生物・化学兵器

令和3年4月27日

 2020年11月30日から12月1日及び2021年4月20日から22日、化学兵器禁止条約(CWC)第25回締約国会議がオランダ・ハーグにおいて開催され、我が国を含む締約国148か国が参加しました。我が国からは、堀之内秀久駐オランダ大使が代表団団長として出席しました。

1 概要

  • (1)アリアス化学兵器禁止機関(OPCW)事務局長は、ステートメントにおいて、新型コロナウイルス感染症が世界的に流行する中でも、OPCW技術事務局はその任務の遂行にコミットしている旨述べ、その具体例として、検証活動や国際支援活動に加え、2020年4月及び2021年4月のシリアにおける化学兵器使用者の調査・特定チーム(IIT)の報告書の発出、アレクセイ・ナヴァリヌィ氏からの毒性化学物質の検出などに言及しました。
  • (2)2018年6月の第4回特別締約国会議の決定を踏まえて設立されたシリアにおける化学兵器の使用者の調査・特定チーム(IIT)の活動経費を計上した2021年OPCWプログラム予算案が採択されました。
  • (3)2020年4月に発出されたIIT第1回報告書が、2017年3月にシリア空軍がラタミナで化学兵器を3件で使用したことを結論付けたことを踏まえ、2020年7月の第94回執行理事会では、シリアに対して説明責任を課す決定が採択されました。シリアの同決定の不履行を踏まえ、今次締約国会議では、シリアの条約上の権利・権限を停止する決定が採択されました。

2 評価

  • (1)IITの活動経費を計上した2021年OPCWプログラム予算案が採択され、昨今頻発する化学兵器使用事案に対処するOPCWの取組への支援の重要性が再確認されました。
  • (2)シリアの条約上の権利・権限を停止する決定が採択され、化学兵器の使用を禁止する国際規範の維持に向けて、化学兵器の使用事案に対して毅然とした態度で対応し、その使用者の責任を追及すべきというCWC締約国の意思が示されました。
  • (3)我が国は、米国、中国に次ぐ第三位のOPCW分担金拠出国として、引き続きOPCWの諸活動に積極的に参画していく考えです。

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