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平成20年9月26日
26日午後6時10分より約30分間、ニューヨーク出張中の中曽根大臣は国連本部内においてライス国務長官との間で日米外相会談を行ったところ、概要以下のとおり。なお、両大臣はいつでも連絡を取り合うことで合意し、お互いを「コンディ」、「ヒロ」と呼び合うこととなった。
(1)日米関係総論
中曽根大臣より、アジア太平洋地域が、北朝鮮問題、中国・ロシア・インドの台頭、ASEAN統合の進展等の変化に直面している中で、日米同盟を外交の基軸とする基本方針を堅持し、引き続き同盟を強化していく旨説明した。これに対しライス長官より、日米同盟は非常に重要であり、同盟関係はブッシュ政権の8年間で非常に強固となった、「ロードマップ」への合意も同盟強化の表れである旨述べた。また両大臣は、金融問題を含め国際社会が直面する様々な課題について緊密に連携していくことを確認した。
(2)日米安保
日米安保に関し、中曽根大臣より、昨25日には、空母「ジョージ・ワシントン」が横須賀に入港した旨述べた上で、在日米軍再編を着実に実施するとともに、弾道ミサイル防衛(BMD)、情報保全等に係る協力を引き続き推進していきたい旨述べた。
(3)米国産牛肉輸入問題
米国産牛肉輸入問題に関し、ライス長官より、本問題についても進展させることが重要である旨述べたのに対し、中曽根大臣より、食の安全を大前提に科学的見地に基づき対応する旨述べた上で、関係省庁間で議論することの重要性を指摘した。
(1)非核化
両大臣は、北朝鮮が核施設の復旧に向けた動きを見せていることに対する懸念を共有し、五者の結束が重要であることで一致し、また、検証の具体的枠組みが重要である点を再確認した。
(2)拉致問題
中曽根大臣より、拉致問題は引き続き我が国の最重要課題の一つであり、米国の引き続きの協力を期待する旨述べたのに対し、ライス長官より、拉致問題に対しては非常に強い気持ちを抱いており、本件に関する米国の立場に揺るぎはなく、本件は日本にとってのみならず、米国にとっても重要な問題である旨述べた。
(1)補給支援活動
中曽根大臣より、インド洋における補給支援活動の継続に向け努力したい旨述べたのに対し、ライス長官より、日本の活動は高く評価しており、政治的に難しい状況があることは承知しているが、日本の活動が継続することを期待する旨述べた。また両大臣は、来年の大統領選挙も念頭に、アフガニスタン復興支援において積極的に協力することで一致した。
(2)対パキスタン支援
対パキスタン支援に関し、中曽根大臣より、本26日午前に開催されたパキスタンに関するフレンズ・グループ会合において、総額約400万ドルの緊急無償資金協力の実施を表明した旨述べたのに対し、ライス長官より、これを高く評価している旨述べた。両大臣は、G8外相会合で合意したアフガニスタン・パキスタン国境地帯に対する支援の重要性につき一致した。またライス長官より、ADB、IMF、世銀等の国際金融機関を含めてパキスタンを支援していく必要がある旨述べた。
中曽根大臣より、イラクの意向も踏まえ、年内を目処に空自の任務を終了させる方向で必要な検討を開始することとした旨説明したのに対し、ライス長官からこれまでのイラクにおける自衛隊の活動に対して改めて謝意が述べられた。
ライス長官より、イランの核問題を深刻に懸念しており、濃縮と再処理の停止が必要である旨述べたのに対し、中曽根大臣より、懸念を共有する旨、国際社会が一致して対応を強めると同時に、対話の継続が必要である旨述べた。
両大臣は、ロシアの一方的行動は遺憾であり、サルコジ仏大統領の仲介による合意の着実な実施が重要であり、日米間でよく連絡し協議していくことで一致した。
ライス長官より、日米同盟は強化されているが、日米豪・日米韓の協力は重要であり、成功している旨述べたのに対し、中曽根大臣より、そのとおりであり、日本としても日米豪・日米韓の協力を重視している旨述べた。
安保理改革に関し、ライス長官より、日本の常任理事国入りを支持している旨述べ、安保理改革の実現のために協力していくことで一致した。