原子力の平和的利用

平成27年2月10日
 2月9日(月曜日),IAEA(国際原子力機関)本部において,原子力の安全に関する条約(CNS)に基づき,外交会議が開催され,全会一致で「原子力安全に関するウィーン宣言」が採択されたところ,本件会議の概要は以下のとおりです。(CNSに加盟する76カ国・1機関が出席。)
  1. 昨年春に行われたCNSの第6回検討会合において,投票によりスイスによる条約改正案を検討するための外交会議を開催することが決定され,これに基づき,2月9日に外交会議が開催されました。
  2. 同会議の冒頭,グロッシー議長から,同検討会合以降の締約国間の非公式会合の議論の結果,全会一致での賛成が得られ得る文書として,CNSの目的の実施のための原則を含む「原子力安全に関するウィーン宣言」が提示されました。
  3. 議論の結果,スイスによる改正案に代わり,同様の目的を達成する「原子力安全に関するウィーン宣言」を採択することで一致しました。ウィーン宣言では主に,(1)原子力発電所の新規建設に際して,長期的な敷地外の汚染を引き起こす放射性核種の放出を回避する目的をもって建設されること,(2)既存の原子力発電所についても,安全に関する包括的かつ体系的な評価を実施し,実行可能な安全性の向上を迅速に実施すること,及び(3)締約国がとった措置を今後の原子力安全条約検討会合における報告事項とすること,が新たな内容として盛り込まれています。
  4. 我が国からも,日本政府代表を務める北野充在ウィーン国際機関日本政府代表部大使が,原子力安全の強化に向けた我が国の努力を継続していくと述べた上で,国際的な原子力安全を強化する重要な進展を図るために,締約国が一致した力強いメッセージを国際社会に対して示すことができるとして,ウィーン宣言の採択に賛成しました。
【参考】原子力の安全に関する条約(Convention on Nuclear Safety)概要
原子力安全条約(CNS)は,1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故等を踏まえ,1991年9月,IAEA主催により開催された原子力安全国際会議において作成が合意された条約であり,我が国は同条約が発効した1996年当初からの締約国。同条約は,(1)原子力の高い水準の安全を世界的に達成・維持すること,(2)原子力施設において放射線による潜在的な危険に対する効果的な防護を確立・維持すること,(3)放射線による影響を生じさせる事故を防止すること等を目的とする。

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