ポーランド共和国
日・ポーランド首脳会談

(写真提供:内閣広報室)

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1月21日,午後5時45分頃から約50分間,安倍晋三内閣総理大臣は,実務訪問賓客として訪日中のモラヴィエツキ・ポーランド共和国首相(H.E. Mr. Mateusz Morawiecki, Prime Minister of the Republic of Poland)と会談を行ったところ,概要は以下のとおりです。なお,会談には,日本側から,小泉進次郎環境大臣,西村明宏内閣官房副長官ほかが,ポーランド側からは,ミハウ・クルティカ気候大臣(H.E. Dr. Michał Kurtyka, Minister of Climate)ほかが同席しました。また,首脳会談後,安倍総理大臣主催の晩餐会が和やかな雰囲気の中で行われ,経済・文化交流等幅広い話題について意見交換が行われました。
1 冒頭
(1)安倍総理大臣から,モラヴィエツキ首相の初来日を歓迎し,「昨年の日・ポーランド国交樹立100周年は,秋篠宮皇嗣同妃両殿下のポーランド御訪問を始め,多くの要人往来や文化事業が実現し,両国の友情が大きく深まった。本日は戦略的パートナーとして二国間関係を次の次元に高めるために,有意義な議論を行いたい」と述べました。
(2)これに対し,モラヴィエツキ首相から,「総理のお招きに感謝,秋篠宮皇嗣同妃両殿下の御訪問は良く覚えており,本日もお目にかかれて光栄。日・ポーランド国交樹立100周年も契機に両国関係が深まり非常に嬉しい。政治・経済・文化の様々な分野で更に交流を盛んにしていきたい」と発言がありました。
2 二国間関係
(1) 政治・安全保障分野
安倍総理大臣は,2017~2020年の戦略的パートナーシップの行動計画に沿って,各分野で協力が進んでいることを歓迎し,堅調な経済成長でEU内で重要性を増すポーランドとの協力を深めていくべきであり,日米欧の連携や,「V4+日本」協力も推進したい,さらに今次訪問の成果を踏まえ,次期行動計画の作成に取りかかりたい旨述べました。また,「欧州の安全保障に重要な役割を果たすポーランドとの間で,安全保障分野での対話も拡大していきたい」と述べました。
これに対しモラヴィエツキ首相は「日本とポーランドとの戦略的パートナーシップは重要であり,様々な分野で関係が深まっている。また,自由貿易の重要性等,多くの考え方を共有している。ポーランドは親欧州・親米・親日であり,様々な問題の解決に向け日本と協力したく,政治関係強化も重視している。V4の重要性は増しており,V4と日本との協力も強化したい」と述べました。
(2)経済分野
安倍総理大臣から,「昨年4月の会談では,経済関係拡大に向けた協力を確認した。新規の投資拡大や,経済セミナーを通じた協力の進展を歓迎する。今回の訪問でも,日本企業との新たなビジネスの可能性を実感いただけたと思う。クリーンコール,水素,原子力等のエネルギー分野での協力を発展させたい」と述べ,トヨタとポーランド企業との間で水素技術に関する協力覚書が署名されたことにも言及しました。また,ポーランドの新中央空港計画に関する協力につき,今般議論が進んだことを歓迎しました。さらに海技資格に関する両国間の協力覚書が署名されたことに加え,経済・人的交流の一層の促進のため,社会保障協定の締結に向けた非公式協議の開始することで一致したことに言及しました。
これに対し,モラヴィエツキ首相から,「今回の訪日では日本とのエネルギー協力,またインフラ分野での協力につき様々な関係者と協議ができ,またポーランド進出日本企業とも協議ができた。エネルギー分野では石炭依存を減らすために日本と協力したい。原子力の活用も重要な課題である。また日本からの新規投資や投資拡大にも期待したい」と述べました。
(3)科学技術分野
安倍総理大臣から,「「V4+日本」の枠組で行った共同研究は科学技術協力として有効であり、今後共同研究支援のための公募に向け,早期に調整を進めたい」と述べました。
(4)文化・人的交流
安倍総理大臣から,「本年は,シベリアで困窮していたポーランド人孤児を日本が受け入れてから100周年にあたり,孤児たちを受け入れた自治体や施設での記念行事等も行われる。こういった取り組みを通してさらに交流を深め,相互理解を深めたい」と述べました。
モラヴィエツキ首相からも,「日本とポーランドとの文化交流を強化すべく更なる取り組みについて協議したい」旨の発言がありました。関連してモラヴィエツキ首相より,「本年のショパン国際コンクールには非常に多くの日本人が参加予定であり,活躍を期待したい」と述べました。
3 地域情勢
両首脳は,東アジア及び欧州の情勢について意見交換し,戦略的パートナーとして,法の支配に基づく国際秩序のために連携していくことで一致しました。北朝鮮情勢については,国連安保理決議の完全な履行を含め,北朝鮮の完全な非核化に向けて,引き続き緊密に連携していくことで一致したほか,安倍総理大臣から,最重要課題である拉致問題の早期解決に向けた理解と協力を求め,モラヴィエツキ首相の支持を得ました。
また,英国のEU離脱についても意見交換し,EU・日本共に,離脱後の英国と緊密な関係を構築していくことの重要性で一致しました。
[参考]V4(ヴィシェグラード4)
チェコ,ハンガリー,ポーランド及びスロバキアによる地域協力の枠組み。
1991年にハンガリーのヴィシェグラードで創設された。