フランス共和国
日仏外相会談
平成27年1月19日

パリ訪問中の岸田文雄外務大臣は,現地時間1月18日午後7時40分頃から約1時間45分間,仏外務・国際開発省大臣庁舎において,ローラン・ファビウス・フランス共和国外務・国際開発大臣(Mr. Laurent Fabius, Minister of Foreign Affairs and International Development)との間で外相会談(夕食会形式)を行ったところ,概要以下です。なお,岸田大臣は会談に先立ち,テロ事件の現場となったシャルリ・エブド社前を訪問し,献花を行いました。
1.冒頭発言
(1)ファビウス大臣から,日仏の友好関係は,深く,特別のパートナー関係で結ばれている旨述べるとともに,仏はテロの攻撃を受けて大変厳しい状況にあるが,日本の総理及び外務大臣に示していただいた日本国民の連帯及び岸田大臣がシャルリ・エブド社を訪問して献花を行ったことへの謝意を表明。また,近い将来訪日予定であり,テロとの闘いには日仏で協力して取り組むという意思を示す必要がある旨述べました。
(2)岸田大臣から,年始の最初の外国訪問先としてフランスを訪問したこと,先ほど,マセ次官とともにテロ現場を訪問し,テロ現場を訪問し,犠牲者及びそのご家族に哀悼の意を表するとともに,仏との連帯の思いを表明したこと,今回の事件は,表現・報道の自由,基本的価値に対する挑戦であり,いかなる理由でも許されず,断固として非難すること,力と憎しみの連鎖からは何も生まれず,中庸と多元的価値が尊重されるべきこと,今後,日本は,特別のパートナーシップに基づき,仏,そして国際社会と協力しながらテロとの闘いに取り組んでいきたいこと等を述べました。
2.二国間関係
(1)テロとの闘い
(ア)岸田大臣から,今回の事件は,ちょうど2年前に日仏両国民が犠牲となったアルジェリアでの痛ましいテロ事件と同様,テロとの戦いが引き続き国際社会が全力で取り組んでいくべき課題であることを強く決意させるものであることを述べ,仏のテロ対策担当官間での協議の更なる強化を提案。また,外国人テロ戦闘員問題については,昨年9月の国連安保理決議を遵守するため,日本はテロ資金対策,出入国管理等に取り組んできたこと,イラクやその周辺諸国の捜査・訴追,国境管理能力等の強化に向けての支援のため,国際機関を通じ約750万ドルの新規支援を行うこと等,我が国としても可能な限り協力したい旨発言。
(イ)これに対して,ファビウス外相から,人の移動の管理の強化のための情報交換,武器の管理,資金調達の管理,インターネットの規制という安全保障上の問題,経済・社会・教育を含む多面的取組の必要性,外交政策を総動員する必要性,EU内,日米や国際社会との協力の意思について説明がありました。
(2)戦後70年
岸田大臣から,戦後70年という節目の年においても,日本の平和国家としての歩みは変わらないこと,仏とも協力して,国際社会の平和と安全のために貢献したい旨発言し,安保法制整備に向けた取組を説明。ファビウス大臣から,安全保障分野の協力を引き続き強化していきたいと応じました。
(3)アフリカ
ファビウス大臣から,アフリカにおける協力を強化するための具体的取組の強化について検討することについて提案があり,岸田大臣から,しっかり受け止めて検討したいと応じました。
(4)経済
両大臣は,2015年における日EU・EPAの包括的な高いレベルでの合意に向けて協議を加速していくことで一致。また,民生原子力分野の協力について引き続いて取り組んでいくことで一致。また,岸田大臣から,福島県産品の輸入規制緩和に向けた協力を要請。
(5)気候変動
岸田大臣から,仏が議長国を務めるCOP21の成功に向けて連携したいと述べるとともに,島嶼国への支援,防災分野における気候変動対策,エネルギー分野での技術革新についても協力した旨述べました。ファビウス大臣から,これらに同意するとともに,気候変動にかかる日仏協力を強化したい旨述べました。
3.ウクライナ情勢
岸田大臣から,ウクライナ情勢に関して,G7の結束を重視し,積極的に取り組んでいきたい旨述べ,ファビウス大臣からこれに同意するとともに,仏は独とともにノルマンディ方式で取り組んでいるので,仏として,日本とも協力していきたい旨の発言がありました。