ベネズエラ・ボリバル共和国

ベネズエラ・ボリバル共和国(Bolivarian Republic of Venezuela)

基礎データ

平成30年7月10日

  • ベネズエラ・ボリバル共和国国旗

一般事情

1 面積

912,050平方キロメートル(日本の約2.4倍)

2 人口

31.02百万人(2018年,IMF)

3 首都

カラカス(首都圏人口290万人:2011年,ベネズエラ国立統計院)

4 民族

混血51.6%,白人43.6%,黒人2.9%,アフリカ系0.7%,その他1.2%(2011年,ベネズエラ国立統計院)

5 言語

スペイン語(公用語)及び先住民族の諸言語

6 宗教

国民の大多数はカトリック

7 略史

年月略史
1811年スペインより独立
1819年大コロンビア共和国成立
1830年同国から分離,ベネズエラ共和国として独立
1958年民主制復帰,以後選挙により大統領を選出
1999年12月新憲法発効により,国名がベネズエラ・ボリバル共和国となる
2013年3月14年間大統領を務めたチャベス大統領(ベネズエラ社会主義統一党)が任期途中で死去
2013年4月マドゥーロ大統領(ベネズエラ社会主義統一党)が就任

政治体制・内政

1 政体

共和制

2 元首

  • ニコラス・マドゥーロ・モロス大統領
  • (任期は2019年1月9日まで6年,連続再選可)

3 議会

一院制(163議席、任期5年、連続再選可)

4 政府

  • (1)首相名 首相職無し
  • (2)外相名 ホルヘ・アレアサ外相

5 内政

 ベネズエラでは1958年以降,二大政党による民主的な政治体制が継続してきた。しかし,これら二大政党は,国内の貧困問題に対して効果的な政策を実施してこなかったことから,低所得者層を中心に国民の不満が高まっていた。1999年2月,低所得者層の高い支持を得てチャベス大統領が就任し,同大統領は国内の貧困及び犯罪の増加は,過去40年間の二大政党幹部による政治,司法の私物化,汚職が原因であるとして,新憲法制定を始めとする抜本的な政治改革を実行した。2000年7月,新憲法の下,大統領,国会議員,州知事等選挙が実施され,チャベス大統領が再選された。

 チャベス政権発足当初は,反政府勢力や伝統的支配層の抵抗を受け,2002年4月,一時暫定政権が発足する政変劇が発生したほか,同年12月には,2か月に及ぶ大統領罷免を求めるゼネストが発生するなど政情は不安定であった。しかし,同ゼネスト後,政府は,ベネズエラ石油公社(PDVSA)を掌握し,経済活動に対する国家管理が進んだ。その後,チャベス大統領は,貧困層に対する支援活動を推進するなど,徐々に自らの支持基盤を整え,2006年の大統領選挙を含む各種選挙で勝利を続けた。

 チャベス大統領は「21世紀の社会主義」建設を標榜しつつ,体制強化を進め,2009年2月には,大統領を含む公選職にある全ての者の再選制限を撤廃する憲法修正を問う国民投票で賛成多数を得て,2012年大統領選挙への立候補を可能とした。

 2011年6月,チャべス大統領は,自らの癌を告白したが,治療は順調であるとして,2012年10月に行われた大統領選挙へ出馬した。大統領選挙では,実質的に一騎打ちとなったカプリレス野党統一候補が,選挙終盤に急速に支持を伸ばし接戦も予想されたが,最終的には,チャベス大統領が約10ポイントの差をつけ勝利を収め,再選を果たした。
 2012年12月,チャベス大統領は癌の再発を発表するとともに,マドゥーロ副大統領を実質的な後継者として指名した。チャベス大統領は以降キューバでの療養生活を送っていたが,2013年3月,ベネズエラに帰国していた同大統領の逝去が発表された。

 2013年4月,チャベス大統領逝去を受けた大統領選挙が実施され,チャベス政権を継承するマドゥーロ与党候補がカプリレス野党統一候補との一騎打ちを演じた結果,2ポイント未満の僅差で勝利を収め,マドゥ-ロ政権が発足した。同政権は,チャベス大統領の政策路線を踏襲してきたが,治安や経済情勢の悪化が進み,国民の不満が高まる中,与野党支持層間で暴力的な衝突が発生するなど,情勢が不安定化している。

 2015年12月に行われた国会議員選挙では, 野党が3分の2議席を獲得し勝利を収め, 与野党の対立は継続している。

 2016年, 野党は,年内の大統領罷免国民罷免投票の実施を目指したが,全国選挙評議会(CNE)が,同国民投票の延期を発表したため,実現しなかった。

 2017年3月末以降,国内においてデモや略奪事案が広がる中,5月,マドゥーロ大統領が憲法改正を審議する制憲議会の招集を発表。7月30日に制憲議会議員選挙を実施(野党連合は不参加)。8月4日,制憲議会が発足。

 2018年5月,2019年1月のマドゥーロ大統領の任期満了に伴う大統領選挙が実施され,全国選挙評議会(CNE)の発表によれば,同大統領の再選が決定。

外交・国防

1 外交基本方針

 チャベス前大統領は,豊富な石油資源を活用して多極的な外交を展開し,中南米地域においては,中南米独自の統合構想として,米州ボリバル代替統合構想(ALBA)(現在の名称は米州ボリバル同盟)を創設し,キューバ,ボリビア,ニカラグア,エクアドル等が参加している。また,優遇条件で石油を提供する地域メカニズムとしてペトロカリべを創設し,多くの中米カリブ諸国が参加している。2012年7月31日に行われたメルコスール首脳会合において,ベネズエラは,メルコスールへ正式に加盟したが,最近は,メルコスール原加盟国との間で軋轢が生じ,2016年12月のメルコスール臨時外相会合においてベネズエラの資格停止が確認された。また,2017年8月のメルコスール外相会合において,民主主義条項の適用により加盟資格停止が決定。2017年5月,ベネズエラは米州機構(OAS)におけるベネズエラ情勢に関する外相協議会の決定を受け,OASからの脱退を表明(2年間の移行期間)。

 域外国とは,イラン,ロシア等との関係を強化した他,近年は特に,経済・金融を中心に中国との関係を強化している。

 米国との関係については,チャベス政権以前の親米路線から一転して,チャベス政権及びそれを引き継いだマドゥーロ政権は,反米の急先鋒として度々米国批判を展開してきた。一方,米国は,2015年3月,オバマ米大統領がベネズエラにおける人権状況等の悪化を理由に,ベネズエラ政府関係者への経済制裁を課す大統領令を決定した。2017年5月以降同大統領令に基づき,トランプ米政権は,制憲議会選挙に関係するベネズエラ政府関係者等に対する個人制裁の適用を拡大した。また,2017年8月1日には,制憲議会選挙の実施を受け,マドゥーロ大統領に対する個人経済制裁を決定したのに続き,2018年5月の大統領選挙後には追加制裁を決定。ただし,経済面においては,減少傾向にあるものの,米国は依然としてベネズエラ産原油の最大輸出先であり,石油を中心とする両国の経済関係は密接である。

2 軍事力

  • (1)国防支出 約46.5億米ドル(2014年)
  • (2)兵役 なし
  • (3)兵力 115,000人(陸軍63,000人,海軍17,500人,空軍11,500人,国家警備軍23,000人)

(「The Military Balance」2015年)

経済(単位 米ドル)

1 主要産業

鉱業(石油、鉄鉱、ボーキサイト),石油化学,製鉄,アルミ製錬

2 GDP

3,807億ドル(2017年:IMF推定値)

3 一人当たりGDP

6,683ドル(2017年:IMF推定値)

4 GDP成長率

-14.0.%(2071年:IMF推定値)

5 物価上昇率

1,090.6%(2017年:IMF推定値)

6 失業率

7.3%(2016年4月:ベネズエラ国立統計院)

7 総貿易額

  • (1)輸出 747億ドル(2014年:ベネズエラ中銀)
  • (2)輸入 514億ドル(2014年:ベネズエラ中銀)

8 主要貿易品目

  • (1)輸出 石油,有機・化学品,鉄鋼・アルミニウム(及び製品),鉱物製品,輸送機器等
  • (2)輸入 電気機器,化学品,鉄鋼・アルミニウム,畜産物,輸送機器等

9 主要貿易相手国(2014年)

  • (1)輸出 米国,インド,中国,シンガポール
  • (2)輸入 米国,中国,ブラジル,コロンビア

10 通貨

ボリバル・フエルテ

11 為替レート

1米ドル=80,000ボリバル(2018年6月8日時点)※入札式の変動相場制により毎週入札にて決定。

12 経済概況

(1)資源

 べネズエラは,世界有数の石油産出国であり,同国経済は, 石油収入に大きく依存している。原油の確認埋蔵量は,オリノコ川北岸の超重質油(オリノコタール)も含め,3,009億バレル(2017年,BP統計)と世界第1位を誇り,生産量(日量)では,ブラジル,メキシコに次いで中南米第3位(2017年,BP統計)の原油生産国である。さらに,天然ガスの確認埋蔵量は5.7兆立方メートル(2017年,BP統計)と世界第8位で,この他にも,鉄鉱石,ボーキサイト,金,ダイヤモンド等を豊富に産出する。

(2)チャベス政権成立以降の動き

 チャベス大統領は,2001年11月以降,炭化水素法,土地及び農村開発法など,国家経済の根幹に関わる49の法律を制定して改革を推し進めた。これに対し,民間部門は強硬に反対し,2001年12月の12時間ゼネスト,2002年4月の政変(クーデター騒ぎ),同年12月のチャベス大統領の罷免を求めた2か月に及ぶ大規模ゼネスト等が相次いで発生。その結果,2002年の経済実績は大幅に悪化した。その後は,石油価格の高騰に後押しされる形で,経済成長を遂げたものの,2008年後半からは,国際原油価格の急落や国際経済危機の影響を受けた。2014年に再び原油価格が急落し,経済が苦境に陥っている。

 2006年1月,チャべス大統領が,「オリノコベルト超重質油プロジェクトを国家の財産とすべき」と発言し,具体的には,同プロジェクトに進出する各合弁企業におけるベネズエラ国営石油公社(PDVSA)の出資比率を60%以上に引き上げる大統領令を公布した。また,2008年3月,セメント産業,同年4月,鉄鋼会社の「国有化」(共にベネズエラ政府を60%以上の筆頭株主とする合併会社に移行)を発表し,さらに,2009年5月,石油関係事業の接収を可能にする法律の制定や製鉄関連企業の「国有化」を発表した。
 また,同政権は,2003年以降,資本流出防止の観点から固定相場制と外貨管理制度を導入した。マドゥーロ政権も,引き続き外貨管理制度を維持しているが,2016年2月,(1)公定レート1ドル=10ボリバルとする固定相場(DIPRO)の新設,(2)実質的に政府が為替をコントロールしていたSIMADIの変動相場(DICOM)への移行,(3)補完的な外貨供給システムSICADの廃止を発表した。

 2017年5月,ベネズエラ中銀は,DIPROとDICOMに取ってかわる入札式の変動相場制の採用を発表。毎週,入札により相場が決められることとなった。

 政府が目指す石油依存型の経済構造からの脱却は達成できておらず,不安定な経済運営もあり,南米で最も高いインフレ率や物資不足等の問題を抱えている。

経済協力(単位 億円)

1 日本の援助実績

  • (1)有償資金協力(2016年度まで) 実績なし
  • (2)無償資金協力(2016年度まで,ENベース) 13.71億円
  • (3)技術協力実績(2016年度まで,JICAベース) 111.75億円

2 主要援助国(2015年,DAC)

  • (1)ドイツ
  • (2)米国
  • (3)フランス
  • (4)英国
  • (5)スペイン
  • (6)日本

二国間関係

1 外交関係

1938年8月19日
外交関係開始
1941年
断絶
1952年
外交関係再開

2 経済関係

(1)対日貿易
貿易額(2017年)及び主要品目(出典:財務省貿易統計)
対日輸出 51億円(原油,カカオ,アルミニウム,化学製品)
対日輸入 103億円(大部分が自動車を含む機械及び輸送用機器)

3 文化関係

毎年1~2月にかけ,日本文化週間を実施。

4 在留邦人数

352人(2017年10月現在)

5 在日ベネズエラ人数

378人(2017年6月現在)

6 要人往来

(1)往(1984年以降)
年月要人名
1984年2月森下特派大使(大統領就任式)
1986年1月桜内衆議院議員,稲葉衆議院議員
1987年9月倉成外務大臣
1989年2月山下特派大使(大統領就任式)
1990年7月土屋参議院議長
1992年7月皇太子殿下
1992年9月小渕衆議院議員
1993年4月武藤外務大臣
1994年1月山下衆議院議員(日本・ベネズエラ友好議連会長)
1997年7月逢沢衆議院外務委員長
1999年2月平沼特派大使(大統領就任式)
2008年6月西村衆議院議員,山際衆議院議員,近藤衆議院議員
2008年11月西村外務大臣政務官
2009年10月内藤総務副大臣(総理大臣特使)
2010年4月武正外務副大臣
2011年2月松下経済産業副大臣
(2)来(1985年以降)
年月要人名
1985年ペレス元大統領
1987年5月アスプルア蔵相
1987年11月ウルタード投資基金総裁
1988年4月ルシンチ大統領訪日(国賓)(国交樹立50周年にあたる)
1989年2月テヘラ・パリス外相(大喪の礼)
1990年11月モラレス・ベージョ国会議長(即位の礼)
1991年4月ロドリゲス経企相
シスネロス勧業相
トーレス投資基金総裁
1991年10月シスネロス勧業相
1991年12月スクレ・ガイアナ開発公社総裁
1992年10月パラ・エネルギー鉱山相
1993年10月オチョア外相(外賓)
1995年10月マトス・アソカル蔵相
1996年8月ポレト投資基金総裁
イナティ・ガイアナ開発公社総裁
1997年2月ブレリ・リバス外相(外賓)
1997年10月ペトコフ経企相
ロハス・パラ通産相
1997年12月アリエッタ・エネルギー鉱山相
マルティネス環境天然資源相
1999年10月チャベス大統領(非公式)
2001年3月ガルシア・ベネズエラ日本友好議連会長一行
2002年9月ラミーレス・エネルギー鉱山相
2003年8月ロドリゲス・ベネズエラ石油公社(PDVSA)総裁
2004年5月ロハス・ベネズエラ石油公社(PDVSA)副総裁
2005年6月ファリア環境・天然資源相(博覧会賓客)
2009年3月ラミーレス・エネルギー石油相
2009年4月チャベス大統領,ラミーレス・エネルギー石油相他
2009年5月ラミーレス・エネルギー石油相
2009年7月チャコン科学技術・中工業相
2009年9月モレホン観光相
2010年2月ラミーレス・エネルギー石油相
2011年12月ラミーレス石油鉱業相
2012年4月ラミーレス石油鉱業相
2013年6月ラミーレス石油鉱業相

7 二国間条約・取極

  • 1988年4月  技術協力協定
  • 2000年10月 青年協力隊派遣取極
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