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横須賀市からの質問書への回答

  1. 「米側から提示のあった「ファクトシート」は原子力空母の安全性を確信しているとの政府の一貫した判断を何ら見直す必要がないことを裏付けるものである」という評価は、文部科学省などの関係省庁にも共有されているものか、改めて確認するとともに、日本政府としての安全性に関する確証を文書として求める。

    (答)
     本件「ファクトシート」については、米側より外務省に手交され、内閣府、文部科学省等の関係省庁間で共有し、検討を行ってきたところである。その上で、本件「ファクトシート」は米原子力軍艦の構造や運用、安全措置等について従来よりも広範かつ詳細な情報を提供するものであり、原子力空母を含む米国の原子力軍艦の我が国寄港時の安全性は確保されていることを確信しているとの政府の一貫した判断を何ら見直す必要がないことを改めて裏付けるものであると評価するに至ったことについては、改めて、6月12日付の政府の書簡においても述べられているとおりである。

  2. 合衆国原子力軍艦は「一度たりとも、原子炉事故を起こ」していないということであるが、日本政府も同様の認識なのか。原子炉自体の事故はなかったと理解するが、その周辺における事故はなかったのか。国際原子力事象評価尺度(INES)のレベル1以上に相当する事例はなかったのか。あったとすれば乗組員等に人的被害はなかったのか。
     また、1999年の米空母ステニスの原子炉の緊急停止の事例のように、大事故一歩手前という事例もあったとされることにつき、日本政府としてどう認識しているのか。

    (答)
    (1)日本政府としても、「ファクトシート」にあるとおり、米国の原子力軍艦について、人体や環境に悪影響を与えるような放射能の放出を起こしたという事例は皆無であると承知している。勿論、原子炉自体の損傷によって放射能が漏出するような事例(「ファクトシート」中の「原子炉事故」とはこのような事例を指していると承知している)も皆無であると承知している。これまで米原子力軍艦の日本寄港は1250回を越えるが、日米両政府がそれぞれ実施してきたモニタリングにおいて、米原子力軍艦を原因とする放射能の異常値が検出されたことは一度もない。また、米原子力軍艦の乗組員も含め、個人が米政府の基準を超える量の放射線(注)を受けた事例は皆無であるとも承知している。

    (注)放射線業務従事者に関する米国の連邦線量限度は年間で50ミリシーベルト

    (2)1999年にサンディエゴの海軍基地を出港したステニスの原子炉が緊急停止した事例については、海底の泥が原子炉の冷却システムに吸い込まれたために規定通りに緊急停止されたものと理解している。また、その間、原子炉の冷却機能は一瞬たりとも失われておらず、緊急停止の45分後には速やかに再稼働されたと理解している。このように、この事例が大事故一歩手前の状況であったという指摘は事実と全く異なると理解している。

    (3)このような空母ステニスの事例を含め、米海軍においては、原子炉に関するトラブルについては、極めて些細なものを含め、然るべく報告されるとともに、地元地方自治体等にも必要に応じて速やかに連絡がなされているとの説明を受けている。空母ステニスの事例については、本年4月18日に、地元の地方自治体であるコロナド市の担当者より横須賀市議会副議長等の一行に対して、海軍より迅速な連絡があった旨説明があったと承知している。

    (4)なお、ご指摘の国際原子力事象評価尺度(INES)は商業用原子力施設を対象として定められた評価尺度であり、軍事用の原子力施設への適用は想定されておらず、米海軍はこの評価尺度による評価は行っていない。このため、ご質問にお答えするのは困難であるが、いずれにせよ、日本政府としては、「ファクトシート」にあるとおり、米国の原子力軍艦について、人体や環境に悪影響を与えるような放射能の放出を起こしたという事例は皆無であると承知している。

  3. 「合衆国の港における活動について適用される安全性に係る予防措置及び手続き」とは具体的に何か。

    (答)
    (1)「ファクトシート」において、米側が米原子力軍艦の日本への寄港に際して実施を保証している安全措置(例えば、停泊中は通常原子炉を停止する、沖合12海里内での放射性廃液の排出は禁止する等)は基本的に米国の港においても実施されると理解している。

    (2)一方で、米国における米原子力軍艦の寄港地には、原子炉修理や燃料交換のための施設や、放射能を扱うメンテナンスの施設等も存在する。しかるに、米政府は、これらの施設は日本には現に存在せず、今後とも、日本に建設されることはない旨を明言している。このように、いくつかの側面において、日本の港においては、米国の港にはない、より手厚い安全の保証が米側より提供されていると理解している。

  4. 「原子力軍艦の防護壁は民生用の原子炉のものと比べ、はるかに頑丈で耐性が強く、はるかに慎重に設計されている」ということであるが、どのように違うのか。

    (答)
    (1)米原子力軍艦の各部分の素材や厚さ等の構造に関する技術的な情報については、その軍事的な性質上、極めて機微な情報であり、本来、日本政府としてこれを承知し得る立場にないと認識している。そのような中で、今般、米政府から提示された「ファクトシート」において、米原子力軍艦の原子炉の基本的な構造について説明がなされるとともに、例えば、原子炉の燃料の素材(固体金属)や耐性のテストの強度(重力の50倍の衝撃への耐性)、また、一次系の具体的な構造(全体が完全に溶接された構造)など、一般的な発電所の原子炉とは異なる特性を備えていることを示す踏み込んだ情報提供が行われたことを、政府としても評価している。これらは、米原子力軍艦の原子炉が、商業炉と異なる、軍艦としての任務の遂行に必要な、頑健な設計と構造を備えていることを示していると評価している。

    (2)また、米政府の独立の審査機関であり、原子炉の構造等に関する技術的情報を知り得る立場にある米国原子力規制委員会や原子炉安全諮問委員会が、米原子力軍艦の原子炉について、軍事的な所要も踏まえ、その安全性について高く評価してきていると承知している。

    (3)更に、「ファクトシート」によれば、米原子力軍艦の乗組員の平均年間被曝量は、地上で生活している人間が受ける自然放射線より遙かに少ない(6分の1)が、このことは、米原子力軍艦に備わる多重防壁の各々が極めて頑健であり、その遮断効果に何ら問題がないことを示していると考える。

    (4)もとより、米原子力軍艦の原子炉と原子力発電所等を同一の基準で判断し、比較することは出来ないと認識している。即ち、軍艦の原子炉については、戦闘の衝撃に耐えつつ作戦活動を継続する軍艦に動力が提供されるとともに、戦闘の状況下でも原子炉の至近で生活する多数(注:空母では約5千人)の乗組員の安全が確保されることも求められており、かかる特性に対応した頑丈な設計や安全性を備えていなくてはらない。そのためには、米原子力軍艦が実際の戦闘において想定される種々の攻撃への耐性を備えている必要がある。これは、市民社会に対する電力の安定供給を主たる目的とする原子力発電所の原子炉とは根本的に目的を異にするものである。

  5. 「合衆国海軍の原子炉の燃料は個体金属である」ということであるが、同じ加圧水型の原発の燃料との違いは何か。
     また、原子炉の燃料が「重力の50倍以上の戦闘衝撃負荷に耐える」とあるが、それは、それはどの程度の衝撃であり、どの程度の攻撃に耐え得るものなのか。

    (答)
    (1)「ファクトシート」によれば、米原子力軍艦の燃料の素材は固体金属であるが、これは、通常の加圧水型の原子力発電所で用いられるセラミックの燃料と異なる。

    (2)また、「ファクトシート」によれば、米原子力軍艦の燃料は、重力の50倍(50G、4万9000ガル)の衝撃を受けても内部の核分裂生成物を放出することはなく、これは米国の原子力発電所の燃料について求められる基準の10倍であるとされている。この衝撃による加速度について、あえて地震による揺れと比較すれば、震度6強の地震による揺れの加速度の約100倍程度であると考えられる。

    (3)いずれにせよ、米原子力軍艦の燃料は、実際の戦闘において想定される種々の攻撃への耐性を備えていると理解している。

  6. 「合衆国原子力規制委員会及び原子炉安全諮問委員会は海軍の原子炉装置の個々の設計について、独立して審査を行う。」ということであるが、両委員会は政府や海軍といったものから完全に独立した組織なのか。両委員会の構成員はどうなっているのか。

    (答)
    (1)原子力規制委員会はエネルギー再編法(1974年)によって設置された、核施設などから出る放射線から公衆の健康と安全並びに環境を保護し、これらの施設を規制することを任務とする、独立の政府の機関である。同委員会は、大統領が指名し、議会が承認する5名のコミッショナーで構成される「委員会(Commission)」の下に、事務局と執行機関が置かれ、更に専門の諮問委員会が置かれていると承知している。また、現在の5名のコミッショナーのうち、議長を含め3名が科学者、1名が弁護士出身、1名が国務省出身であると承知している。

    (2)一方、原子炉安全諮問委員会は11名の専門家で構成され、原子力エネルギー法(1954年)の下、原子力規制委員会による原子炉の規制等について審査し、勧告することを任務としていると承知している。

    (3)原子力規制委員会及び原子炉安全諮問委員会が行った米海軍の原子炉に関する審査については、軍艦の構造の詳細に関するものであり、基本的に非公表であるとの説明を受けている。一方で、「ファクトシート」にあるとおり、両委員会とも、米原子力軍艦は軍事的な所要のため、多くの面で商業炉に求められる基準よりも厳しい基準を満たすと評価しており、ニミッツ級の空母についても、艦船の設計及び運航は安全性との観点より適切なものと評価していると承知している。例えば、1998年8月にジャクソン原子力規制委員会委員長(当時)は、米原子力軍艦の原子炉の安全性についての過去のどの審査も、米海軍の原子炉の安全性を示し、とりわけ、慎重な見積もりに基づく頑健な設計、徹底したテストの実施、包括的な原子炉のメンテナンス、小さな問題が更に発展する前に対処するということの重視、原子炉を運転する要員の高度の訓練や能力などは特筆される旨述べていると承知している。

  7. 米海軍の原子炉は「合衆国の大規模な商業炉の出力の5分の1にも満たない」ということであるが、合衆国の大規模な商業炉の平均的な出力レベルはどの程度か。

    (答)
     米側よりは、熱出力で約300万キロワット(電気出力で約100万キロワット)規模の原子力発電所が、標準的な大規模な商業炉であるとの説明を受けている。例えば、4月16日~20日に横須賀市議会・経済界等の視察団の方々が訪問されたサンディエゴの近傍にあるサン・オノフレ原子力発電所の原子炉と同程度の規模であると承知している。

  8. 原子炉に係る日常的なメンテナンス作業はどのようなもので、日本ではどのような作業が行われるか。人体や環境への影響についても確認したい。

    (答)
    (1)米原子力軍艦においては、これまでの日本寄港においても、安全確保の観点から、ごく日常的な原子炉に係るメンテナンス作業は行われてきたと理解している。米側よりは、具体的には原子炉の蒸気系等や電気系統などのメンテナンスであるとの説明を受けている。

    (2)米側よりは、このようなメンテナンス作業によって、人体や環境に悪影響が及ぶ可能性は全くないとの説明を受けている。実際に、過去1250回以上に亘る米原子力軍艦の寄港を通じて、日米が行ってきたモニタリングにおいて、米軍艦に起因する放射能の異常値が検出された事例は一つもない。

  9. 米側は「日本の港湾から採取された環境試料についての結果は、日本国政府への報告書において毎年提供されている」としているが、この報告書は提供してもらえるものか、提供できない場合はその理由。

    (答)
     公表は可能である。

  10. 「合衆国原子力軍艦は極めて速やかに原子炉を停止させるフェイルセーフの原子炉停止システムを有する」ということであるが、一般的なPWR型原子炉に比べ、優れている点があれば情報提供していただきたい。

    (答)
     米原子力軍艦の多重の安全措置の関連では、例えば、「ファクトシート」には、電力に依存することなく、原子炉の物理的構造と水自身の特性(比重差によって生じる自然対流)のみによって炉心を冷却する崩壊熱除去システムについて言及がある。また、緊急冷却のために無制限に海水を艦内に取り込むことが出来るという特性は、陸上の原子炉には備わっていないものである。

  11. 極めて想定しがたい事故のシナリオについて米側は検討している由であるが、「極めて想定しがたい事故」とはどのような事故か。

    (答)
    (1)「ファクトシート」においては、そもそも、燃料自体がオーバーヒート等で損傷するという事態が米原子力軍艦で起こることは、極めて想定し難いと述べられていると理解している。

    (2)更に、そのような事故が起こった場合でも、多重の防壁等のため、放射能が艦外に放出することは、更に、極めて想定しがたい旨が述べられていると理解している。

  12. 「艦船から想定される量の放射能が放出された場合のあり得る最大の影響はあくまで局地的」とのことであるが屋内待避、避難等が必要な具体的な影響の範囲(距離)について確認したい。

    (答)
    (1)「ファクトシート」において、米側は、そもそもご指摘のような事態は極めて想定しがたいとしているが、同時に、万が一、そのような事態に立ち至った場合にも、屋内退避等の何らかの防護対策が必要となる範囲は、極めて慎重な分析の結果、在日米海軍基地内に十分にとどまる範囲内に限定されるとしていると承知している。

    (2)ご質問にあるような、当該範囲の大きさの具体的な数値等については米政府は公表していないと承知しているが、先月サンディエゴを訪問した横須賀市議会や経済界等の一行もご覧になったように、空母3隻の母港であるノースアイランド海軍航空基地を湾内に抱える人口約120万人を擁するサンディエゴ市においても、また、同基地に隣接する住宅街が広がるコロナド市においても、原子力軍艦の原子力災害のための特別な防護対策は計画されていないことが示すように、米海軍の立場は米国内の地元においては基本的に受け入れられていると承知している。

  13. 「合衆国連邦政府が定めた閾値」とは具体的にいくらか。また、この閾値は日本の閾値と同等なのか確認したい。

    (答)
     米連邦政府の屋内退避等の防護対策の基準は、実効線量について10~50ミリシーベルトであると承知しているが、これは基本的に防災指針に定められている日本の基準と同等であると理解している。

  14. 「商業炉や海軍の原子力推進原子炉において、この種の核爆発が起こることは物理的に不可能である」とのことであるが、それは具体的に何故か。

    (答)
     原子爆弾のような核爆発を起こすためには、一瞬に爆発的に核分裂を起こさせるための特殊な装置が必要になる。一方、原子力軍艦の原子炉については、陸上の原子力発電所等の原子炉と同じく、そのような装置は持たず、その構造上、核爆発が起こることは物理的に不可能である。

  15. 補償について、地位協定が適用されない場合とはどのような場合か、また、補償額に法定上の限度はないとしているが、これは政府間交渉により決定されるものか。

    (答)
    (1)万が一、米原子力軍艦が原子力事故により第三者に損害を及ぼした場合、人的損害等については、日米地位協定第18条5に従って処理がなされる。同条では、「請求は、日本国の自衛隊の行動から生ずる請求権に関する日本国の法令に従って、提起し、審査し、かつ、解決し、又は裁判する。」と規定しているところ、具体的には、「原子力損害の賠償に関する法律」に従って、必要な賠償が行われることとなる。

    (2)一方、大規模な物的損害については、日米地位協定が適用されないところ、そのような場合は、日米両政府間の外交交渉によって問題の解決を図ることができることとなっているとともに、米国内法による救済の道も開かれている。

    (3)いずれの手段をとるにせよ、補償額については、具体的な被害の実態に基づいて、判断されるものであるが、外交交渉で解決を図る場合には、我が国国内法による救済に比して欠けるところなきよう最大限の努力が払われることは当然である。

  16. チェルノブイリ原発やスリーマイル島原発において事故が発生しているが、原子力軍艦の原子炉においてもそのような事故が起こるのではないか。チェルノブイリ原子炉・スリーマイル島原子炉と海軍原子炉との比較も踏まえた上で情報提供していただきたい。

    (答)
    (1)1986年のチェルノブイリの事故は、運転員が考えられないような複数の重大な運転規則の違反行為を立て続けに犯した(例えば緊急停止の信号の無効化、無視等)のみならず、そもそも、事故を起こしたのは当時も旧ソ連でしか運転が行われていなかった「黒鉛減速軽水沸騰冷却型」の原子炉であり、低出力時において不安定となる設計であること、原子炉の緊急停止が迅速に行えないこと(例えば制御棒の挿入にかかる時間が日本の原子力発電所の4倍~6倍)などの根本的な構造上の欠陥があったため、原子炉の出力が制御不可能となったことによって起こったものであると承知している。その結果、燃料の溶融飛散が発生し、冷却水に接触して水蒸気爆発が起こり、さらに放射性物質を閉じ込める原子炉格納容器も備えられていなかったことから事故の影響が拡大する結果となったものであると承知している。

    (2)一方、一般に、加圧水型原子炉は、全ての出力範囲で自己制御性を備える安定性がある設計・構造となっており、米海軍の原子炉についてもそのとおりであるとの説明を米側より受けている。また、「ファクトシート」にあるとおり、米原子力軍艦の原子炉は、その任務の特性上、出力の迅速な調整を安全に行うことが可能な設計となっているほか、極めて迅速に原子炉を緊急停止させるフェイルセーフの仕組みが備わっていると承知している。更に、米原子力軍艦には、日本の発電所と同様に、炉心を収納する堅牢な原子炉格納容器が設けられている。このようなことから、米原子力空母の原子炉でチェルノブイリのような事故が起こることは考えられない。

    (3)一方、1979年のスリーマイルの事例は、いくつもの故障が重なり、運転員の誤操作もあり、炉心の一部が適切に冷却されずに損傷したが、原子炉格納容器によって放射性物質の放出が抑制され、周辺への放射線の影響はわずかであり、健康への影響は無視し得る程度であったと理解している(周辺公衆の受けた線量は最大でも1ミリシーベルト。なお、1人当たりの自然放射線の世界平均は1年間で2.4ミリシーベルト。)。

    (4)これに対し、米側よりは、原子力軍艦の安全対策に万全を期す努力を不断に行っており、その一貫としてスリーマイルの事例も、原子炉の設計、安全システム、手続き、訓練等のあらゆる側面から包括的に検証され、米海軍の原子炉で同様の事故が発生しないよう徹底した対策がとられているとの説明を受けている。「ファクトシート」に述べられているように、米原子力軍艦の原子炉においては、そもそも燃料を含め、商業用の原子炉等との比較においても頑健に設計されているとともに、スリーマイルのような事例も含め、様々な不測の事態に対応すべく、何重もの防護措置を備え(迅速な原子炉の緊急停止のシステムや、冷却水の自然対流による崩壊熱の除去機能に加え、陸上の民生用原子炉には見られない無制限の海水の迅速な取り込みなど何重もの措置がとられている)、また、徹底した乗組員の訓練が行われているため、スリーマイルの事例のように燃料の損傷に至るような事態は極めて想定しがたいと認識している。

    (5)米国原子力規制委員会等の米国の独立の審査機関が、米海軍の原子炉の安全性を高く評価しているのは、以上のような特性も踏まえたものであると理解している。

  17. 原子力空母はテロ攻撃には耐えられるのか、テロリストが核爆発を起こすこともできるのではないか。

    (答)
    (1)米空母の停泊地は、米海軍基地内であり、徹底したテロ対策がとられていると承知している。米海軍基地のテロ対策の詳細については、事柄の性質上、政府として申し上げる立場にはないが、いずれにせよ、軍事施設に必要とされる、包括的で徹底的な対策がとられていると理解している。

    (2)なお、核爆発を起こすためには、これを目的とした特殊な装置と構造が必要である。従って、米空母の原子炉で核爆発を起こすことは物理的に不可能である。

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