生物・化学兵器
化学兵器禁止機関(OPCW)第22回締約国会議
平成29年12月13日
2017年11月27日~12月1日,化学兵器禁止条約(CWC)第22回締約国会議がオランダ・ハーグにおいて開催され,我が国を含む締約国136か国が参加しました。また,未締結国であるイスラエル(署名済み)及び南スーダンがオブザーバーとして出席しました。我が国からは,猪俣弘司駐オランダ大使を団長とする代表団が出席しました。
1 概要


- (1)ウズムジュ化学兵器禁止機関(OPCW)事務局長は,20周年を迎えたOPCWの今までの化学兵器のない世界に向けた取組みを振り返るとともに,全世界の申告済みのストックパイル(保有)化学兵器の96%の廃棄が完了した旨述べ,CWCが軍縮・不拡散分野で最も成功している条約である旨述べました。
- (2)猪俣駐オランダ大使は,一般演説において,CWC発効,OPCW設立20周年への祝意を述べ,この20年間のCWC上の我が国の取組みについても紹介を行いました。また,シリアにおける化学兵器の使用事案,マレーシアの国際空港において神経剤VXが使用された事案等への懸念を表明するとともに,CWCの普遍化の重要性を強調しました。最後に,我が国がCWCに基づき実施している中国遺棄化学兵器の廃棄について,その成果を説明し,今後とも条約及び関連決定に基づき誠実に廃棄を実施していく旨述べました。


- (3)ストックパイル化学兵器について,2011年の第16回締約国会議で採択された決議に基づいて保有国による廃棄の進展状況に関するブリーフィングが実施されました。また,2017年にロシア及びシリアの化学兵器の廃棄が完了したことを受けて,大多数の締約国から歓迎・祝意が示されました。
- (4)執行理事会理事国(2018年5月12日から2年間の任期)の選出が行われ,アジア地域からは,新たにインドネシア,イラン,イラク及びパキスタンが選出されました(我が国,中国,インド,韓国及びサウジアラビアは,2019年5月12までの任期で既に選出済み)。
- (5)総額約6,724万ユーロの2018年予算が採択されました。
- (6)また,我が国は締約国会議中,在オランダ日本国大使館主催で中国遺棄化学兵器の廃棄事業や産業分野における国際協力に関する取り組みを紹介するため,パネル展示等のイベントを実施しました。
2 評価
- (1)今次締約国会議においては,次期OPCW事務局長としてアリアス駐オランダ・スペイン大使(OPCW常駐代表)が選出されました。また,締約国から北朝鮮のCWC締結が求められる等CWCの普遍化の重要性が確認されました。オブザーバーとして参加した南スーダンからは,CWC締結に向けた国内手続きについて説明があり,CWC加盟に向けた意向が示されました。
- (2)その他,OPCWの将来像等についても活発な意見表明がなされました。シリアの化学兵器については,2013年9月から開始されたシリアの化学兵器廃棄に向けた国際的な取組の成果が確認されました。他方で,多くの締約国から,国連安保理決議に基づきシリアでの毒性化学物質による攻撃の犯人を特定するOPCW国連共同調査メカニズム(JIM)のマンデートが更新出来なかったことに対する懸念が示されました。
- (3)我が国は,今後もCWCの主要締約国(日本は米国に次ぎ第二位の分担金拠出国)として,引き続きOPCWの諸活動に積極的に参画していく考えです。
3 今後の予定
2018年には,3回のOPCW執行理事会,第23回CWC締約国会議及び第4回運用検討会議が開催される予定です。