寄稿・インタビュー
高市総理大臣及びメローニ伊首相による日本経済新聞及びNikkei Asiaへの共同寄稿(令和8年1月15日)
「日伊「不公正な経済慣行に対抗」 高市・メローニ両首相が共同で寄稿」
1866年に日本とイタリアが外交関係を樹立した当時、世界は、交通、通信、生産に変革をもたらす技術の出現と、市場と資源をめぐる競争を特徴とする、ますます相互に結び付いた国際システムの出現により、新たな時代に入っていた。
今日、日本とイタリアの外交関係の160周年を迎えるに当たり、我々は、形こそ異なるものの当時と同様の変革的な力を及ぼすダイナミクスに直面している。デジタル革命、エネルギー移行、人工知能(AI)の台頭、戦略的資源をめぐる競争、そしてグローバル・バリューチェーンの再定義が、新たなグローバル秩序を形成しつつある。
こうした状況において、日本とイタリアは主導的な役割を果たすことができる。そして我々は将来の国際秩序の在り方を形作っていく責任を共有している。地理的に遠く離れている一方で、我々は長年の伝統に根ざす基本的価値を共有する国民及び国家であり、それは我々が社会に対する共通のビジョンを持つことを可能にしている。
また、我々は、2国間協力を強化するという選択を行い、不安定性、戦略的競争、そして共通のルールを損なう修正主義的な圧力といった状況下で、自由で、公正かつ開かれた国際秩序を守るため、国際社会において共に行動することを可能にする、規範的・制度的な原則も共有している。
こうした基盤の下、我々は、2023年に戦略的パートナーシップへと格上げし、また24~27年の「日伊アクションプラン」を通じて重要な協力分野を発展させようとしている両国の関係の質的な飛躍を目指している。
両国の産業基盤が持つ強い補完性と、質の高い産業連携は、ロボティクス、新興技術、宇宙、クリーンエネルギー、精密機械、ライフサイエンス、医療といった分野において、相乗効果を高め、投資を拡大する特別な機会をもたらしている。
これらはいずれも高付加価値分野であり、持続的な利益を生み出すと同時に、日本とイタリアが共通して直面する社会的課題への有効な対応策を提供し得るものだ。国家の将来そのものに影響する課題としては人口問題が挙げられる。
我々は、それぞれの国を率いる初の女性指導者としての立場にとどまらず、あらゆる政府が負う責任という観点からも、出生率の向上、家庭への支援、社会保障制度の持続可能性の確保、世代間の結束強化に向け、経験を共有し、革新的な解決策を共に模索していきたいと考える。
また、我々は、両国のビジネス交流の枠組みである「日伊ビジネスグループ」の強化を通じ、企業間協力と相互投資に新たな勢いを与えている。
さらに、25年の大阪・関西万博におけるイタリア館の大きな成功は、新たなパートナーシップの促進、人材の育成・活用、そして科学技術協力の再活性化において決定的な貢献を果たした。
日本とイタリアの間のパートナーシップの重要な柱の一つは、防衛・安全保障分野における協力だ。英国と緊密に連携して取り組んでいるグローバル戦闘航空プログラム(GCAP)は、単なる先進的な産業プロジェクトを超えた事業だ。
GCAPは、我々の戦略的自律性を強化し、欧州大西洋及びインド太平洋の安全保障に寄与するとともに、同志国間の協力が将来的なリスクや脅威に対する最も効果的な対応であることを示している。
防衛と並んで、科学技術協力も中心的な役割を果たしている。人工知能の急速な発展といった大規模な変革と破壊的イノベーションの時代において、進歩が安全、安心で信頼でき、倫理原則に基づき、個人のために役立つものであることを確保するため、先進技術を有する同志国間での連携は不可欠だ。
こうした2国間の戦略的な一致は、主要7カ国(G7)から国連に至る主要な多国間機関・フォーラムにおける連携強化、そして共有されたルール及び国際秩序の堅持への我々のコミットメントにも反映されている。
このビジョンの特徴的な要素として、世界の均衡にとって重要な位置を占める、より広範な地中海とインド太平洋という2つの地政学的空間にまたがり、関与を一層深めていくという願いがある。
この共通のビジョンにおいて、経済安全保障の重要性はますます高まっている。相互連結性を発展させ、サプライチェーンをより強靱(きょうじん)で安全かつ外的ショックに耐え得るものとすることが不可欠となっている。
同時に、我々は企業の競争力を高めるための取り組みを継続し、市場をゆがめる不公正な経済慣行に対抗し、公平な競争条件の下で企業が活動できることを確保していく。公正であってこそ、貿易は真に自由であり得るからだ。
我々の共通のビジョンは、アフリカを含むグローバルサウスにも広がっている。日本のアフリカ開発会議(TICAD)を通じた経験とイタリアの「マッテイ計画」を通じた戦略は、対等で相互に利益をもたらす協力という共通点を有しており、これは、課題解決策の共創と、長期的な繁栄を生み出す投資によるものだ。
日本とイタリアは、安全、平和、繁栄、そして安定の未来を築くことを決意している。両国の外交関係の160周年という歴史的瞬間に、国民から託された大きな責任を深く認識するとともに、最善を尽くしてその責任を全力で果たすことを誓う。日本とイタリアは創造性と革新力に富む偉大な国であり、共に歩むことで、共通の発展に向けた主役となることができるだろう。

