ボスニア・ヘルツェゴビナ
岸外務副大臣のボスニア・ヘルツェゴビナ訪問(結果)
平成28年10月12日
岸信夫外務副大臣は,10月8日から9日まで,ボスニア・ヘルツェゴビナを訪問したところ,概要は以下のとおりです。
1 草の根文化無償資金協力「スポーツ活動を通じた地域融和のためのモスタル市スポーツセンター改修計画」の引渡式への出席(10月9日)


岸副大臣は,平成26年度草の根文化無償資金協力「スポーツ活動を通じた地域融和のためのモスタル市スポーツセンター改修計画」(約2,900万円)の引渡式に出席しました。このプロジェクトは,1990年代前半に発生した民族紛争の激戦地の一つとなったモスタル市において,スポーツセンターのサッカー場などを改修し,異なる民族の子供たちがスポーツを通じて交流するための場を提供するもので,サッカー元日本代表主将の宮本恒靖氏が主導するスポーツ・アカデミー「マリ・モスト」の活動と連携したものです(注1)。
引渡式において,岸副大臣は,このプロジェクトの本格始動に当たり,将来を担う子供たちがスポーツを通じて友情を育み,民族間の架け橋になることを期待する旨述べました。また,式典に出席したブルキッチ外務副大臣,ベシュリッチ・モスタル市長等から本件支援への謝意が述べられた他,宮本恒靖氏からビデオメッセージが寄せられました。同国出身のオシム元日本代表監督も式典に参加しました。
(注1)宮本恒靖氏は,ボスニア・ヘルツェゴビナにおけるスポーツを通じた民族融和に関する取組として,モスタルに異なる民族の子供たちがサッカー等を学べるスポーツ・アカデミー「マリ・モスト」(現地語で「小さい橋」を意味する。)を開設しており,本計画により改修されたサッカー場は同アカデミーの活動場所となる。
2 政府要人等との意見交換


- (1)イゼトベゴビッチ大統領評議会議長(元首)への表敬(10月8日)
岸副大臣から,外交関係樹立20周年の機会に,ボスニア・ヘルツェゴビナを訪問できたことを嬉しく思う,日本政府は,紛争終結直後からボスニア・ヘルツェゴビナの国造りを積極的に支援してきており,今後とも同国の国内改革を支援していきたい旨述べました。また,今月上旬のJETROによるビジネス視察ミッションに言及し,今後の投資環境整備に向けた期待を表明しました。さらに,ボスニア・ヘルツェゴビナにおける民族融和に資するものとして,上記1のプロジェクトを紹介し,異なる民族の子供たちの間で交流が深まることを期待する旨述べました。
イゼトベゴビッチ大統領評議会議長からは,これまでの日本の支援に対する謝意の表明があり,特に,上記1のプロジェクトについて,モスタルにおける主要3民族の融和に寄与する素晴らしいプロジェクトである旨発言がありました。また,今後の両国間の経済関係強化への期待が述べられました。双方は,20周年に際し,様々な分野で協力関係を一層強化していくことで一致しました。 - (2)インツコ上級代表(注2)との会談(10月8日)
岸副大臣から,インツコ上級代表が,7年以上にわたって,ボスニア・ヘルツェゴビナの平和と安定に貢献していることを評価している旨述べるとともに,日本として,引き続きボスニア・ヘルツェゴビナの平和と安定のために貢献し,同国の改革努力を後押ししていきたい旨述べました。インツコ上級代表からは,これまでの日本の支援に対する深い感謝の意が表されました。双方は,同国の発展に向けて,今後も密接に連携していくことで一致しました。
(注2)ボスニア・ヘルツェゴビナでは,1990年代前半の民族紛争により,20万人以上が犠牲となり,200万人が難民又は国内避難民となる事態となった。この紛争は,1995年12月のデイトン合意により終結。インツコ上級代表は,デイトン合意に基づき,同国の民政面での和平履行を監督する役割を担っている。 - (3)この他,ブルキッチ外務副大臣(10月9日),カペタノビッチ外務次官補(10月8日)との間で二国間関係等につき意見交換を行いました。