通常兵器の軍縮及び過剰な蓄積禁止に関する我が国の取組
自律型致死兵器システム(LAWS)について
令和5年5月25日
自律型致死兵器システム(LAWS: Lethal Autonomous Weapons Systems)とは
人間の関与なしに自律的に攻撃目標を設定することができ、致死性を有する「完全自律型兵器」を指すと言われているものの、定義は定まっていません。
経緯
- 議論のきっかけ
2013年、国際NGOが「殺人ロボット阻止キャンペーン」を開始しました。また、国連人権理事会のヘインズ特別報告において「自律型致死性ロボット」に対する国際社会の対処の必要性が指摘されました。 - CCWで議論
2014年から2016年にかけて、特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の枠組みにおいてLAWSに関する非公式会合が開催されました。
2017年からはCCWの枠組みにおいてLAWSに関する政府専門家会合(GGE)が開催されました。
2019年11月、CCW締約国は、2020年と2021年の2年間にわたってGGEを開催すること、また、11項目から成るLAWSに関する指針(PDF)について一致しました。そして、同指針を含む議論を、規範・運用の枠組みの明確化・検討・発展に関する勧告のための基礎として活用していくこととなりました。
その後、2021年の第6回CCW運用検討会議で2022年のGGE開催、2022年CCW締約国会議で、2023年のGGE開催が合意され、引き続き、CCWの枠組みの下、LAWSに関し、その定義・特徴、人間の関与の在り方、国際人道法上の課題、規制の在り方等について議論が行われています。
CCWの議論における主要論点
- LAWSの定義(特徴)
現存しない兵器であるLAWSを、どのように定義するか。また、LAWSはどのような特徴を持っているか。 - 人間の関与の在り方
LAWSの使用には、一定の人間の関与が必要であることは、国際的に共通の認識であるが、何に対して、どのような方法で関与するべきか。 - 国際人道法との関係
LAWSの使用に当たって国際人道法を守るべきことは、国際的に共通の認識(不必要な苦痛の禁止、攻撃対象を戦闘員及び軍事目標に限定(区別原則)、損害と軍事的利益との比較(均衡性原則)等)であるが、どのように国際人道法の遵守を確保するか。 - 既存の兵器との関係等
人工知能(AI)等の自律化技術を搭載した既存の兵器システム全てを規制することが適当か。また、民生用技術と兵器用技術の境界をどのように画定するか。 - 規制の在り方
LAWSを規制する枠組みとして、法的拘束力のある文書、政治文書又は行動規範、成果文書、議論の継続等のうち、いかなる形式が適切か。
我が国の対応
- 2019年3月、CCWのLAWSに関するGGEに先立ち、我が国は作業文書を提出しました。この作業文書は、GGEにおいて、人道と安全保障の観点も勘案したバランスの取れた議論を行い、国際社会が将来目指すべき取組の方向性を示すことに貢献すべく提出したものであり、重要な論点である(1)LAWSの定義、(2)致死性、(3)有意な人間の関与、(4)ルールの対象範囲、(5)国際法や倫理との関係、(6)信頼醸成措置についての我が国の考え方を記述しました。
- 2023年3月、LAWS・GGE議論に貢献するため、国際人道法遵守の観点から兵器システムの禁止制限の考え方を記載した作業文書「国際人道法を基礎とした禁止と制限の方法にかかる自律型兵器システムに関する条項案(Draft articles on autonomous weapon systems – prohibitions and other regulatory measures on the basis of international humanitarian law)」を米英加豪韓と共に提出しました。
- 我が国は、人間の関与が及ばない完全自律型の致死性兵器の開発を行う意図はなく、また、当然のことながら国際法や国内法により使用が認められない装備品の研究開発を行うことはありません。
- 一方で、自律性を有する兵器システムは、ヒューマンエラーの減少、省力化・省人化といった安全保障上の意義を有することから、今後も、主要国を含め、広く国際社会において共通の認識が得られるよう、我が国自身の安全保障の観点も考慮しつつ、引き続き、国際的なルール作りに積極的かつ建設的に参加していく考えです。