アイルランド

平成29年1月9日

1月9日,アイルランドを訪問中の岸田外務大臣は,フラナガン・アイルランド外務・貿易大臣と日アイルランド外相会談を実施したところ,概要以下のとおりです。本会談は,午後6時から6時50分までの協議と午後8時10分から10時45分までのワーキング・ディナーに分けて,合計約3時間25分間行われました。

1 二国間関係

(1)冒頭,フラナガン大臣から,岸田大臣の訪問を歓迎するとともに,岸田大臣と共に外交関係樹立60周年を盛大に祝福したい旨述べました。これに対し,岸田大臣から,日アイルランド外交関係樹立60周年の記念すべき年にアイルランドを訪問でき嬉しい,フラナガン大臣と緊密に連携して,英国のEU離脱への対応,軍縮・不拡散,平和構築の分野で両国の協力を一層強化したい旨述べました。
(2)両者は,2013年に両国首脳が会談した際に発出した共同宣言「イノベーションと成長のためのパートナーシップ」の内容を引き続きフォローアップし,経済面や人的交流等での両国関係を一層発展させていくことで一致しました。

2 英国のEU離脱,日EU・EPA

(1)岸田大臣から,英国のEU離脱の動向を注視している,英国及びEUでの企業の円滑な経済活動が維持されることや,予測可能性が確保されることが重要であり,英国と緊密な関係にあるアイルランドと,英国のEU離脱による悪影響を最小限に留めるべくよく連携していきたいと述べました。これに対し,フラナガン大臣から,英国のEU離脱については,経済的側面及び人の移動の自由の確保が最大の課題であると考えている,本件は,アイルランドにとって経済のみに留まらない目下の最大の課題であり,日本とよく連携していきたいと述べました。
(2)両者は,世界に保護主義的な動きへの懸念が拡がる中,日本とEUが自由貿易を主導すべく率先して範を示していく必要がある点で一致し,日EU・EPAの可能な限り早期の大枠合意を目指していくことを確認しました。

3 国際場裡における協力

(1)両者は,両国が重視する平和構築の分野で連携を強化していくことで一致しました。岸田大臣から,国連PKO要員の能力向上を目的として,施設,通信,女性の保護といった分野で日本は国連の訓練プロジェクトを支援していることを紹介し,また,国連安保理改革に関し,透明性が確保されるような改革がなされるよう引き続き緊密に連携していきたい旨述べました。これに対し,フラナガン大臣から,アイルランドは,国連加盟以来,国連PKOに積極的に貢献してきている等,国連を重視しており,新事務総長の下で,日本ともよく意思疎通を取りながら国連の場において緊密に連携していきたい旨述べました。
(2)両者は軍縮・不拡散についても議論し,岸田大臣から,「核兵器のない世界」を実現するためには,核兵器国と非核兵器国の協力の下,現実的かつ実践的な措置を積み上げる必要がある旨述べました。これに対し,フラナガン大臣から,両国は「核兵器のない世界」という最終的な目標を共有しており,その目標を実現するために建設的な協力を継続していきたい旨述べました。

4 地域情勢

 両大臣は,トランプ次期政権の成立を間近に控えた米国との関係について意見交換を行いました。また,東シナ海及び南シナ海,北朝鮮などを含むアジア太平洋地域情勢についても議論し,法の支配に基づく国際秩序の維持の重要性について一致しました。

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