欧州
「中央アジア+日本」対話・第6回東京対話
石原外務大臣政務官 基調スピーチ
1 はじめに
「中央アジア+日本」第6回東京対話の開催に当たり,中央アジア各国からの参加者の皆様を心から歓迎します。また,本日は,日頃から中央アジアとの交流に尽力されている日本の学界や経済界の皆様にも多数出席いただいております。「中央アジア+日本」対話の一環として始められたこの「東京対話」も,はや第6回を迎えました。このように,日本側の官民の関係者が一堂に会して,中央アジアとの関係発展について率直に議論を交わすスタイルが良き伝統となりつつあることを大変嬉しく思っています。
2 「中央アジア+日本」対話 ― 10年間の歩み
2004年に始まった「中央アジア+日本」対話は,本年,10周年という記念すべき年を迎えました。日本がこの対話において一貫して目指してきたことは,地域協力を通じた安定と発展です。すなわち,中央アジア諸国がますます発展していくためには,域内の国々が共通の課題に共同で対処していくことが重要という考え方の下,日本がいわば「触媒」となって,中央アジア5か国による地域協力を後押ししてきました。
これまで4回の外相会合が開催されてきましたが, 2012年11月に東京で開催された前回の外相会合では,地域協力の分野を,省エネ,防災,貿易・投資など,まずは域内全ての国が利益を得られる5つに絞り込み,地域協力を徐々に深化していくことを確認しました。このようなアプローチは,昨年の第5回「東京対話」で取り上げた,ASEANのこれまでの歩みを踏まえたものでもありますが,各国が地域協力の重要性を重視している証左であり,「触媒」の役割を担ってきた日本としても大いに歓迎したいと思います。
3 地域協力の新たな展開
地域協力として,これまでは,特定の分野における課題克服に向け,各国の取組を紹介し合い,あるいは,日本との協力におけるベストプラクティスを中央アジア各国で共有することを多く実践してきました。
しかし,本日の会合は,新たな地域協力の方向性を打ち出そうとするものです。すなわち,地域各国が共通の課題を洗い出すのに加え,各国のみならず地域に裨益するプロジェクトの策定を目指していこうとするものです。
農業分野における協力は,その最初のモデル・ケースとなるものです。
4 なぜ農業分野か
では,なぜ,農業分野なのでしょうか。中央アジアでは,残念ながら,域内における貿易や投資が十分に活発ではありません。農業分野においても,中央アジアには,野菜,果物,食肉,小麦等の魅力的な農産物があるにもかかわらず,農産品や加工品は遠く欧州や中国からの輸入に多く依存しているものと承知しています。
中央アジアの経済成長を持続可能なものとするためには,農村の雇用を拡大し,農業を主要な産業として育てていくことが重要だと私としても確信しております。日本政府としても,中央アジアの農業分野の努力を後押しします。そして,それが地域全体の活性化につながっていくことを強く希望しています。
また,御参加されている日本の企業・有識者の皆様におかれても,様々な観点から私たちの取組に御助言や御協力を頂ければ幸いです。
5 結び
最後に,本日の議論が,農業分野を始め,中央アジアの地域協力が更に一歩進む契機になることを祈念して,私からの挨拶といたします。
御静聴ありがとうございました。