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平成20年7月6日
福田総理は、6日午後3時30分より約1時間半にわたり、ブッシュ大統領と日米首脳会談を行った。会談には、日本側より、藤崎駐米大使、岩城官房副長官、安藤官房副長官補、佐々江外務審議官、河野外務審議官、西宮北米局長が、米側からは、シーファー駐日大使、シュワブUSTR代表、ハドレー国家安全保障担当大統領補佐官、プライス国際経済問題担当次席大統領補佐官、ネグロポンテ国務副長官が同席した。会談では、主に日米同盟の深化、北朝鮮問題、アジア情勢、気候変動、アフリカ開発や防災等における日米協力の強化、テロとの闘い及びアフガニスタン等について意見交換が行われたところ、詳細は以下のとおり。
(なお、19時00分より約1時間半、福田総理は夫妻で、ブッシュ大統領夫妻、シーファー大使、藤崎駐米大使とともに夕食会を行った)
両首脳は、日米同盟は日本のみならず、アジア太平洋地域の平和と繁栄の礎であるとの認識で一致した。そして、福田総理より、ブッシュ大統領が就任した2001年以来、日米同盟が大きく深化したことに触れ、特に安全保障面で米軍再編「ロードマップ」の合意、弾道ミサイル防衛(BMD)共同開発の決定及び迎撃実験の成功等があり、また経済面では我が国の対米直接投資は2000年以降約3割増加、米国の対日投資も約6割増加したことなどを紹介した。これに対し、ブッシュ大統領より、大変歓迎すべきことである、引き続き更なる協力強化に努めていきたいとの発言があった。
また、日米交流の強化に関し、福田総理より、昨年11月に訪米した際、ブッシュ大統領との間で日米交流の強化につき合意したことに触れ、両首脳は、日米間の交流の更なる強化に共に取り組んでいくことで合意した。
(1)拉致問題
ブッシュ大統領より、拉致問題を決して忘れない、拉致問題に関する日本の立場を明確に支持する米国の立場にはいささかも変わりはない旨発言があった。また福田総理より、先般の日朝協議で北朝鮮は拉致問題の調査のやり直しを表明したが、未だ「言葉対言葉」の段階にとどまっており、早急に「行動対行動」の段階に進める必要がある旨述べ、引き続き米国の働きかけを求めたのに対し、ブッシュ大統領より、拉致問題に対する迅速な解決策を見出すために、引き続き日本と緊密に協力したいとの発言があった。
(2)非核化
福田総理より、北朝鮮から核計画の申告が行われたが、重要なのは今後であり、申告の内容をしっかりと検証しなければならない、早急に「検証の枠組み」に合意し、検証を開始する必要がある旨述べた。その上で両首脳は、両国は、しっかりと検証を行い、最終目的である「すべての核兵器及び既存の核計画」の放棄につなげていくことが必要であるとの点で一致した。
また、両首脳は、北朝鮮問題に関しては、今後も難しく、また重要な局面が続くが、核問題、拉致問題に関し、引き続き、日米両国で協力していくことで一致した。
気候変動について、両首脳は、この問題は人類が直面する最も深刻な挑戦の一つであり、子孫に美しい地球を残すことが我々の責務であるとの認識を共有し、明日からのG8サミット及び主要経済国会合(MEM)首脳会合に向け、引き続き協力していくことで一致した。
福田総理より、ASEANを含めたアジア諸国との関係は良好であるが、これは日米協力の果実だと思う旨述べた。また日中関係に関し福田総理より、懸案の東シナ海の問題で合意する等、日中関係は改善している旨説明し、ブッシュ大統領よりこれを歓迎する旨の発言があった。
福田総理より、TICAD IVの成果を踏まえ、アフリカ開発の日米協力を進めたいと述べたのに対し、ブッシュ大統領より、是非協力していこう、との発言があった。両首脳は、サミットで合意される予定の「国際保健に関する洞爺湖行動指針」に沿って、1)保健システム強化、2)ポリオ根絶、3)マラリア対策、4)顧みられない熱帯病(NTD)対策に関し支援するとともに、食料問題に関して、ガーナ、セネガル、マリ等において、コメ生産高倍増を含めた主要穀物生産増大と交易や輸送の促進に向けて、日米で協力していくことで一致した。
両首脳は、昨今の状況を踏まえ、アジア太平洋における防災・防疫協力拡大が極めて重要であるとの認識で一致した。
アフガニスタンの復興と安定は国際社会にとって大変重要な課題であり、引き続き日米で緊密に連携していくことで一致した。
両首脳は、現在の原油価格高騰が世界経済に深刻な影響を与えており、短期・中長期の政策につき、G8サミットで更なる議論を行うことが重要との認識で一致した。
以上のほか、WTOドーハラウンドやイランの核開発問題、イラク情勢等についても意見交換を行った。