日本の安全保障と国際社会の平和と安定
化学兵器禁止機関(OPCW)第18回締約国会議(概要と評価)
平成25年12月24日
2013年12月2日~5日,化学兵器禁止条約(CWC)第18回締約国会議がオランダ・ハーグにおいて開催され,我が国を含む締約国130か国が参加しました。また,未締結国であるイスラエル(署名済み),アンゴラ及び南スーダン(以上未署名)がオブザーバーとして出席しました。我が国からは,辻優駐オランダ大使を団長とする代表団が出席しました。
1 概要
- (1)ウズムジュ化学兵器禁止機関(OPCW)事務局長は,ステートメントにおいて,8月21日にシリアのダマスカス近郊グータにおいて化学兵器が使用されたことを強く非難するとともに,シリアの化学兵器廃棄は内戦下の挑戦であり,先例がないものであるが,国連との緊密な連携の下,状況は進展しており,シリア政府の協力もなされている旨述べました。また,全世界の申告済のストックパイル(保有)化学兵器の81%の廃棄が完了した旨述べるとともに,ソマリア及びシリアの加入により,締約国が190カ国となったが,残る6非締約国に遅滞及び前提条件なく加入することを要請する旨述べました。更に,OPCWの16年間に渡る功績が認識され, 2013年ノーベル平和賞を受賞したこと受け,受賞を永続的な遺産とすべく,OPCW賞を設立予定である旨述べました。
- (2)辻駐オランダ大使は,一般演説において,シリアにおける化学兵器使用を非難し,化学兵器が二度と使用されないよう、シリアの化学兵器廃棄に向けた国際社会の努力が重要である旨述べるとともに,日本として,国際社会の努力に対し徹底的な支持と、可能な限りの協力を行うことを表明しました。また,条約の普遍化,国内実施強化,国際協力等の重要性を指摘するとともに,変化を続ける国際安全保障環境にOPCWが適合し続けるため,本年4月の第3回運用検討会議の結論文書に示された内容を適切に踏まえ、具体的な措置を実施していく必要がある旨述べました。更に,我が国がCWCに基づき実施している中国遺棄化学兵器の廃棄について,その成果を説明し,今後とも条約及び関連決定に基づき誠実に廃棄を実施していく旨を述べました。
- (3)ストックパイル化学兵器について,2011年の第16回締約国会議で採択された決議に基づいて保有国による廃棄の進展状況に関するブリーフィングが実施されました。
- (4)総額約73,304万ユーロ(対前年比5.01%)の2014年予算が採択されました。
- (5)ウズムジュ事務局長の再任(2014年7月25日~2018年7月24日)が承認されました。
2 評価
- (1)今次会議は,シリアの化学兵器廃棄プロセス開始後,初めて開催された締約国会議でした。同会議では,シリアにおける化学兵器使用が強く非難され,化学兵器はいかなる場合も断じて許されるものではないことが改めて表明され,シリアの化学兵器を含む,化学兵器の全廃に向けたOPCWの努力の継続が再確認されました。このことは,化学兵器の軍縮・不拡散において CWCが果たす役割の重要性を示すものです。
- (2)我が国は,今後もCWCの主要締約国(日本は米国に次ぎ第二位の分担金拠出国)として,引き続きOPCWの諸活動に積極的に参画していく考えです。
3 今後の予定
2014年においては,3回のOPCW執行理事会(3月4~7日,7月8~11日,10月7~10日)及び第19回CWC締約国会議(12月1~5日)が開催される予定です。