投資関連協定とは,我が国と締結相手国の投資家が安定的に,予見性を持って投資活動を行うための法的枠組みである投資協定及び投資章を含むEPA/FTAのことを指します。投資関連協定のうち,投資参入後の投資財産の保護(内国民待遇,最恵国待遇,公正かつ衡平な待遇,不当な収用の禁止,紛争解決手続等)についてのみ規定するものを「保護型」,これに加えて投資参入段階における内外無差別等の自由化についても規定するものを「自由化型」と呼んでいます。これらの協定により,相手国における投資環境の透明性,法的安定性及び予見可能性が向上し,日本企業の海外展開,我が国からの投資の保護・促進,相手国からの対日投資の拡大につながることが期待されます。
日本企業の多くが世界的にその活動範囲を拡げており,今や我が国の対外直接投資残高は米国,オランダ,中国,香港,英国に次いで世界第6位(2018年時点)であり,外国投資は,モノやサービスの貿易と並んで,日本企業の活動に欠かせない柱となっています。
他方,貿易に関しては世界貿易機関(WTO)で多国間の包括的なルールが決められている一方で,投資に関してはこのような包括的なルールは存在しません。このため,投資の保護・促進の観点から,二国間や複数国の間で投資関連協定を結び,投資をしやすい環境を創り出すことが重要です。
世界で締結された投資関連協定の数は,国連貿易開発会議(UNCTAD)の報告では,1990年代から急増し,約2,800件(2020年6月現在)とされています。我が国も,51本の投資関連協定を発効済又は署名済であり,78の国・地域をカバーしています(2020年6月現在)。今後も,中東,中央アジア,中南米,アフリカ等の国々との間で投資関連協定の交渉を積極的に進める方針です。