科学技術
第12回日英科学技術協力合同委員会共同ステートメント(仮訳)
2023年11月7日、第12回日英科学技術協力合同委員会がロンドンで開催されました。
合同委員会は、アンジェラ・マクリーン英国政府首席科学顧問及び上山隆大総合科学技術・イノベーション会議常勤議員の主導の下、アダム・ジャクソン英国科学・イノベーション・技術省国際研究・イノベーション局長が主催し、外務省の嘉治美佐子科学技術協力担当大使とともに共同議長を務め、日英両国政府や科学関連機関の代表者が出席しました。
合同委員会は、科学、イノベーション、技術に関する日英間の強力かつ包括的なパートナーシップを概観し、両国関係の次の段階への戦略的方向性を定めることを目的として開催されました。合同委員会では、広島アコード(PDF)、産業科学・イノベーション及び技術に関する実施取決め(PDF)におけるコミットメントに基づき、基礎研究活動、イノベーション、産業技術協力における最近の進展を支持しました。
科学技術振興機構(JST)、日本学術振興会(JSPS)、日本医療研究開発機構(AMED)及び英国研究・イノベーション機構(UKRI)は、先端国際共同研究推進事業(ASPIRE)プログラム及び英国の国際科学パートナーシップ基金(ISPF)の下での協力を例に挙げ、生物工学、半導体を含む分野における今後の共同活動について言及しました。英国国立保健医療研究所(NIHR)、UKRI医療研究会議(MRC)、AMEDは、認知症や臨床試験を含むトランスレーショナル研究、臨床研究、応用医療・ケア研究における協力の意欲について議論し、具体的な連携内容について議論を進めることで一致しました。
また、日英間の共同研究は神経変性疾患など、多くの分野で増加しており、出席したすべての研究助成機関は、今後もパートナーシップを積極的に強化し、共同研究の機会を開拓していきたいと表明しました。
さらに、ハイパーカミオカンデ計画や、スクエア・キロメーター・アレイ(SKAO)の進展、欧州合同原子核研究機関(CERN)におけるATLAS実験での協力等、日英のコミュニティの間で、国際的な研究施設における貴重な取組が進行中であるという認識も共有されました。
DSITとMETIは日英半導体パートナーシップに基づく協力の進展を実現するために、2024年前半に議論を行う意向を確認しました。また、DSITとMETIの産業技術・イノベーション協力実施取決めに基づく協力のためのマッチングイベントを早期に開催する旨を併せて確認しました。
UKRI Innovate UKと日本の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、Eureka Globalstarsの枠組みを通じて10月23日に公募開始した最新の共同イノベーション・プログラムについて発表しました。両機関は、日英の強みを活かすために革新的な企業が協力する機会を促進すること、また、産業技術における協力のためのワークショップ及び二国間ファンディング・プログラムの可能性について議論を続けることで一致しました。
英国宇宙庁(UKSA)と日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、インレンジ(InRange)、宇宙状況把握(Space Situational Awareness)、ライトバード(LiteBIRD)に関する両者の協力活動についての最新情報を報告し、相互利益のために宇宙に関する協力を深めるため、日英の宇宙機関間での情報共有を継続することで一致しました。
また、上記半導体、宇宙の他、人工知能、生物工学、量子技術といった優先技術の開発とガバナンスに関する情報と優先事項を共有し、より緊密なパートナーシップと協力の分野を特定することで一致しました。
合同委員会では、研究者のネットワークと協力関係の強化、産業革新と重要技術の商業化の支援、科学技術協力を支援するためのガバナンス、基準、政策の形成の議論に焦点が当てられました。また、協力的な科学技術エコシステムを構築する上で、研究者主導のプロジェクトと戦略的資金提供のバランスが極めて重要であることを認識しました。
また両代表団は、日英両国が共同研究や研究者の交流の拡大というビジョンを共有していることを示しました。そして、日英の研究コミュニティが研究・イノベーションにおいて協力する機会を促進・拡大するために協力することを表明しました。このことは、2023年11月7日に東京で英国外務大臣と日本外務大臣との間で署名された「人的交流に関する日英協力覚書(PDF)」にも明記されています。また、研究者が海外交流を行うための適切な条件を提供する国際的な研究システムを構築することが、質の高い研究成果を支え、次世代の科学のリーダーを育成するために極めて重要であるという点で一致しました。
最後に、日英両国は世界の地政学的・技術的動向の変化により、科学技術に関する協調的な行動が一層重要になっていることを認識しました。
次回の日英科学技術合同委員会は2025年に日本で開催される予定です。