G7
G7首脳テレビ会議(概要)
令和5年12月7日

12月6日、午後11時30分から約1時間30分、本年のG7議長国である我が国の主催により、G7首脳テレビ会議が行われ、岸田文雄内閣総理大臣が議長を務めたところ、概要は以下のとおりです。
今回の会議では、G7日本議長年の総括として、ウクライナ情勢や中東情勢を始めとする重要課題について議論が行われました。今回の会議の冒頭には、ヴォロディミル・ゼレンスキー・ウクライナ大統領(H.E. Mr. Volodymyr ZELENSKYY, President of Ukraine)も参加しました。会合後、G7首脳声明が発出されました。
1 冒頭
- 岸田総理大臣は、国際社会が複合的な危機に直面する中、G7広島サミットでは、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化、G7を超えたパートナーとの関係強化という二つの視点から議論を行い、G7の結束を示すことができた旨述べました。
- 岸田総理大臣は、本年を通じて、中国や北朝鮮を含むインド太平洋についても有意義な議論を行うことができ、また、食料、保健、気候・エネルギー、AI等の分野で、グローバル・サウスとも協力して具体的な行動をとっていく姿勢を示すことができた旨述べ、本年の日本議長下でのG7の成果を強調しました。
2 ウクライナ情勢
- 冒頭のゼレンスキー大統領の発言に続き、岸田総理大臣は、中東情勢が緊迫化する中でも、G7がロシアによるウクライナ侵略への国際社会の対応を主導する姿勢は不変である旨強調するとともに、公正かつ永続的な平和を実現するべく、G7は引き続き結束して対露制裁とウクライナ支援を強力に推進していくとの決意を示しました。また、日本として今回新たに人道及び復旧・復興支援を含む10億ドル規模の追加支援を決定した旨述べ、今後この追加支援と世銀融資への信用補完を合わせて総額45億ドル規模の支援を行っていく用意がある旨表明するとともに、G7はウクライナと共にあることを改めて強調しました。
- 続く議論の中で、岸田総理大臣は、中長期的観点からのウクライナの復旧・復興支援も重要である旨指摘するとともに、日本は民間セクターの関与も得て来年2月に日・ウクライナ経済復興推進会議を開催し、官民一体の支援の重要性を示していく旨紹介しました。
- 岸田総理大臣は、対露制裁に関して、ロシア個人・団体の追加制裁に加え、制裁の迂回に関与した疑いのある第三国団体も年内に制裁対象に指定予定である旨紹介しました。また、岸田総理大臣は、来年1月からのロシア産ダイヤモンドの直接輸入規制も導入し、その後段階的な間接輸入規制についても導入していく旨紹介しました。岸田総理大臣は、引き続きG7で連携して効果的な制裁を実施していきたい旨述べました。
- 議論の結果、G7首脳は、G7のウクライナへの連帯は揺るがないこと、引き続き対露制裁とウクライナ支援を強力に推進していくことで一致しました。
3 中東情勢
- 岸田総理大臣は、日本として、ハマス等によるテロ攻撃を断固として非難する立場に変わりはない旨述べるとともに、全ての人質の一日も早い解放を引き続き求めていく旨述べました。
- 岸田総理大臣は、現地の人道状況の深刻化を極めて憂慮しており、全ての当事者に国際人道法を含む国際法の遵守や安保理決議に基づく誠実な行動を求めていくことが重要である旨強調しました。
- 岸田総理大臣は、事態発生以降、G7全体で6億ドル以上の対パレスチナ人道支援を発表した旨指摘し、我が国もしっかりと支援を実施してきている旨述べました。
- 岸田総理大臣は、先般、米国を始め関係各国の尽力により、戦闘休止、人質解放及び人道支援物資のガザ地区への搬入増大が実現したことを歓迎していたが、その後の戦闘再開は残念であり、戦闘休止が再び実現することを強く期待する旨述べました。
- 岸田総理大臣は、国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)の際に多くの中東諸国の首脳と会談し、事態の沈静化や人道状況の改善を働きかけた旨紹介しました。また、この会議の直前に電話会談を行ったネタニヤフ・イスラエル首相にも、人道状況の改善の必要性等を働きかけた旨紹介しました。
- 岸田総理大臣は、地域情勢の一層の不安定化を阻止することも重要である旨指摘するとともに、船舶の「拿捕」や攻撃事案が相次いでいることを強く懸念する旨述べました。また、先日ライースィ・イラン大統領に対し、関係勢力に対して自制を強く働きかけるよう求めた旨紹介しました。
- 議論の結果、G7首脳は、事態の沈静化や人々への支援を引き続きG7が主導していくことを確認しました。
4 AI
- 岸田総理大臣は、12月1日のG7デジタル・技術大臣会合で合意された「広島AIプロセス包括的政策枠組」を歓迎するとともに、これはAIについて世界で初めて関係者が遵守すべきルールを包括的に定めた画期的なものである旨強調しました。
- 岸田総理大臣は、広島AIプロセスで具体的な成果を上げたことにより、急速に進展する生成AIのガバナンスについて、G7が効果的かつ迅速に対応できることを世界に力強く示すことができた旨述べました。
- 岸田総理大臣は、これで広島AIプロセスは終わりではなく、今後、閣僚会合で策定された、広島AIプロセスを更に前進させるための作業計画に基づき、国際指針や行動規範といった今般の成果を、グローバル・サウスや企業を含め広く国際社会に拡大していきたい旨述べました。また、来年のイタリア議長下でも、安全、安心で、信頼できるAIの実現に向けた取組を引き続きG7で主導していくことを呼びかけました。
5 気候
- 岸田総理大臣は、1.5度目標の道筋に乗るべく、2030年までの行動が重要である旨指摘するとともに、現在開催中のCOP28が成果を上げられるよう、G7として後押ししたいと呼びかけました。
- 岸田総理大臣は、日本は、徹底した省エネや、再エネ・原子力を含むクリーンエネルギーの最大限の導入に加え、産業分野の脱炭素化も進め、世界の脱炭素化に貢献していく旨述べました。
- 岸田総理大臣は、COP28において、日本は、自身のネット・ゼロへの道筋に沿い、エネルギーの安定供給を確保しつつ、排出削減対策の講じられていない新規の国内石炭火力発電所の建設を終了していくと表明した旨紹介しました。
- 岸田総理大臣は、全ての国が多様な道筋の下でネット・ゼロという共通の目標を目指すことが重要である旨強調しました。また、特に世界の排出の半分を占めるアジアでの取組が重要であり、日本の技術力と金融力をフル活用して後押しする旨述べました。
6 経済的強靱性・経済安全保障
- 岸田総理大臣は、経済的強靱性及び経済安全保障の分野におけるG7の連携が進展したことを歓迎するとともに、非市場的政策・慣行や経済的威圧への対応、サプライチェーンや基幹インフラの強靭化、機微技術の管理等における連携強化が必要である旨指摘しました。
- 岸田総理大臣は、これらの課題に緊密な連携の下で包括的に取り組んでいくことが重要であり、広島での議論と「経済的強靱性及び経済安全保障に関するG7首脳声明」はその土台であり、今後ともG7としての連携を強化したい旨述べました。
7 結語
最後に、岸田総理大臣からG7各首脳に対し、G7日本議長年における協力に心からの感謝を伝えました。また、岸田総理大臣は、イタリア議長年となる来年、メローニ・イタリア首相のリーダーシップの下で更に協力を深めていけることを心から楽しみにしている、日本はイタリアへの協力を惜しまない旨述べ、会議を了しました。