日本の安全保障と国際社会の平和と安定

平成26年6月30日
(写真提供:Implementation Support Unit, AP Mine Ban Convention)
 6月23日から27日にかけてモザンビークのマプトにおいて,対人地雷禁止条約(オタワ条約)の発効から15年間の道のりを評価し,今後の課題につき議論し,コミットメントを新たにするための第3回検討会議が開催されたところ,概要と評価は以下のとおり。

1 概要

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  • (1)参加国等
     80か国(全締約国は161か国)及び12の国際機関の他,地雷禁止国際キャンペーン(International Campaign to Ban Landmines: ICBL)等のNGOも参加した。また,未締約国のうち,米国,中国,インド等12か国がオブザーバー参加した。
  • (2)成果文書
     検討会議における議論の結果,残された課題に対して対処するための今後5年間の行動指針となる「マプト行動計画」,締約国のコミットメントを謳う政治宣言である「マプト+15宣言」及び第2回検討会議(2009年)以降の条約の運用・締結状況を記録した「履行状況報告書」という3つの成果文書が採択され,最終報告書に盛り込まれた。また,地雷除去,被害者支援のための委員会等を強化するための条約の機構改革も同じく最終報告書に盛り込まれた。
  • (3)我が国の対応
    • (ア)我が国からは石原宏高外務大臣政務官が首席代表として出席し,26日午後のハイレベル・セッションでステートメントを行った。同ステートメントの中で,これまでの我が国の地雷対策支援の実績を振り返るとともに,今後の我が国の地雷対策支援のアプローチとして以下の3点を表明し,我が国として引き続き積極的支援を行う姿勢を表明した。
       ―深刻な地雷・不発弾被害を受けている国の除去活動への継続的な支援
       ―地域協力・南南協力の推進
       ―地雷・不発弾被害者に対する包括的な被害者支援
    • (イ)我が国は,地雷除去のセッションでモザンビークとともに地雷除去常設委員会の共同議長を務めるとともに,条約の普遍化及び国際協力のセッションでスピーチを実施し,我が国の積極的な取組をアピールした。
    • (ウ)我が国の地雷対策支援の取組について,国際社会にアピールする観点から,サイドイベント(「日本,アンゴラ,カンボジア間の三角協力を通じたJICAの能力構築支援」及び「アフリカ地域の地雷除去員の訓練のためのベナン地雷・不発弾処理訓練センター(CPADD)(日仏協力案件)」)を開催した。同サイドイベントには,各国の政府,国連及びNGOの代表が多数参加した。
  • (4)米国の対人地雷政策に関する発表
     27日,本条約のオブザーバーとして参加している米国が,(ア)対人地雷を将来的に生産ないしは取得せず,現在保有している対人地雷についても近い将来耐用期限を迎えるものにつき代替しないこと,(イ)最終的には対人地雷禁止条約に加入可能となるような解決策について鋭意検討を進めていることを発表した。

2 評価

  • (1)「マプト+15宣言」の採択により,2025年の政治目標に向けて対人地雷が引き起こす苦痛及び犠牲を終止させるとの強い決意が確認された。また,「マプト行動計画」では,貯蔵地雷廃棄,埋設地雷除去,被害者支援等の分野において締約国が取り組むべき今後5年間の具体的行動が明らかにされた。
  • (2)我が国は,石原外務大臣政務官のステートメント,地雷除去常設委員会共同議長としての取組,サイドイベントの開催等により,世界第二位の地雷対策支援国としての貢献と存在感を国際社会に広くアピールすることができた。
  • (3)我が国の地雷対策支援に関しては,今次会議の議長であるモザンビーク,被援助国を始めとする各国政府,国連,NGO等から高い評価の声が寄せられた。
  • (4)対人地雷政策に関する米国の発表は,普遍的かつ実効的な対人地雷の全面禁止に向けた重要な一歩となり得るものであり注目される。

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