軍縮・不拡散・原子力の平和的利用

平成29年3月16日
 2015年11月30日~12月4日,化学兵器禁止条約(CWC)第20回締約国会議がオランダ・ハーグにおいて開催され,我が国を含む締約国134か国が参加しました。また,未締結国であるイスラエル(署名済み)がオブザーバーとして出席しました。我が国からは,辻優駐オランダ大使を団長とする代表団が出席しました。

1 概要

  • (1)ウズムジュ化学兵器禁止機関(OPCW)事務局長は,ステートメントにおいて,ミャンマー及びアンゴラのCWCへの新規加入を歓迎し,締約国が192か国になった旨述べ,引き続き残る4非締約国に遅延及び前提条件なく加入することを要請しました。また,シリアにおける化学兵器の廃棄の完了に向けた取り組みの進展を紹介しつつ,国連安保理決議に基づくシリアでの毒性化学物質による攻撃の犯人を特定するべくOPCW国連共同調査メカニズム(JIM)が活動を開始した旨述べ,OPCWとして支援を提供する旨表明しました。さらに,全世界の申告済みのストックパイル(保有)化学兵器の91.4%の廃棄が完了した旨述べました。
  • (2)辻駐オランダ大使は,一般演説において,申告済みストックパイル化学兵器の90%以上の廃棄完了は大きな節目である旨述べ,CWCは,一つのカテゴリーの大量破壊兵器を全廃するという画期的な条約であり,軍縮・不拡散条約として最も成功した条約であると評価されている旨,述べました。他方で,シリアの化学兵器問題については,一定の進展が得られているとは言え,引き続き早急な廃棄完了に向けた努力が必要であり,OPCWとして引き続き本件に密接に関与していく必要がある旨述べました。また,条約の国内実施強化等の重要性について指摘しました。最後に,我が国がCWCに基づき実施している中国遺棄化学兵器の廃棄について,その成果を説明し,今後とも条約及び関連決定に基づき誠実に廃棄を実施していく旨述べました。
  • (3)ストックパイル化学兵器について,2011年の第16回締約国会議で採択された決議に基づいて保有国による廃棄の進展状況に関するブリーフィングが実施されました。
  • (4)総額約6,707万ユーロ(対前年比-3.2%)の2016年予算が採択されました。

2 評価

  • (1)今次締約国会議においては,2013年9月から開始されたシリアの化学兵器廃棄に向けた国際的な取組の成果が確認されるとともに,シリアの化学兵器を含む化学兵器の全廃に向けたOPCWの努力の継続が再確認されました。また,国連安保理決議に基づくシリアでの毒性化学物質による攻撃の犯人を特定するべくOPCW国連共同調査メカニズム(JIM)が活動を開始したことが報告され,OPCWとしての支援の提供が確認されました。このことは,化学兵器の軍縮・不拡散においてCWCが果たす役割の重要性を示すものです。
  • (2)我が国は,今後もCWCの主要締約国(日本は米国に次ぎ第二位の分担金拠出国)として,引き続きOPCWの諸活動に積極的に参画していく考えです。

3 今後の予定

 2016年においては,3回のOPCW執行理事会及び第21回CWC締約国会議が開催される予定です。

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