安倍総理大臣

平成26年3月24日

(仮訳)

先進的な原子力活動における日米二国間の連携の歴史,及び日本にある全ての核物質が平和的利用の下にあるとのIAEAの拡大結論を想起し,

日本やその他の国々における機微な核物質の削減や,それら物質の米国への安全な輸送により,世界的な核セキュリティを強化してきた地球規模脅威削減イニシアティブ(GTRI)などを通じた日米協力を想起し,並びに

2009年4月5日にチェコ共和国プラハのフラチャニ広場で行われたオバマ大統領の演説を想起し,

日本とアメリカ合衆国は,共通の目標である核テロの阻止に向けて,二国間の核セキュリティ作業グループやGTRIのような活動を通じて,核セキュリティを強化し更なる協力を進めるとの決意を再確認する。

本日,安倍内閣総理大臣とオバマ大統領は,第3回となる核セキュリティ・サミットの機会に,オランダのハーグにおいて,日本にある日本原子力研究開発機構(JAEA)の高速炉臨界実験装置(FCA)から,高濃縮ウラン(HEU)及び分離プルトニウムを全量撤去し処分することを表明した。この取組は,数百キロの核物質の撤廃を含んでおり,世界規模でHEU及び分離プルトニウムの保有量を最小化するという共通の目標を推し進めるものであり,これはそのような核物質を権限のない者や犯罪者,テロリストらが入手することを防ぐのに役立つ。これらの核物質は,米国に安全に輸送された後,セキュリティの強固な施設に移送され,より機微でない形に完全に転換される。プルトニウムは,最終処分に向けた処理がなされ,HEUは低濃縮ウラン(LEU)に希釈され民生目的に利用されることとなる。

FCAからHEU及び分離プルトニウムを全量撤去し処分することにコミットすることによって,日本と米国は,最先端科学が最も拡散上機微な物質の使用を必ずしも必要としないということを改めて確信する。この文脈で,日米両国は,核廃棄物の核変換及び処分に関する重要な研究を含む形でFCAという施設の研究対象を拡張しつつ,FCAの機能を強化する新たな施設の設計を行うべく協働する予定である。さらに,日本が原子力研究や医療用放射性同位元素の生産に関する重要な活動を,安全かつセキュリティが確保された状態でさらに進めることができるよう,米国は,LEUを利用している日本の複数の施設から研究炉の使用済み燃料の受入れを継続する。

この日米協力の発表は,日米両国が世界的な核セキュリティの継続的な向上のための新たな方途を探る上で果たしている重要な役割を際立たせる。この分野で国際社会が達成し得る成果の大部分が,難しい意思決定を要するものであるが,日本はFCAの特殊な核物質を全量撤去することを決断したことにより,その指導力を示した。これは,核物質の保有量を最小化するというこれまでの全てのサミットのコミュニケの精神に則ったものである。日米両国は,更なるHEUとプルトニウムの最小化のために何ができるかを各国に検討するよう奨励する。

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