欧州

平成26年3月18日

 本年,「中央アジア+日本」対話は10周年を迎える。関係国は,これまでの対話を通じて,中央アジアの安定と発展のためには地域協力が不可欠との認識を共有するに至り,今や,具体的な地域協力プロジェクトを策定していく段階に達していることで認識が一致した。この認識の下で,昨年10月の「中央アジア+日本」対話・第7回高級実務者会合(SOM)以降,農業分野での協力可能性について議論を重ねてきた。特に,本年2月に中央アジア諸国の専門家が訪日して開催された「専門家会合」においては,中央アジアの専門家から具体的なプロジェクト案が提示され,日本側関係者からも,これまでの経験や知見も踏まえ,具体的に協力し得る内容について説明した。

 第6回「東京対話」においては,これらのプロジェクトをさらに実現に近づけていくため,日本企業から中央アジアとの協力において活用し得る製品や技術,ノウハウについて紹介を受けるとともに,中央アジアの専門家からは,2月の「専門家会合」の結果も踏まえつつ,援助のみならず,企業との協力プロジェクトも念頭に練り直されたプロジェクトについて発表があった。さらに,フロアからは,中央アジアにおける活動や協力に携わった有識者等から,現地での経験に基づく様々な提言もあり,活発な意見交換が行われた。

 その結果,中央アジア側から提示されたプロジェクトのうち,日本のODAプロジェクトとして追求し得る部分や,企業との協力の可能性が想定される部分が明らかとなった。さらに,大学や研究所の活用,目的を同じくする国際機関との連携,様々な技術の組み合わせなどについても可能性があることが指摘された。

 本年中に開催予定の「中央アジア+日本」対話・第5回外相会合において,農業分野の協力に関する今後の方向性を発表するため,今回の「東京対話」を踏まえ,次の3点に留意して議論を行い,オール・ジャパンでの協力を推進していきたい。

 第一に,中央アジア各国の農業分野は多様であり,協力ニーズも多様であるが,バリューチェーンの構築と農産品の品質や安全性の向上は各国共通の課題であることが確認された。国によって生産,加工,輸出など,重点的に整備すべき段階は異なるものの,バリューチェーン全体を見据えた協力の推進が重要である。

 第二に,地域共通の課題が特定されたのを受けて,地域協力の要素をどのように盛り込んでいくのかどうかについて更なる議論が必要である。

 第三に,援助を含め,日本から提供し得る技術等が示されたことを受け,プロジェクトに「日本らしさ」をどのように取り込んでいくのかについても議論が必要である。

 「中央アジア+日本」対話で農業分野を取り上げることを決定してから「東京対話」に至るまでの過程で,中央アジア側の積極的な関与が得られ,「中央アジア+日本」対話が地域協力推進のための実践的メカニズムとして機能し始めたことを高く評価したい。

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