアを含むG7で緊密に連携し、強力な対露制裁とウクライナ支援を行っている旨発言しました。両首脳は、欧州とインド太平洋の安全保障は切り離すことはできず、力による一方的な現状変更は世界のどこであれ許してはならないとの認識で一致しました。
2 二国間関係
- (1)岸田総理大臣から、海上自衛隊とイタリア海軍のアデン湾における共同訓練やイタリア空軍による航空自衛隊パイロットの育成等日伊安全保障協力の進展を歓迎するとともに、イタリアがEUのインド太平洋戦略に基づいてインド太平洋に関する文書を策定したことを評価し、両首脳は「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力を進めることで一致しました。
- (2)岸田総理大臣から、経済社会全体の変革を方向付ける「政策イニシアティブ」として提唱している「新しい資本主義」について説明し、ドラギ首相から心からの同意を得ました。また、「日伊ビジネスグループ」等を通じ、グリーン・テクノロジー等の新しい分野においても両国の企業間協力の一層の進展を期待する旨述べ、両首脳は、再生可能エネルギー転換や連結性推進等に資する日伊企業間協力を政府としても後押しするべく協力していくことを確認しました。
- (3)両首脳は、首脳会談に先立ち、5月2日に日伊ワーキングホリデー協定の署名が行われたことを歓迎すると共に、日伊映画共同製作協定の早期締結に向け、作業を加速させることで一致しました。
- (4)岸田総理大臣から、EUによる日本産食品への輸入規制の早期撤廃に向けたイタリアの協力を求めました。
3 国際・地域情勢
- (1)両首脳は、G7はじめ国際社会が結束・連携して強力な対露制裁及びウクライナへの支援を続けていくことを改めて確認しました。岸田総理大臣から、今般のインドネシア、ベトナム及びタイ訪問また先般のインド、カンボジア訪問などアジア諸国へのアウトリーチに積極的に取り組んでいることを説明し、両首脳は、アジア・アフリカ等への働きかけが重要であることに一致しました。
- (2)岸田総理大臣から、ロシアによるウクライナ侵略は、エネルギー転換を進めていく中でも、エネルギー安全保障の確保が不可欠であることを世界に認識させた旨指摘し、両首脳は、世界のエネルギー安全保障及び食料安全保障の問題についても連携していくことで一致しました。
- (3)両首脳は、東シナ海及び南シナ海における力を背景とした一方的な現状変更の試みに加え、急速かつ不透明な形での軍事力の強化及び地域における軍事活動の活発化への強い懸念を共有し、一方的な現状変更の試みや経済的威圧に対し一致して毅然として対応していくことを確認しました。また、両首脳は、本4日の日本海に向けた弾道ミサイルの発射を含め核・ミサイル問題や拉致問題を含む北朝鮮への対応において引き続き連携していくことを確認しました。