安倍総理大臣

日米核セキュリティ作業グループ(概要と成果)

平成26年3月24日

1.日米核セキュリティ作業グループ(概要)

(1)2010年4月にワシントンDCで開催された核セキュリティ・サミットの後,2012年ソウル核セキュリティ・サミットに向け,日米間で核セキュリティ分野での協力を推進するための作業グループを設置することについて米国から提案があった。2010年11月の日米首脳会談に際し,同作業グループの設立を公表し,設置に至った。以下2の9つの分野において協力を推進している。

(2)。第1回会合を2011年1月(於:東京),第2回会合を同年8月(於:米国サバンナリバー),第3回会合を2012年2月(於:東京),第4回会合は2013年1月(於:アルバカーキ)にて開催。

(3)日本側からは,外務省,内閣官房,内閣府,原子力規制委員会,警察庁,文科省,資源エネルギー庁,国交省,海保庁及び防衛省が参加。米国側からは,国家安全保障会議(NSC),エネルギー省,国務省,国防省,国土安全保障省,連邦捜査局(FBI)及び原子力規制委員会(NRC)が参加。

2.これまでの成果(ポイント)

 日米核セキュリティ作業グループは,核セキュリティ・サミット・プロセスを支え,世界的な核セキュリティ強化における指導力を発揮するとの日米の考えにより設置され,具体的な取組を含むロードマップを作成した。以下の9つの分野において協力を推進し,具体的成果を挙げ,テロの脅威を低減してきている(日米共同発表ファクト・シート(英文)(PDF))。

(1)核不拡散・核セキュリティ総合支援センター(ISCN)における協力

 我が国の日本原子力研究開発機構(JAEA)に,アジア初の中核拠点として2010年12月に設立されたISCNにて,両国が協力し,核不拡散・核セキュリティ分野での国際的な能力強化のプログラムを発展させてきた。日米協力のプログラムにより,27か国からの約250名の参加者が最先端の研修・訓練で裨益した。

(2)核鑑識,核物質の検知及び測定に係る技術の研究開発並びに研究の優良事例の共有

 JAEAと米国エネルギー省は,4つの新規の技術協力プロジェクトを通じて核鑑識能力を向上させた。日米の核鑑識の専門家は,ウラン年代測定や,核燃料の特徴分析,またJAEAにおける国家核鑑識ライブラリーの試行版の立ち上げといったプロジェクトを通じて,継続的に連携している。

(3)保障措置の実施に係る協力

 2013年2月に,JAEAと米国エネルギー省は保障措置の開発協力25周年を迎えた。この協力を通じた成果により、核燃料サイクル施設で遠隔自動検認手法の依存度が一層高まるなど、IAEAの国際保障措置システムへの移行を促進してきている。2011年以降,さらに10件のプロジェクトを立ち上げ,協力を拡大している。
 また,JAEAと米国エネルギー省は,2013年9月に,福島第一原子力発電所に適用可能な保障措置技術に関する専門家会合を開催した。さらに,保障措置トレーニング分野においても日米協力を継続している。

(4)新規施設の設計における核セキュリティに関する優良事例の共有

 両国関係者は相互に六ヶ所村及びサバンナリバーに所在する建設中のMOX(ウラン-プルトニウム混合酸化物)施設を見学。JAEAとサンディア国立研究所(SNL)はセキュリティ・バイ・デザインに係るハンドブックを第三国向けに共同開発した。

(5)盗取又は妨害破壊行為の機会を減少させるための輸送のセキュリティに係る協力

 日米両国は,2012年3月にハワイにおいて輸送セキュリティに関する机上演習を実施し,さらに2013年8月には,日本において机上演習の設計と活用に関するワークショップを開催した。このワークショップは,2013年11月に開催された輸送セキュリティに関するバスケット提案の関連行事を準備する上で参考となった。

(6)高濃縮ウランの利用を低減し希釈作業を完了させるための原子炉の転換

 この分野で特に大きな進展があり,日米両政府は,JAEAの高速炉臨界実験装置(FCA)から高濃縮ウラン(HEU)とプルトニウムを全量撤去・処分,日本からの研究炉の使用済み燃料の受入れを10年間延長することを決定した。
 加えて,日米両国は,京都大学と近畿大学の研究炉について低濃縮ウランの使用への転換のための実現可能性に関する調査,東京大学の弥生炉や産業技術総合研究所(AIST)が有しているHEUの希釈,さらにJAEAの材料試験炉臨界実験装置(JMTRC)のHEUを処分のために米国に輸送することに引き続き取り組んでいく。

(7)INFCIRC/225/Rev.5の実施

 JAEAと米国エネルギー省は,ISCNにおいて,IAEAによる核物質及び原子力施設の防護に関する核セキュリティ勧告(INFCIRC/225/Rev.5)の理解の深化と勧告の履行の推進を継続的に支援してきた。更なる連携と情報効果のための一連の専門家会合も立ち上げた。

(8)施設における盗取及び妨害破壊行為に対処する対応部隊の統合

 2010年12月,米国側は,警察,海上保安庁及び事業者が共同参加した六ヶ所再処理工場での核物質防護訓練を視察し,東京での武力対抗演習ワークショップに参加した。2011年11月,日本側は,米国のクーパー原子力発電所での武力対抗演習を視察し,米・原子力規制委員会本部でのワークショップに参加した。
 2013年には,米国原子力規制委員会とエネルギー省は,区分3の核物質を扱う施設の防護及び事案対応に必要となる要件に関して,日本の原子力規制委員会と意見交換を行った。
 これらを通じて盗取,妨害破壊行為に対する対応能力強化のための意見交換を行った。

(9)高濃縮ウラン及びプルトニウムの管理に係る共同研究:物質の誘引の減少

 HEU(高濃縮ウラン)等の物質の核テロ誘引の低下に関する共同研究を成功裡に完了し,2013年9月の核燃料サイクル国際会議において,共同研究の成果を共有した。次なるステップとして,共同研究の提案内容の実現可能性を検討する共同インパクト分析を行うという米国の提案を,日本側が検討中である。日米両国は,イギリス及びフランスとの間で物質の誘引に関する論文の交換及び相互評価を実施することを決定した。

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