欧州

平成26年7月17日
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 7月17日(木曜日)午後1時半から約1時間10分間、ウクライナを訪問中の岸田文雄外務大臣は、パウロ・アナトリヨヴィチ・クリムキン・ウクライナ外務大臣(H.E. Mr. Pavlo Anatoliyovych KLIMKIN,Minister of Foreign Affairs of Ukraine)と会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。

1.冒頭

 冒頭、岸田大臣より、ウクライナが歴史上最も困難な時期におかれている中で、日本としては、ウクライナの安定を確保し、民主化・市場経済化を推し進めるための取組を積極的に支援していく旨述べました。また、日本は問題の平和的解決が重要であると考えており、ロシアや分離派との対話を通じた東部情勢の一刻も早い安定化に期待する旨述べました。これに対し、クリムキン外相から、ウクライナ危機の早期解決に向けた日本の積極的な関与に対して謝意の表明がありました。

2.国内改革の促進のための支援及びウクライナ情勢

 両外相は、ウクライナの政治・経済改革の努力を後押しし、両国関係の潜在性を一層引き出すための二国間協力について認識を共有しました。具体的には、岸田大臣から、主に以下の支援策について表明しました。

  • (1)経済状況の改善
    • (ア)経済状況の改善のため、15億ドルの経済支援の着実な実施(世銀との協調による1億ドルの開発政策借款に係る交換公文への署名を含む)。
    • (イ)ウクライナのニーズを更に発掘するため経済ミッションの派遣
  • (2)民主主義の回復
    司法制度改革や腐敗防止に資する技術協力の拡充
  • (3)国内の対話と統合の促進
    国内避難民に対する支援

 これに対し、クリムキン外相からは、ウクライナ政府が進めている改革やウクライナ東部の状況等について説明がなされるとともに、日本の支援策に対して深甚なる謝意表明がありました。
 また、両外相は両国の経済関係を更に強化するために、現在交渉中の投資協定が重要との認識を共有し、投資協定の交渉加速化で一致しました。

3.地域・国際情勢

 岸田大臣から、国際社会の平和と安定にこれまで以上に貢献する日本の「積極的平和主義」及び安保法制の整備の基本方針に関する閣議決定を含め、その立場から実施している取組を説明しました。また、岸田大臣からは、東アジアの情勢についても説明を行いました。

4.原発事故後協力

 両外相は、日本とウクライナは原発事故という不幸な経験を共有しており、福島とチェルノブイリの経験を両国で共有し、協力していくことは有意義であるとの認識で一致しました。また、両外相は、先月、福島/チェルノブイリ共同観測プロジェクトの一環として、日本製の超小型衛星を搭載したウクライナ製のドニエプルロケットが打ち上げられたことを歓迎しました。さらに、岸田外相からは、第三回原発事故後協力合同委員会を年内に日本で開催し、その際、ウクライナ関係者に福島第一原発の視察を提案し、クリムキン外相から賛意が示されました。

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