ロシア連邦
日露首脳会談


11月9日午後9時30分(北京時間)から約90分間,安倍総理は,APEC首脳会議出席のため訪問中の中国・北京において,プーチン・ロシア連邦大統領と首脳会談を行った(最後に約10分間の首脳間のみのやり取りを含む。)。第一次安倍政権を含めると,安倍総理とプーチン大統領との会談は10回目。十分に時間をとって会談を行うのは2月のソチ五輪の際の首脳会談以来であり,両首脳は和やかな雰囲気で議論を行い,個人的信頼関係を維持・再確認するものとなった。
1 冒頭発言
会談の冒頭,プーチン大統領から,モスクワにおいて日本武道代表団の演武会に出席したことに言及しつつ,同代表団の派遣に感謝の意の伝達があり,武道は日本文化の大きな一部であり,日本文化は,経済においても,政治分野においても近年極めて順調に発展してきた二国間関係の発展の最良の基礎である旨述べた。そして,ここに言う政治分野には,平和条約締結に向けた交渉を再開したことも含まれる旨述べた。さらに,APEC首脳会議の機会に安倍総理と会談し,日露の協力関係のあらゆる側面について共に分析する機会があり嬉しく思う旨述べた。
これに対し安倍総理から,ASEMの際の会談に続きお会いできて嬉しい,今回の会談は第一次政権から数えると10回目であると述べた。また,今般,日本武道代表団の演武会を見ていただいて感謝,柔道家であるウラジーミルの武道への理解,日本への理解が日露関係の発展にとって重要と述べた上で,本日は,しっかり時間をとって,日露関係全般及び国際情勢につき意見交換したい旨述べた。
2 今後の政治日程
両首脳は,明年の適切な時期にプーチン大統領訪日を実現するための準備を具体的に開始することで一致した。その準備として,外務次官級協議等を実施し,岸田外務大臣の訪露についても引き続き検討していくこととなった。
3 平和条約締結問題
安倍総理から,今後の平和条約締結交渉の進め方に関し,昨年4月の共同声明(PDF)に基づき進めていくことを中心とする考え方を述べた上で,プーチン大統領との間で率直な意見交換が行われた。
4 各分野における協力
両首脳は,2月のソチ五輪の際の日露首脳会談以降も,日露間の実務協力が進んでいることを確認した。経済関係については,例えば,都市環境や極東の農業等の分野で協力プロジェクトが行われていること,文化・スポーツ交流については,日露武道交流年の目玉行事として日本武道代表団をモスクワに派遣中であり,また,来週サンボの世界選手権が日本で開催されること等が指摘された。
5 国際情勢
(1)ウクライナ情勢については,安倍総理から,東部での分離派によるいわゆる「選挙」が事態を複雑化させていることへの憂慮を表明し,停戦合意の完全履行と事態の改善に向けロシアが建設的役割を果たすことを強く求めた。これに対しプーチン大統領からは,ロシア側の立場について説明があった。
(2)また,ISIL問題を始めとするテロとの闘い,北朝鮮を含むアジア情勢等についても,率直な意見交換を行った。