投資

投資関連協定の締結促進等投資環境整備に向けたアクションプラン

平成28年5月11日

総務省
法務省
外務省
財務省
農林水産省
経済産業省
国土交通省

1 背景・意義

  • (1)海外に拠点を構える日系企業の数は近年増加してきており,2014年時点で68,573拠点を数えるに至った。また,我が国の対外直接投資は2000年時点に比べ,約2.6倍となり,2005年度以降,所得収支と貿易収支が逆転した。このように,我が国から海外への投資が一層進んでいる。同時に,新興国を中心に世界の市場が急速な勢いで拡大を続ける中,日本企業や日系企業は,熾烈な海外市場の獲得競争に晒されている。我が国の経済成長をより強固で安定的なものにしていくためには,貿易投資立国としての発展を目指し,世界のビジネス環境をより一層整備していく必要がある。
  • (2)かかる観点から,投資家やその投資財産の保護,規制の透明性向上,機会の拡大等について規定する投資協定及び投資章を含む経済連携協定(EPA)・自由貿易協定(FTA)(以下,投資関連協定)は,投資支援のツールとしての重要性を一層増している。投資関連協定は,海外における我が国投資家の適切な保護を確保するとともに,国内外の市場に跨がる投資環境を整備し,日本企業の海外展開及び対日直接投資を促進する役割が期待されており,日本政府は,他の経済政策と並び,既存協定の改正を含む投資関連協定の締結を一層加速し,投資環境の整備を進めていく必要がある。
  • (3)かかる認識の下,日本政府は,日本再興戦略(平成25年6月14日閣議決定)において,「企業の海外展開の推進,鉱物・エネルギー資源の安定的な供給の確保等の観点から,我が国産業界のニーズ,投資章を含む経済連携協定の締結状況等を踏まえ,投資協定の締結を加速する。このため,投資協定の締結促進及び効果的活用に向けた指針を策定・推進する。また,その実現に向け,関係当局の体制強化等を進める」ことを決定した。以下に,投資関連協定の締結促進及び効果的活用による投資環境の整備に向けた具体的指針を示す。

2 現状

  • (1)投資関連協定は,1962年に西独とパキスタンとの間で世界初の投資協定が発効したことを皮切りに世界各国で締結が進められた。我が国については,1978年,エジプトとの間で初の投資協定が発効し,以降,これまで重要な経済関係を有するアジア地域の国々を中心に,投資関連協定を締結してきた。
  • (2)我が国は,現在,35本の投資関連協定を締結し,35の国・地域をカバーしている。署名済み未発効の協定と交渉中の協定が全て発効すると,79の国・地域をカバーすることとなる。
  • (3)一部主要国は,歴史的経緯から投資関連協定を早くから締結してきたが,比較的近年になってから投資関連協定の締結に取り組んできた我が国としても,産業界のニーズや相手国の事情に応じながら,新規協定の締結及び既存協定の改正に向けた交渉を一層積極的に進めていく必要がある。
  • (4)なお,これまで,投資関連協定については,OECDやWTOにおいて,多国間の議論が進められてきたものの,多国間の枠組みは必ずしも成就していないという現状もある。

3 今後の指針

 下記諸点を踏まえつつ,投資関連協定の締結を始めとして,投資環境の整備を促進していく。

投資関連協定数の拡大

 我が国として,投資関連協定の締結促進に集中的に取り組み,2020年までに,投資関連協定について,100の国・地域を対象に署名・発効することを目指す。なお,目標値については,今後の経済情勢や交渉相手国との関係、投資関連協定の締結の意義及び効果を定期的に検証し,その結果を反映していくものとする。

交渉相手国の選定

 毎年度,交渉相手国の選定を政府内で検討する。その際に,具体的な相手国・地域は,以下の事情を総合的に勘案の上,方向性を検討していく。

  • (1)我が国から相手国・地域への投資実績と投資拡大の見通し
  • (2)我が国産業界の要望
  • (3)我が国外交方針との整合性
  • (4)相手国・地域のニーズや事情等

高いレベルの質の確保

 投資関連協定の締結交渉に当たっては,投資市場への新規参入段階から無差別待遇を要求する「自由化型」の協定を念頭に,投資家保護等の分野でISDS(投資家対国の紛争解決)条項の挿入も含め高いレベルの質を確保することを不断に追求する。同時に,産業界の具体的なニーズや相手国の事情等に応じながら,スピード感を重視した柔軟な交渉を行う。

多数国間の議論

 我が国が目指すべき投資環境を作っていくためには,国際的な議論にも貢献していく必要がある。したがって,我が国は,二国間又は複数国間の投資関連協定の交渉を積極的に進めると同時に,多数国間フォーラムなどにおける投資環境整備に向けた国際的な議論に積極的に貢献していく。

その他の分野との関係

 協定を締結するに当たっては,従来からの投資協定の内容のみならず,近年の経済・社会状況の変化も踏まえ,サービスや電子商取引等の分野を含めることも検討するなどして,新たな企業活動にも対応した投資環境を作り上げることにより我が国の経済成長を目指す。その際,官民連携の観点からもODAによる経済協力分野での取組みと投資関連協定との複合的効果についても考慮する。

4 体制

 日本政府として,投資関連協定締結促進のため,体制を強化する。

  • (1)政府横断的な交渉体制の整備・強化につき,外務省を中心に関係省庁が緊密に連携し,交渉官数の増加,投資関連協定交渉に有益な知見を持つ民間出身の人材の交渉チームへの参加の一層の促進などにより,体制を強化する。
  • (2)投資関連協定の締結の意義や成果は,我が国企業による評価が必要不可欠である。政府は,我が国企業との意見交換を継続的に行い,投資関連協定の締結や活用のあり方について不断の見直しを行っていく。
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