寄稿・インタビュー
茂木外務大臣による中立トルクメニスタン紙及びトルクメニスタン紙への寄稿(令和8年8月29日)
信頼と互恵に基づく日本とトルクメニスタンの絆
8月29日から30日まで、日本の外務大臣として9年ぶりにトルクメニスタンを訪問する。今回トルクメニスタンへの訪問が実現し、アシガバットの白亜の大理石の美しい街並みをこの目で見ることができ、大変うれしく思う。
日本は、トルクメニスタンの独立後、1992年にいち早く外交関係を樹立した。以降30年以上にわたり、両国は、よき友人として、政治、経済、人的交流など、様々な分野において関係を着実に発展させてきている。
今日、中央アジアは着実な経済発展を遂げ、欧州とアジアをつなぐ交易路として、その重要性はますます高まっている。同時に、国際情勢の変化により、中央アジア諸国が大きな影響を受けていることも日本はよく認識している。中央アジアを取り巻く環境が急激に変化している今こそ、同地域における横断的な協力が不可欠となっている。
日本は、トルクメニスタンを含む中央アジアの重要性に早くから着目してきた。そして、日本が触媒となって、中央アジア諸国自身が主体となる地域協力を推し進めることを目的に、2004年に世界に先駆けて「中央アジア+日本」対話の枠組みを立ち上げた。これまでオンラインを含めて10回開催された外相会合をはじめ、20年以上にわたる「中央アジア+日本」対話のたゆまぬ歩みの中で行われた数多くの政治対話や人的交流は、日本と中央アジアを結ぶ強固な紐帯となっている。昨年12月には、訪日したベルディムハメドフ大統領の参加を得て、初の首脳会合が東京で開催された。
トルクメニスタンが1995年に国連総会決議により、「永世中立国」として承認されてから昨年で30年を迎えた。日本は、厳しい地政学的状況下において、永世中立国として平和と安定を追求してきたトルクメニスタンの外交努力を高く評価しており、昨年3月に、トルクメニスタンの永世中立に関する国連総会決議を共同提案国として支持した。日本は、国際場裏におけるトルクメニスタンの重要なパートナーとして、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を共に維持・強化していく考えである。
日本とトルクメニスタンの関係は、天然ガスからガソリンや肥料を製造するプラント建設をはじめとする大型協力案件が進展するなど、特に経済面において大きな成果を上げている。日本の高い技術力とトルクメニスタンの豊富な天然資源を組み合わせることで、互恵的な経済協力が進められている。今後は、リサイクルをはじめとする循環経済やAI分野においても、日本の知見を活かした協力案件が具体化することを期待している。
昨年日本で開催された大阪・関西万博では、4月14日に実施されたトルクメニスタンのナショナル・デーにベルディムハメドフ大統領が出席した。美しい外観のトルクメニスタン・パビリオンを通じて、日本国民のトルクメニスタンに対する理解が大いに深まった。また、循環経済に関する協力は、大統領が大阪・関西万博の日本館を訪問されたことがその端緒になっている。来年3月に横浜で開幕予定のGREEN×EXPO 2027においても、トルクメニスタンの魅力が更に発信されることを楽しみにしている。
また、トルクメニスタンにおいて日本語学習者が急増し、日本に対する関心が高まっていることを嬉しく思う。トルクメニスタンの偉大な詩人であるマグトゥムグリ・フラギの記念公園に、日本のノーベル賞作家である川端康成の像が除幕されたことは人々の記憶に新しい。日本語や日本文化を学ばれる皆様が、将来、両国の架け橋として活躍されることを期待している。
こうした日本とトルクメニスタンの強固な二国間関係は、更なる発展の潜在性を秘めていると確信している。今回のトルクメニスタン訪問を、その契機にしたい。昨年のベルディムハメドフ大統領の2度の訪日や「中央アジア+日本」対話・首脳会合の成果を踏まえつつ、幅広い分野における協力や国際的な課題への対処について率直な議論を行い、二国間関係を更に高いレベルに引き上げていく決意である。
最後に、来年の外交関係樹立35周年に向けて、日・トルクメニスタン関係の更なる発展を願い、トルクメニスタン及び国民の皆様のますますの繁栄と健勝を祈念する。
