APEC(アジア太平洋経済協力、Asia Pacific Economic Cooperation)
2017年ベトナムAPECダナン閣僚会議
平成29年11月11日



1 日程
11月 | 8日 | 午前 | セッション1:地域及び世界経済の現状とAPECのリーダーシップ |
セッション2:成長のための新たな活力 | |||
午後 | セッション3:地域経済統合のための新たな活力 |
2 個別セッションの概要
(1)セッション1:地域及び世界経済の現状とAPECのリーダーシップ
ア 成長と経済統合におけるAPECの役割,2020年以降のAPECのビジョン等について議論が行われた。
イ 日本からは,概要次のとおり発言。
- (ア)自由で開かれた貿易と投資を通じた持続的な成長は,アジア太平洋地域の繁栄と安定にとって不可欠。日本は自由貿易の旗手として,自由で公正なルールに基づくマーケットを世界に広げるべく,主導力を発揮していく。
- (イ)10日に予定されている環太平洋パートナーシップ(TPP)首脳会合において,11か国が早期発効に向け大筋合意を果たし,自由で公正な21世紀型の貿易・投資ルールを定めることを期待。TPPと質の高い東アジア地域包括的経済連携(RCEP)によって,アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)実現に向けた「道筋」を着実に進展させたい。
- (ウ)APECが引き続き地域の貿易・投資の自由化の推進役となり成長を続けていくこと,また,デジタル貿易等の新しい課題に果敢に挑戦することが2020年以降のAPECが目指す姿であり,日本はそのために貢献していく。
(2)セッション2:成長のための新たな活力
ア 持続的・革新的・包摂的成長の促進及び気候変動に対応した食料安全保障と持続可能な農業の促進等について議論。
イ 日本からは,概要次のとおり発言。
- (ア)グローバル化やイノベーションによる格差拡大への不安の声に対応するためには,零細・中小企業の競争力強化,構造改革,エネルギー協力,保健,女性の活躍推進,食料安全保障,防災等を通じた「成長と分配の好循環」の実現に向けた取組が重要。
- (イ)零細・中小企業の競争力強化が重要な課題。このため,我が国はベトナムとともに取り纏めた「裾野産業育成ベスト・プラクティス」を紹介。
- (ウ)経済の構造改革を進める上で,国有企業の改革が重要な課題。APECで進められている国有企業のガバナンス改善の取組を評価。日本もこれをサポート。
- (エ)地域の経済成長のためには,多様なエネルギーへのアクセスの確保が重要。日本はこの分野で引き続き貢献していく所存。
- (オ)女性の活躍推進を含む「ダイバーシティ経営」の促進も重要。日本は,「APECジェンダー・ダイバーシティ経営フォーラム」を開催。
- (カ)保健には,ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を通じた医療制度の整備と高齢化に対する対処の2つの課題がある。日本は「アジア健康構想」の下,地域の人材育成に協力していく所存。
- (キ)食料安全保障の強化のためには持続可能な農業の推進が不可欠。農産品の付加価値の向上に向けて,日本は,APECにおけるフードバリューチェーン構築の取組を進めていく。
- (ク)防災は地域の連結性,バリューチェーンを強靱にする上で重要。日本は,APECにおいても,大規模災害による経済的な負の影響の軽減に資する取組を実施していく所存。
(3)セッション3:地域経済統合のための新たな活力
ア 地域経済統合の深化,デジタル時代における零細・中小企業の競争力・イノベーションの強化等について議論。
イ 日本からは,概要次のとおり発言。
- (ア)レベル・プレイング・フィールドの確保,市場歪曲措置の是正,不公正な貿易慣行の除去を通じ自由で公正な貿易ルールを実現していくことが重要。
- (イ)世界貿易機関(WTO)を中核とするルールに基づく多角的貿易体制を強化することが重要,また,デジタル貿易等の新たな課題の対応に向けた成果が必要。
- (ウ)連結性の強化は,地域経済統合,国際社会の安定と繁栄の基盤として重要。国際スタンダードに則った質の高いインフラ整備が肝要。G7伊勢志摩5原則に加え,インフラの開放性と透明性の重要性を域外にも拡げ,国際社会全体の安定と繁栄に貢献していくことを慫慂。