在留外国人施策関連
外国人問題に関する国際シンポジウム
質問票に対する回答
第5回シンポジウムの際に寄せられた質問票のうち,時間の制約上,当日ご回答することができなかった質問の一部について,以下のとおりご回答します。(平成21年3月現在)
(本回答に関するお問い合わせは,外務省外国人課までお願いします)
Q1:日本での就業は,技術や資格を得られる機会が少ないように思われる。今後,移民を受け入れていく上で,日本で就業するインセンティブを上げていくべきではないか?
日本が今後どのような仕組み・態様で外国人労働者を受け入れていくかという点については,多様な角度からの検討が必要であり,国民的な議論も欠かせません。
わが国は,「専門的・技術的分野」の外国人労働者について積極的に受入れを推進しており,目下,内閣府に高度人材受入推進会議を設置し,わが国が就労先として魅力のある国になるための環境整備等について議論が行われています。
なお,外国人の方が社員として日本企業に雇用された場合には,日本人と同一賃金,同一待遇が原則となっており,必要な知識,技能については,社内研修等で習得していくのが一般的です。
Q2:地方の大学に在籍する留学生を,当該地方で雇用し,地域社会で活躍できるよう環境整備すべきと思う。大都市における“高度"な人材ではない,地方の“平均的"な人材をどのように活かすことができると考えるか?
地方において,地元の大学等に在籍する外国人留学生を積極的に採用される動きが広がっていることは,非常に歓迎すべきことであると考えております。地元の大学と地元企業が連携して地方の活性化に貢献していただくことについて,例えば一つの方法として,構造改革特区制度(注)の利用も考えられます。
ご指摘のように,一部の優秀な留学生に限らず,日本人学生と同等に就職意欲のある留学生を積極的に地元企業で採用していくことは大変望ましいことであり,これを推進するために地方の大学,企業も含め議論していくべきであると考えます。
(注:構造改革特区制度とは,地方公共団体や民間事業者からの自主的な提案により,地域の特性に応じた規制の特例を導入する特定の区域を設けることで,地域の独創的な構想を最大限実現するための環境整備を図る制度のことです)
Q3:経済危機で失業した日系ブラジル人への対策についてどのように考えるか?また,将来の単純労働者受入れの可否についてどのように考えるか?
経済危機で失業した日系人への対策については,平成21年1月30日に内閣府が「定住外国人支援に関する当面の対策について」を取りまとめていますが,同対策は,定住外国人への支援として,(1)教育対策,(2)雇用対策,(3)住宅対策,(4)帰国支援,(5)国内外における情報提供の5分野の支援から構成されており,現在,関係省庁がそれぞれの担当分野でこの対策の具体的な実施に努めております。
単純労働者の受入れについては,国民的なコンセンサスを踏まえ,外国人労働者を受け入れた場合の我が国社会に与える影響も勘案しつつ,関係省庁間で連携しながら慎重に検討を進めていく必要があると考えております。
Q4:日本では,インドネシア人看護士・介護福祉士の受入が始まったが,国家試験が日本語でしか受験できないため,ハードルが高い。EUでは,外国人が介護や看護の職に就くためのテストや審査を行っていると思うが,その仕組みはどのようになっているか?
EUは複数の加盟国からなる共同体ですので,一律に論ずることは困難ですが,一般的には以下のような状況であると思われます。
【EU加盟国の看護・介護人材】
1 看護師については,EU指令に基づき,EU加盟国内の看護師資格の相互承認(教育課程の同質化等)が実施されていますが,受入れに当たっては受入国が付加条件(受入国の言語に係る能力要件等)を決定しているようです。
2 一方,介護福祉士については,看護師のようなEU指令による資格の相互承認等は行われていないようです。
【EU加盟国以外の看護・介護人材】
看護師,介護福祉士ともに,EU加盟国(受入国)と送出国との間で合意した条件等に基づき受入れを行っており,受入れに当たっての資格試験や研修の有無については両国における看護・介護制度及び両国間の合意内容によるようです。
Q5:諸外国では入国時に公用語のテストを実施するところもあるが,理想的な外国人受入方法はどのようなものと考えるか?
諸外国では,外国人の入国可否の判断をする際に,入国後の社会適応能力や,生活能力を評価する指標として,言語能力,学歴,職歴,資産状況等を審査しているところもあります。
今後,我が国が外国人の受入のあり方を検討するに当たっては,このような諸外国の外国人受入制度も一つの参考にしながら検討を進めていくこととなります。
Q6:ブラジル人学校から公立高校への入学の現状について教えて欲しい。また,ブラジル人学校は,補助金制度がないので授業料が高いと聞いているが,これは,アメリカ人やヨーロッパ人が行く学校と同様のシステムなのか?また,公立小中学校への日本語教師の配置,同教師の募集方法,労働条件について教えて欲しい。
文部科学省では,やむを得ない事由によって中学校を卒業できなかった者を対象に,「就学義務猶予免除者等の中学校卒業程度認定試験」を実施しており,外国籍の方にも受験を認めており,合格者には高等学校の入学資格が与えられます。平成20年度の試験では,9人のブラジル人が受験していますが,これらの方が公立高校に進学したか否かについては,把握していません。
ブラジル人学校やインターナショナルスクール等の外国人学校は,都道府県から学校法人及び準学校法人の各種学校として認可を受ければ,都道府県による助成の対象となる道が開かれますが,このうち,ブラジル人学校については,各種学校の認可を受けていない無認可校が多数あります。
また,外国人児童生徒の受入れを行っている学校においては,外国人児童生徒に対する教員の日本語指導等を補助するため,市町村教育委員会の判断で支援員等を委嘱し配置しているケースもあります。募集方法や労働条件等については,市町村教育委員会において独自に決めていますので,各市町村教育委員会に直接お問い合わせいただけますようお願いいたします。
Q7:実務研修中の外国人研修生には,原則として,労働関係法令を適用することが検討されているとのことであるが,その最新動向を教えて欲しい。
法務省が平成21年3月6日に国会に提出した「入管法」改正案には,新たな在留資格として「技能実習」の創設が盛り込まれています。外国人研修・技能実習制度については,法改正を含めて法務省(電話:03-3580-4111)が所管していますので,詳細については法務省に直接お問い合わせください。なお,「入管法」改正案の条文等については,法務省のホームページに掲載されています。