G20(金融・世界経済に関する首脳会合)
G20首脳テレビ会議(概要)
令和5年11月23日

日本時間11月22日午後9時から約3時間30分、G20議長国インドの主催により、G20首脳テレビ会議が行われ、岸田文雄内閣総理大臣が出席したところ、概要は以下のとおりです。
今回の会議では、多国間システムの改革、気候変動、デジタル、女性主導の開発といった重要課題について議論が行われました。G20メンバーは、国際社会が直面する課題に対処するため、引き続きG20の協力が重要であることを確認しました。
1.総論
- 岸田総理大臣は、ニューデリー・サミットを主導し、今回の首脳テレビ会議を主催するモディ・インド首相のリーダーシップに敬意を表しました。また、アフリカ連合(AU)のG20正式メンバーとしての参加を歓迎しました。
- 岸田総理大臣は、現在、国際社会は一層複雑化する危機に直面している、中でも、ロシアによるウクライナ侵略は、これまで各国が非難してきているにもかかわらず今も続いており、世界の持続可能な発展の基盤を揺るがしている旨述べました。
- 岸田総理大臣は、こうした中、国際社会が直面する諸課題に対処するに当たっては、まずもって「人間の尊厳」が守られる世界を目指していくべきであり、我が国は、人間の安全保障の理念に基づき、これまでも様々なパートナーと連携しながら諸課題に取り組んできた旨強調しました。
2.多国間システムの改革
- 岸田総理大臣は、国際社会の諸課題により効果的に対応するためには、多国間システムの改革が必要である旨指摘し、安保理改革を含む国連の機能強化が重要であり、各国と連携し、具体的な行動に繋げたい旨述べました。
- 岸田総理大臣は、国際開発金融機関(MDBs)については、地球規模課題に直面する途上国を支援するべく、大胆な機能強化が必要であり、日本は、世界銀行が先日発表した革新的な保証の仕組みを通じて、数十億ドル規模の融資余力の拡大に貢献する旨述べました。
- 岸田総理大臣は、国際ルール・スタンダードを遵守した透明で公正な開発金融の重要性につき、全ての債権国及び債務国が認識を共有すべきである旨述べました。また、中所得国を含む途上国の迅速な債務再編や債務透明性の向上も不可欠である旨指摘しました。
3.気候変動
- 岸田総理大臣は、気候変動は引き続きG20が取り組むべき喫緊の課題であり、気温上昇を1.5℃に抑えるべく、ニューデリーで合意した内容を更に進め、COP28に向け野心を高めていかなければならない旨述べました。また、全締約国に対し、2050年ネット・ゼロ、世界の温室効果ガス排出量の2025年までのピークアウト及び全ての温室効果ガスを対象とする絶対削減目標の設定へのコミットメントを期待する旨述べました。
- 岸田総理大臣は、脆弱国への支援のため、能力を有する全ての締約国及びステークホルダーによる資金動員への貢献が重要である旨述べました。
- 岸田総理大臣は、ニューデリーで確認したとおり、各国の事情に応じた多様な道筋の下で、ネット・ゼロという共通のゴールを目指すべきである旨述べました。また、日本は、経済協力開発機構(OECD)やアジア開発銀行(ADB)による取組を支持するとともに、「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」構想の初の首脳会合を12月に東京で開催し、パートナー国と共にあらゆる技術やエネルギー源を活用してイノベーションを推進していく旨紹介しました。
4.デジタル
- 岸田総理大臣は、AIに関して、リスクに適切に対応し、AIの恩恵を促進する国際的なガバナンスの確立が重要である旨述べました。
- 岸田総理大臣は、日本はG7広島サミットで立ち上げた広島AIプロセスを通じ、高度なAIの国際的なガバナンスの構築に取り組んでいることを紹介しました。また、今後、G7を超えた国・地域とも協力していきたいと考えており、安全、安心で信頼できるAIを推進し、国際社会全体が恩恵を享受できるよう、G20のAI原則も踏まえ、G20メンバーとも協力していきたい旨述べました。
5.女性主導の開発
- 岸田総理大臣は、ニューデリー・サミットでも確認されたとおり、ジェンダー格差を是正し、社会・経済のあらゆる領域とレベルで女性の参加を推進することが必要である旨述べました。
- 岸田総理大臣は、日本は女性・平和・安全保障(WPS)の推進を強化しており、防災分野も含め十分かつ平等な女性の参画の確保を重視している旨紹介するとともに、引き続き各国と連携していきたい旨述べました。
6.結語
岸田総理大臣は、来月から始まるブラジル議長下でも、「人間の尊厳」に光を当てつつ、引き続き様々な課題にG20メンバーで協力して対応していけるよう、日本として貢献していく考えである旨述べました。
(参考)G20首脳テレビ会議への参加国及び国際機関
- G20メンバー
日本、インド(議長国)、アルゼンチン、豪州、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インドネシア、イタリア、メキシコ、韓国、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、英国、米国、EU、コモロ(アフリカ連合(AU)議長国) - 招待国
バングラデシュ、エジプト、モーリシャス、オランダ、ナイジェリア、オマーン、シンガポール、スペイン、アラブ首長国連邦 - 国際機関
アジア開発銀行(ADB)、災害に強靭なインフラのためのコアリション(CDRI)、金融安定化理事会(FSB)、国際労働機関(ILO)、国際通貨基金(IMF)、太陽に関する国際的な同盟(ISA)、経済協力開発機構(OECD)、国際連合(UN)、世界銀行、世界保健機関(WHO)、世界貿易機関(WTO)