寄稿・インタビュー

(2017年1月21日付)

「二つの海洋大国―日本の外務副大臣,二国間関係強化につき語る」

平成29年2月1日

 日本の岸信夫外務副大臣は,カシメリニ紙のインタビューにて,海運分野におけるギリシャと日本の強い絆,東京オリンピックを控えた二国間関係の強化,ギリシャのインフラ部門民営化計画に対する日本企業の関心について述べた。岸副大臣は,1月14日から16日までギリシャを訪問し,日本とギリシャは「世界最大の海洋国」であり,1952年以来ギリシャの船主は日本から1724隻の新造船を購入していると指摘し,二国間経済関係の更なる強化への期待を表明した。

 岸副大臣は,「インフラ分野を始めとして日本企業は優れた技術を有している。昨年5月,日本はG7議長国として伊勢志摩サミットを開催したが,その際にも『質の高いインフラ投資』を優先議題の一つに取り上げた」と強調した。岸副大臣は,ギリシャのインフラ部門の民営化において「二国間協力の余地は大きい」と述べた。

 他方,「ヨーグルト,オリーブ,ワイン等ギリシャ産品は日本で人気が高く,貿易拡大の余地がある。今後も,こうした分野で経済関係が発展することを期待する」と述べた。

 ギリシャは,岸副大臣の欧州訪問における最初の目的地である。岸副大臣は,二国間の実質的な絆を強調しつつ,「近年,ウクライナや東シナ海・南シナ海において,力による一方的な現状変更の試みが見られるなど,東アジアと欧州の安全保障は共通する課題に直面している」とし,日本,欧州,米国等が連携し,国際社会の平和と安定を確保することは極めて重要であるとした。特に,日本とギリシャにとって,「海洋における法の支配は両国の繁栄にとって不可欠である。今回のギリシャ訪問を通じて,両国が海洋における法の支配の確立に向けて連携していくことで一致できたのは大変有意義であった」と述べた。

 岸副大臣は,移民・難民問題に言及することも忘れなかった。「ギリシャは移民・難民問題の最前線にある。私は,エレオナスの難民収容施設を訪問し,ギリシャの人々がUNHCRと共に難民問題に懸命に取り組まれている姿に感銘を受けた」としつつ,難民問題につき日本も積極的に取り組んでおり,「日本は難民発生の根本原因である中東地域の安定化に資するよう積極的な貢献をしてきている」と述べた。

 英国のEU離脱に関して,「日本はその動向を注視している」とし,「離脱プロセスが,世界経済に大きな混乱をもたらすことなく円滑に進むことを希望する」と述べた。

 また,岸副大臣は,キプロス問題について,「日本は国連安保理非常任理事国として,強い関心を持って注視していく」と述べた。

 友好と文化によるつながり (写真下,囲み記事)
 岸副大臣は,民主主義,法の支配,人権,市場経済といった両国が共有する基本的価値と原則について語った。「2019年は日・ギリシャ通商修好条約締結120周年であり,二国間関係強化の好機である。また,2020年に予定されている東京オリンピックも関係強化の重要なきっかけとなりうる。日本人は皆オリンピック発祥の地であるギリシャに敬意を抱いており,古代ギリシャで生まれた精神を受け継ぎ,東京大会の成功に向けて努力したい。現在,日本は,2020年までに100か国1000万人以上を対象とする事業 "Sport for Tomorrow"を推進している。今回の訪問において私は,同事業にて訪日した(リオ五輪体操吊り輪の)金メダリスト,レフテリス・ペトルーニアス選手と懇談した。東京オリンピックの際には,多くのギリシャ人の皆さんが日本を訪問することを期待する」と述べた。
(写真キャプション「岸副大臣はエレオナス難民収容施設を訪問した」)



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