英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)
英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)
(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)
基礎データ


一般事情
1 面積
24.3万平方キロメートル(日本の約3分の2)
2 人口
6,760万人(2022年英国統計局推計値)
3 首都
ロンドン(人口約886万人、2022年英国統計局推計値)
4 言語
英語(ウェールズ語、ゲール語等使用地域あり)
5 宗教
英国国教会等
6 国祭日
2024年の国王公式誕生日は6月15日。
7 略史
年月 | 略史 |
---|---|
1066年 | ノルマンディ公ウィリアム、イングランドを征服 |
1707年 | スコットランド王国及びイングランド王国合併、グレートブリテン連合王国成立 |
1801年 | グレートブリテン及びアイルランド連合王国成立 |
1858年 | 日英修好通商条約締結 |
1902年~1923年 | 日英同盟 |
1922年 | グレートブリテン及び北アイルランド連合王国へ改称(南アイルランドの分離) |
1952年 | エリザベス二世女王陛下即位 |
1973年 | 拡大EC加盟 |
1979年5月 | サッチャー保守党内閣成立 |
1990年11月 | メージャー保守党内閣成立 |
1997年5月 | ブレア労働党内閣成立 |
2007年6月 | ブラウン労働党内閣成立 |
2010年5月 | キャメロン保守党・自由民主党連立内閣成立 |
2015年5月 | キャメロン保守党内閣成立 |
2016年7月 | メイ保守党内閣成立 |
2019年7月 | ジョンソン保守党内閣成立 |
2020年1月31日 | EUから離脱 |
2022年9月 | トラス保守党内閣成立 |
2022年9月 | エリザベス二世女王陛下崩御、チャールズ三世国王陛下即位 |
2022年10月 | スナク保守党内閣成立 |
2024年7月 | スターマー労働党内閣成立 |
政治体制・内政
1 政体
立憲君主制
2 元首
チャールズ三世国王陛下(2022年9月8日即位)
3 議会
- 上院及び下院の二院制
-
- (ア)構成
- 下院(庶民院) 議席数:定数650議席 任期:5年(解散あり)
下院の党派別内訳(2024年7月現在) 政党 議席数 労働党 411議席 保守党 121議席 自由民主党 72議席 スコットランド国民党(SNP) 9議席 シンフェイン党 7議席 その他(小政党、無所属、議長等) 30議席 - 上院(貴族院) 議席数:定数なし(2024年5月現在786議席)任期:なし(原則終身、聖職者は職にある期間)
(上院は一代貴族(任命制)、一部の世襲貴族(世襲貴族内の互選)、聖職者(国教会幹部)から構成され、公選制は導入されていない。)上院の党派別内訳(2024年7月現在) 政党 議席数 保守党 277議席 労働党 172議席 自由民主党 79議席 中立(クロスベンチ) 181議席 民主ユニオニスト党(DUP) 6議席 その他(小政党、無所属、議長等) 46議席 聖職者 25議席 - (イ)選挙制度(下院)
- 小選挙区単純多数代表制、全国650選挙区
- 有権者:18歳以上の英国民及び英連邦諸国民又はアイルランド共和国民で英国居住者
- 被選挙権者:有権者と同じ。ただし、居住要件なし。
- 投票方法:一人一票、秘密投票
- 前回の総選挙:2019年12月12日、任期原則5年
4 政府
スターマー労働党内閣(2024年7月発足)
- (1)首相:
- キア・スターマー(労働党)
- (2)外相:
- デービッド・ラミー(労働党)
5 内政
- (1)2019年7月、メイ首相の辞意表明を受け、保守党党首選で選出されたジョンソン元外相が首相に就任。2019年12月の英国議会下院総選挙でジョンソン首相率いる保守党は1987年(サッチャー首相(当時))以来の大勝を収め、単独過半数(365議席)を獲得。
- (2)英国のEU離脱は、2016年6月のEU離脱を問う国民投票以来、英国・EU関係上の最大の懸案の一つであったが、英国・EU間の離脱協定に関する双方の議会承認を経て、英国は2020年1月31日にEU離脱を実現した。EU離脱後のEU・英国間の貿易及び協力に関する協定については、2020年3月から交渉が開始され、12月24日に交渉妥結、英国では同30日に同協定の実施法案が上下両院を通過した。同協定は2021年1月から暫定適用され、12月末の移行期間終了時に英国・EU間の関税が設定される事態は回避された。
- (3)英国では2020年3月の新型コロナウイルス感染症拡大時にいわゆるロックダウン措置が導入された。その後、感染は落ち着いていたが、夏以降再拡大局面に入った。さらに12月以降、変異株による感染急拡大を受け、ロックダウンの再導入を含め規制を強化。同時に、世界に先駆けてワクチンの承認を行い、接種を進めた。2021年3月以降、政府は段階的に規制緩和を行い、7月には規制の大部分を撤廃、「ウィズ・コロナ」へと舵を切った。オミクロン株の発生を受け、11月以降マスク着用等の規制を再導入したが、2022年1月末に撤廃。2月24日には陽性者の隔離義務を撤廃(国内規制を全廃)し、3月18日に水際規制も全廃した。
- (4)2021年5月の統一地方選挙では、イングランド地方議会選では保守党が、スコットランド議会選ではスコットランド国民党(SNP)が、ウェールズ議会選では労働党が勝利し、ワクチン接種の進展等を背景にそれぞれの地域での与党有利の結果となった。2022年5月の統一地方選挙では、首相官邸で行われたロックダウン規制違反の集会や生活費の高騰の問題が影響し、保守党が大きく(約490議席)地方議会の議席数を失った。北アイルランド議会選では、史上初めて、アイルランドとの統一を掲げるナショナリスト政党であるシンフェイン党が第1政党となった。
- (5)2021年9月の内閣改造により、トラス前国際貿易相が外相に就任。また、ゴーブ前内閣府大臣兼ランカスター公領尚書が、新設の底上げ・住宅・地域社会相に就任。内政面では、英国の全ての地域の「底上げ」が最重要施策。医療・介護制度改革も推進。2022年2月、首相官邸で行われたロックダウン規制違反の集会の問題等を受け、内閣改造を行うとともに首相官邸スタッフを刷新。
- (6)2022年6月、保守党下院議員による党首信任投票が行われ、211対148でジョンソン首相(保守党党首)が信任されたものの、下院議員補欠選挙2件での保守党の敗北、党幹部のスキャンダル、主要2閣僚及び大量の政府高官の辞職・辞任などを受け、ジョンソン首相は7月7日に党首辞任を表明。
- (7)保守党党首選挙が実施され、9月5日にトラス前外相が新党首に就任。翌日、エリザベス二世女王陛下が同氏を首相に任命。新政権は、経済、エネルギー、医療体制の問題に優先的に取り組むことを表明。大胆な経済政策を発表するも、市場の混乱を生み、世論・党内の反発が高まったことから、10月20日に党首辞任を表明。
- (8)10月25日にスナク政権が誕生。2025年1月までに行われる総選挙に向け、トラス政権下で不安定化した英国経済の安定とインフレ対策のための施策を実施。
- (9)2023年11月13日、ブラバーマン内相の更迭を受けて、クレバリー外相が内相に就任。同日、デービッド・キャメロン元首相が外相に就任。
- (10)2024年5月22日、スナク首相は、同年7月4日に総選挙を実施する旨発表した。これに伴い、5月30日議会は解散。7月4日の総選挙において労働党が411議席獲得する歴史的勝利を収め、7月5日、スターマー労働党党首がチャールズ三世国王陛下に首相に任命され、14年ぶりの労働党政権成立。
6 英国王室
2016年、エリザベス二世女王陛下は歴代君主最高齢となる90歳を迎え、各種行事が開催された。また、2022年2月に英王室史上初めてとなる在位70年を迎え、6月に「プラチナ・ジュビリー」として記念行事が行われた。同年9月8日、エリザベス二世女王陛下の崩御に伴い、チャールズ三世国王陛下が即位。2023年5月6日、チャールズ三世国王陛下の戴冠式が行われた。
外交・安全保障
1 概要
2021年3月、英国政府は、「競争的時代におけるグローバル・ブリテン:安全保障、防衛、開発及び外交政策の統合的見直し」を発表し、英空母「クイーンエリザベス」の派遣やインド太平洋地域への関与拡大等を含む今後10年間の方針を対外的に打ち出した。2023年3月、同「統合的見直し」の刷新を公表し、インド太平洋地域への関与を英国の国際政策の柱とした。
2 国防予算等
- (1)国防予算(2022年) 約700億ドル(ミリタリー・バランス2023)
- (2)兵役
- 志願制
- (3)兵力
- 陸軍約8.3万人、海軍・海兵隊約3.4万人、空軍約3.4万人、陸海空予備役約7.2万人(ミリタリー・バランス2023)
経済
1 主要産業
自動車、航空機、電気機器、エレクトロニクス、化学、石油、ガス、金融
2 主要貿易品目
- (1)輸出
- 自動車、医薬品及び医療用品、発動機、原油、航空機等
- (2)輸入
- 自動車、医療用品及び医薬品、ガス、発動機、衣類等
主要貿易相手国:ドイツ、米国、オランダ、中国、フランス
3 通貨
スターリング・ポンド
4 為替レート
1ポンド=約199円(2024年6月4日付)
5 経済概要
2020年の経済成長率は史上最低の-9.3%となった。2021年に経済は急速に回復(+7.4%)したものの、EU離脱や急速な経済回復等による労働者不足にウクライナ情勢も加わって供給網の混乱、電気・ガスを含む物価上昇に直面しており、消費者物価指数(帰属家賃を含む:CPIH)は、2022年7月に40年ぶりに2桁となる10.1%に上昇。スナク首相は、就任後の演説で、経済の安定性と信頼性を取り戻すことを政権課題の中心に位置付け、保健システム、教育、底上げ、EU離脱によりひ益する経済等、2019年総選挙の公約を果たすべく取り組むと発言。
<各種指標> | 単位 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
GDP(実質) | 10億ポンド | 1,912 | 1,940 | 1,977 | 2,036 | 2,089 | 2,137 | 2,218 | 2,155 | 2,046 | 2,198 | 2,506 |
GDP(名目) | 10億ポンド | 1,670 | 1,721 | 1,876 | 1,935 | 2,017 | 2,097 | 2,174 | 2,255 | 2,150 | 2,317 | 未発表 |
一人当りGDP | ポンド | 27,021 | 27,972 | 29,011 | 29,722 | 30,719 | 31,756 | 32,729 | 33,763 | 32,056 | 34,311 | 36,844 |
経済成長率(実質) | % | 1.5 | 1.8 | 3.2 | 2.2 | 1.9 | 2.7 | 1.4 | 1.6 | -10.4 | 8.7 | 4.3 |
消費者物価上昇率 | % | 2.3 | 2.0 | 0.6 | -2.0 | -1.0 | 2.7 | 2.5 | 1.2 | 0 | 2.8 | 7.9 |
失業率 | % | 8.0 | 7.6 | 6.2 | 5.4 | 4.9 | 4.4 | 4.1 | 3.8 | 4.5 | 4.5 | 3.9 |
輸出額 | 10億ポンド | 515 | 534 | 527 | 526 | 569 | 630 | 663 | 699 | 610 | 625 | 未発表 |
輸入額 | 10億ポンド | 537 | 557 | 560 | 556 | 602 | 657 | 692 | 720 | 604 | 654 | 未発表 |
財政収支 | 年、GDP比% | -1.0 | -2.0 | -2.1 | -2.4 | -2.5 | -1.3 | -1.4 | -0.6 | -1.5 | -0.5 | -3.1 |
輸出 | 輸入 | 収支 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
英国の対EU物品貿易 | 154 | (100%) | 223 | (100%) | -69 | |
(内訳) 主な相手国 |
ドイツ | 30 | (19%) | 54 | (24%) | -24 |
オランダ | 27 | (18%) | 32 | (14%) | -5 | |
フランス | 19 | (13%) | 23 | (10%) | -4 | |
アイルランド | 22 | (14%) | 14 | (6%) | 8 | |
英国の対EU域外物品貿易 | 168 | (100%) | 254 | (100%) | -87 | |
(内訳) 主な相手国 |
米国 | 47 | (28%) | 39 | (16%) | 8 |
中国 | 19 | (11%) | 64 | (25%) | -45 | |
スイス | 10 | (6%) | 10 | (4%) | 6 |
二国間関係
1 政治関係
(1)日英関係の幕開け
日英両国は、1600年に英国人航海士ウィリアム・アダムス(三浦按針)が、豊後(現在の大分県)にオランダ船で漂着して以来、400年以上にわたる交流の歴史を有する。1858年の日英修好通商条約締結により外交関係を開設。1902年には日英同盟が結ばれた(1923年失効)。第二次世界大戦前後の一時期を除き、両国は良好な二国間関係を維持している。2018年には、外交関係開設160周年を迎えた。
(2)グローバルな戦略的パートナーとしての英国
日英両国は、自由、民主主義、人権、法の支配といった価値や原則を共有するグローバルな戦略的パートナーであり、政治、安全保障・防衛、経済、文化、科学技術、教育等、様々なレベル・分野において緊密な協力関係を有している。2017年4月28日の安倍総理訪英に続き、2017年8月にはメイ首相が公賓として初訪日し、ア 安全保障、イ 経済パートナーシップ、ウ 世界の繁栄・成長を柱に、日英協力を一層の高みに引き上げるための戦略的協力の方向性を確認した。首脳会談に際し、両首脳は「日英共同ビジョン声明」、「安全保障協力に関する日英共同宣言」、「繁栄協力に関する日英共同宣言」及び「北朝鮮に関する共同声明」を発出した。また、2019年1月には、安倍総理が英国を訪問し、メイ首相との間で今後10年の課題と機会を見据えた「日英首脳共同声明」を発出し、ルールに基づく国際秩序を維持し、グローバル・地域的な安全保障及び自由貿易を推進するため、最も親密な友人でありパートナーとして、日英関係が次の段階に引き上げられたことを確認した。2022年5月、岸田総理が英国を訪問し、ジョンソン首相と会談及びワーキング・ランチを実施。さらに2022年9月、トラス政権が発足すると、同月、岸田総理は、国連総会に出席するため訪問中のニューヨークにおいて、トラス首相とワーキング・ランチを実施。2022年10月にスナク政権が発足すると、2023年1月に岸田総理が英国を訪問し、スナク首相と会談を実施。同年5月のG7広島サミットの際には、岸田総理はスナク首相とワーキング・ディナーを実施し、両首脳は「強化された日英のグローバルな戦略的パートナーシップに関する広島アコード」を発出した。両首脳は、日英関係はかつてなく緊密であり、一層協力を深化させていくことで一致した。
(3)皇室・王室関係
2012年5月、エリザベス二世女王陛下からの御招請を受け、天皇皇后両陛下(当時)は女王陛下御即位60周年記念行事に御出席になるため英国を御訪問された。
2015年2月から3月にかけて、ケンブリッジ公爵殿下(ウィリアム王子)が日本を御訪問された。2019年10月、ラグビーW杯観戦のため、プリンセス・ロイヤル殿下(アン王女)が日本を訪問された。同月、即位礼正殿の儀御参列のため、プリンス・オブ・ウェールズ殿下(チャールズ皇太子)が日本を御訪問された。翌11月、ラグビーW杯観戦のため、サセックス公爵殿下(ハリー王子)が日本を御訪問された。
2022年9月、エリザベス二世女王陛下の崩御に伴う国葬御参列のため、天皇皇后両陛下が英国を御訪問された。
2023年5月、チャールズ三世国王陛下の戴冠式御参列のため、秋篠宮皇嗣同妃両殿下が英国を御訪問された。
(4)安全保障・防衛協力
英国は、2021年3月に発表された「競争的時代におけるグレートブリテン:安全保障、防衛、開発及び外交政策の統合的見直し」において日本を「安全保障面を含め、最も緊密な戦略的パートナーの一つ」と位置づけている。閣僚レベルの対話の枠組みとしては、2015年から日英外務・防衛閣僚会合(「2+2」)を開催してきている。直近では、2023年11月に東京にて第5回日英外務・防衛閣僚会合(「2+2」)を実施。
安全保障・防衛協力関連の国際約束としては、2013年7月に防衛装備品・技術移転協定及び情報保護協定が署名され、日英間のより緊密な防衛装備・技術協力のための法的枠組みが整備された。また、2017年1月には、日英物品役務相互提供協定(ACSA)に署名、8月に発効した。
2016年の英国空軍「タイフーン」戦闘機部隊の訪日及び国内での初の航空自衛隊との共同訓練に続き、2017年8月のメイ首相訪日以降、共同訓練や英艦船の日本寄港等、具体的な防衛協力も進展(英海軍フリゲート「サザーランド」(2018年4月)、揚陸艦「アルビオン」(2018年8月)、フリゲート「アーガイル」(2018年12月)、フリゲート「モントローズ」(2019年3月)が寄港し、海上自衛隊との共同訓練や北朝鮮による海上での不正取引を監視する国際的な取組に貢献。2019年10月には、フリゲート「エンタープライズ」が親善寄港。2018年以降、日英陸軍種共同訓練が行われており、直近では2022年11月(群馬県、福島県、青森県)に実施。)。
2021年7~11月にかけて、英空母「クイーンエリザベス」を中心とする空母打撃群と自衛隊との間で二国間・多国間共同訓練が行われ、同空母は9月に日本に寄港した。また、2022年6月、海上自衛隊練習艦「かしま」・「しまかぜ」が英国に寄港し、大西洋(英国海峡)において、共同訓練を実施。
2022年12月に日英伊3か国首脳は、次期戦闘機共同開発協力に関し、「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)に関する共同首脳声明」を発出し、2023年12月には、日英伊3か国の間で、GCAPの実施に当たり、政府間の効率的な協業体制を確立するため、「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)政府間機関の設立に関する条約(略称:GIGO設立条約)」が署名された。また、2023年1月に岸田総理が英国を訪問した際、スナク首相との間で日英部隊間協力円滑化協定に署名し、同年10月に発効する等、安全保障・防衛協力における協力が一層進んでいる。
2 経済関係
(1)日本の対英国貿易
日本にとって、英国は、欧州地域では、ドイツ、オランダに次ぐ輸出先であり、日本の輸出超過が続いている。英国にとって、日本はEU域外では米国、中国、スイス等に次ぐ第9位の輸出先である。
- (ア)貿易額
-
(単位:10億円)(出典:財務省貿易統計) 年 対英輸出 対英輸入 収支 2011年 1,304 (5.1) 579 (3.4) 723 2012年 1,064 (-18.4) 582 (0.0) 482 2013年 1,084 (1.8) 641 (10.0) 443 2014年 1,184 (9.2) 675 (5.3) 509 2015年 1,300 (9.8) 788 (16.7) 512 2016年 1,483 (14.8) 708 (-10.2) 775 2017年 1,539 (3.8) 793 (12.0) 746 2018年 1,534 (-0.4) 909 (14.6) 625 2019年 1,513 (-1.4) 888 (-11.1) 626 2020年 1,145 (-24.3) 685 (-22.8) 460 2021年 1,137 (-8) 756 (-71) 381 2022年 1,450 (313) 902 (146) 548 2023年 1,689 (239) 997 (95) 334 - (イ)主要品目
- 輸出: 輸送用機器(自動車等)、一般機器(原動機等)、電気機器 等
- 輸入: 一般機械(原動機等)、輸送用機器(自動車等)、医薬品 等
-
(単位:億円)(出典:財務省貿易統計 2023年数値) 輸出(日本から英国へ) 輸入(英国から日本へ) 品目 金額 シェア 品目 金額 シェア 輸送用機器 5,955 35.3% 一般機械 2,352 23.6% 一般機器 3,159 18.7% 輸送用機器 1,649 16.5% 電気機器 1,877 11% 医薬品 1,515 15.3%
(2)日英投資関係
- (ア)進出企業数
- 英国に進出している日本企業数は955社で、ドイツに次いで欧州内第2位(海外在留邦人数調査統計、令和4年10月1日現在)。
- 英国における日系企業による常時従業員数は約17万人。欧州内第1位(経済産業省第52回海外事業活動基本調査)。
- (イ)直接投資残高(2023年末)
-
- 日本から英国へ 20兆1,633億円
日本の対外直接投資残高に占める英の割合は7%。 - 英国から日本へ 2兆3,230億円
対日直接投資残高に占める英の割合は7%。
(出典:日銀「国際収支統計」)
- 日本から英国へ 20兆1,633億円
3 文化・知的交流
- (1)2018年6月、日本の魅力を発信する新しい拠点として、ジャパン・ハウス ロンドンが市内ケンジントン・ハイストリートに開館。ウィリアム王子殿下の御臨席を得て、同年9月にグランドオープニングが行われた(日本からは麻生副総理が出席。)。来場者数は2022年6月現在、120万人を突破。
- (2)1987年に始まったJETプログラム(1978年に開始された「英国人英語指導教員招致事業(BETS)」を米国との類似事業と統合したもの)の令和5年度の英国青年参加者数は、762名(2023年7月1日現在)。
- (3)2001年4月、日英両国の青年がアルバイトをしながら相手国に1年間滞在するワーキング・ホリデー制度が発足し、2008年末から、英国側はYouth Mobility Schemeと名前を変え、2年間の滞在が認められている。また、2003年5月、英国人に対するボランティア査証発給が開始された。2023年11月、上川大臣とクレバリー外務・英連邦・開発相との間で「日本国外務省と英国外務・英連邦・開発省との間の人的交流に関する協力覚書」への署名が行われた。この覚書により、両外相間で、日本のワーキング・ホリデー制度を利用することができる英国人の人数を1,000人から6,000人に、英国のユース・モビリティ・スキームを利用できる日本人の人数を、1,500人から6,000人に増加させることを確認した。
- (4)日英のオピニオン・リーダーが二国間関係、共通の諸課題等に関し幅広く議論する場として、1984年の両国首脳間の合意に基づき、「日英21世紀委員会」が1985年から毎年日英で交互に開催されている。2022年度(第39回)の21世紀委員会合同会議は、2023年1月13日から15日まで英国にて開催され、日本、英国両国の政治・経済の現状のほか、グローバル・ヘルス・レジリエンス、経済安全保障問題、国際開発協力等について議論した。
- (5)在英国日本国大使館では、年間を通じて、大使館主催行事・展示を実施している。近年では、大英博物館など、英国の主要な文化機関等と協力・連携しながら、伝統文化・芸能のみならず、ポップ・カルチャーや和食等多様な文化事業を実施している。また、毎年9月にロンドン中心部において、英国最大の日本関連イベントである「ジャパン祭り」が開催されており、約7万人の来場がある(2020年の「ジャパン祭り」は新型コロナウイルスの影響により、オンラインで実施。)。
- (6)2017年8月日英首脳が発出した「繁栄協力に関する日英共同宣言」において、2019年ラグビーワールドカップと2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を橋渡しする形で、2019年から2020年にかけての期間を「日英文化季間」とし、日英両国において幅広い交流・協力行事を精力的に実施した。新型コロナウイルス感染症の流行による多くの事業の延期を受けて、英国における「日本文化季間」を2021年まで延長し、約1,300件の事業が実施された。
- (7)自治体、民間の交流も非常に盛んである。また、日英間の大学交流の促進国際交流基金と連携した日本語教育のプロモーション等も積極的に行われている。
4 在留邦人数
64,970名(2023年)
5 在日英国人数
19,040名(2023年12月)(在留外国人数 出典:法務省入国管理局)
6 訪日英国人数
424,279名(2019年)、51,024名(2020年)、7,300人(2021年)、57,496人(2022年)、321,482人(2023年)(出典:日本政府観光局(JNTO))
7 訪英日本人数
115,289名(2022年)(出典:英観光局)
8 要人往来(関連記事はこちら)
年月 | 要人名 |
---|---|
2005年 | 伊藤金融担当大臣(1月)、竹中経済財政政策担当大臣(1月)、河野衆議院議長(1月中)、島村農林水産大臣(1月)、麻生総務大臣(1月)、谷垣財務大臣(2月、6月)、町村外務大臣(7月)、高円宮妃殿下(11月)、中川農林水産大臣(11月)、谷垣財務大臣(12月) |
2006年 | 小坂文部科学大臣(1月)、額賀防衛庁長官(1月)、中馬内閣府特命担当大臣(1月)、松田内閣府科学技術政策担当大臣(1月)、中川農林水産大臣(3月)、二階経済産業大臣(3月) |
2007年 | 安倍総理大臣(1月)、尾身財務大臣(1月)、山本特命担当大臣(金融・再チャレンジ担当)(1月)、菅総務大臣(4月)、天皇皇后両陛下(5月) |
2008年 | 福田総理大臣(6月)、増田総務大臣(7月)、二階堂経済産業大臣(12月) |
2009年 | 与謝野財務大臣(3月、4月)、麻生総理大臣(4月)、甘利改革担当特命大臣(5月) |
2010年 | 武正外務副大臣(1月)、福山外務副大臣(1月)、平岡内閣府副大臣(7月)、市村国土交通大臣政務官(11月) |
2011年 | 平岡総務副大臣(1月)、伴野外務副大臣(1月)、松本外務大臣(5月)、伴野外務副大臣(6月)、細野総理大臣補佐官(6月)、自見郵政改革担当兼内閣府特命担当大臣(金融)(10月)、山根外務副大臣(11月) |
2012年 | 山根外務副大臣(2月)、牧野経済産業副大臣(4月)、川端総務大臣(5月)、天皇皇后両陛下(5月)、吉田国土交通副大臣(5月)、三谷財務大臣政務官(5月)、藤田財務副大臣(6月)、平野文部科学大臣(7月)、奥村文部科学副大臣(7月、9月)、五十嵐財務副大臣(8月)、城井文部科学大臣政務官(8月)、松野法務大臣政務官(8月)、中塚内閣府副大臣(9月)、玄葉外務大臣(10月) |
2013年 | 岸田外務大臣(G8外相会合)(4月)、森元総理大臣(4月)、下村文部科学大臣(5月)、麻生副総理・財務大臣(G7財務相会合)(5月)、安倍総理大臣(G8サミット)(6月)、伊吹衆議院議長(G8下院議長会議)(9月) |
2014年 | 安倍総理大臣(4~5月)、甘利経済再生担当大臣(5月)、新藤総務大臣(7月)、山本科学技術政策担当大臣(7月)、稲田クールジャパン担当・行政改革担当大臣(7月)、谷垣法務大臣(7月) |
2015年 | 岸田外務大臣、中谷防衛大臣(1月)、林農林水産大臣(5月)、高木経済産業副大臣(8月)、薗浦外務大臣政務官(9月)、森元総理(9月)、遠藤オリンピック・パラリンピック大臣(10月)、馳文部科学大臣(12月)、木原外務副大臣(12月) |
2016年 | 武藤外務副大臣(2月)、安倍総理大臣(5月)、塩崎厚生労働大臣(6月)、麻生副総理・財務大臣(7月)、義家文部科学副大臣(7月) |
2017年 | 丸川オリンピック・パラリンピック大臣(1月)、安倍総理大臣(4月)、薗浦外務副大臣(4月)、武井外務大臣政務官(5月)、滝沢外務大臣政務官(7月)、水落文部科学副大臣(7月)、越智内閣府副大臣(9月)、河野外務大臣、小野寺防衛大臣(12月) |
2018年 | 堀井巌外務大臣政務官(2月、9月)、鈴木オリンピック・パラリンピック大臣(5月)、松山内閣府特命担当大臣(5月)、上川法務大臣(5月)、梶山内閣府特命担当大臣(7月)、中根外務副大臣(7月)、吉野復興大臣(9月)、長坂復興大臣政務官(9月)、新妻文部科学大臣政務官(9月)、山本防衛副大臣(9月)、麻生副総理・財務大臣(9月)、阿部外務副大臣(10月)、石川経済産業大臣政務官(11月) |
2019年 | 櫻田オリンピック・パラリンピック大臣(1月)、安倍総理大臣(1月)、鈴木外務大臣政務官(3月) |
2020年 | 中野経済産業大臣政務官(1月)、茂木外務大臣(8月) |
2021年 | 茂木外務大臣(5月)、麻生副総理・財務大臣(6月)、菅総理大臣(6月)、小泉環境大臣(7月)、岸田総理大臣(11月)、山口環境大臣(11月)、林外務大臣(12月) |
2022年 | 金子総務大臣(4月)、岸田総理大臣(5月)、天皇皇后両陛下(9月)、吉川外務大臣政務官(11月) |
2023年 | 小倉内閣府特命担当大臣(1月)、岸田総理大臣(1月)、河野デジタル大臣(1月)、尾身総務副大臣(1月)、秋篠宮皇嗣同妃両殿下(5月)、林外務大臣(6月)、西村環境大臣(8月)、西村経済産業大臣(9月) |
2024年 | 新藤内閣府特命担当大臣(1月)、河野デジタル大臣(1月)、新藤内閣府特命担当大臣(4月)、自見内閣府特命担当大臣(5月) |
年月 | 要人名 |
---|---|
2005年 | ストロー外相(1月)、アンドリュー王子(ヨーク公爵)殿下(4月) |
2006年 | ジョンソン貿易産業相(3月)、プレスコット副首相(10月) |
2007年 | フィリップス卿 イングランド及びウェールズ首席裁判官(最高裁賓客)(3月)、ハットン雇用年金相(4月)、ベケット外相(5月)、アンドリュー王子(ヨーク公爵)殿下(5月)、ハットン・ビジネス・企業・規制改革相(11月) |
2008年 | ブレア前首相(3月、6月)、ミリバンド外相(6月)、ブラウン首相(7月)、マーティン下院議長(9月)、チャールズ皇太子(プリンス・オブ・ウェールズ)殿下及びコーンウォール公爵夫人(公賓)(10月) |
2009年 | ジョンソン保健相(2月)、ラメル外務・英連邦省閣外相(3月)、マンデルソン首席相兼ビジネス・イノベーション・技能相(10月)、デイビーズ国防省閣外相(装備担当)(10月) |
2010年 | へーグ外相(7月)、ブラウン外務閣外相(9月)、スペルマン環境・食糧・農村地域相(10月) |
2011年 | ハウエル外務閣外相(2月)、ラフ国防政務次官(4月)、ケーブル・ビジネス・イノベーション・技能相(6月)、ブラウン外務閣外相(7月)、ハント文化・オリンピック・メディア・スポーツ相(8~9月)、ハモンド運輸相(9月)、グリーン投資・貿易担当閣外相(10月)、ハモンド国防相(10月)、ミッチェル国際開発相(12月) |
2012年 | オズボーン財相(1月、10月)、キャメロン首相(4月)(ハント文化・オリンピック・メディア・スポーツ相、グリーン貿易・投資担当閣外相、ウィレッツ大学・科学担当閣外相、同行)、ミッチェル国際開発相(7月)、ダンカン国際開発閣外相(7月)、グリーニング国際開発相(10月)、ハウエル外相顧問(11月) |
2013年 | スワイア外務閣外相(1月)、バーンズ運輸閣外相(2月)、ハウエル外相顧問(2月)、キング・イングランド銀行総裁(2月)、ハント保健相(3月)、デイビー・エネルギー・気候変動相(5月)、ブラウン内務閣外相(7月)、へーグ外相(第2回日英外相戦略対話)(10月)、ロビンソン北アイルランド自治政府首席閣僚、マクギネス同副首席閣僚(12月) |
2014年 | ロバートソン外務閣外相(6月)、デ=スーザ上院議長(9~10月)、ハンコック・ビジネス・企業・エネルギー閣外相(10月)、リビングストン貿易投資担当閣外相(10月) |
2015年 | ウィリアム王子(ケンブリッジ公爵)殿下(2~3月)、バーコウ下院議長(8月)、ジョーンズ・ウェールズ首席閣僚(9月) |
2016年 | ハモンド外相、ファロン国防相(1月)、ハモンド外相、ユースティス環境・食糧・農村閣外相(4月)、ベイジー文化・メディア・スポーツ閣外相(4月)、レッドサム・エネルギー・気候変動閣外相(5月)、モーガン教育相兼女性・平等担当相、ジョンソン教育閣外相、オズボーン財相、キャメロン首相(5月)、クラーク・ビジネス・エネルギー・産業戦略相(7月)、バーコウ下院議長、ブラックウッド保健政務次官、グレイリング運輸相、シャーマ外務政務次官(9月)、プライス卿国際貿易閣外相、クラーク・ビジネス・エネルギー・産業戦略相(10月)、ハント保健相、ハモンド財相、クラーク・ビジネス・エネルギー・産業戦略相(12月) |
2017年 | フォックス国際貿易相(5月)、ジョンソン外相(7月)、メイ首相(8月) |
2018年 | フィールド外務閣外相(4月)、フォックス国際貿易相(8月)、ハント外相(9月)、クラーク・ビジネス・エネルギー・産業戦略相(11月) |
2019年 | ハント外相(4月)、フォックス国際貿易相(6月)、ハモンド財相(6月)、メイ首相(6月)、トラス国際貿易相(9月)、ウィーラー外務政務次官(10月)、アン王女(プリンセス・ロイヤル)殿下(10月)、チャールズ皇太子(プリンス・オブ・ウェールズ)殿下(10月)、ハリー王子(サセックス公爵)殿下(11月) |
2020年 | ラーブ外相(2月)、トラス国際貿易相(10月) |
2021年 | シャーマCOP26議長(4月)、ウォレス国防相(7月)、クィン国防閣外相(9月)、ミリング外務・開発閣外相(10月) |
2022年 | トレビリアン国際貿易相(2月)、グリムストーン投資閣外相(6月)、アダムス内閣府無任所相(大阪・関西万博担当)(7月)、メイ元首相(9月)、クレバリー外務・英連邦・開発相(9月)、ブレア元首相(10月)、フリーマン・ビジネス・エネルギー・産業戦略閣外相(12月) |
2023年 | トレビリアン外務・英連邦・開発閣外相(1月)、ウォレス国防相(3月)、ジョンソン卿ビジネス・通商閣外相(4月)、シャップス・エネルギー安全保障・ネットゼロ相(4月)、クレバリー外務・英連邦・開発相(4月)、ストライド労働・年金相(4月)、ハリソン環境・食糧・農村閣外相(4月)、スカリー科学・イノベーション・技術政務次官(4月)、フリーマン科学・イノベーション・技術閣外相(5月)、ハント財務相(5月)、キーガン教育相(5月)、バークレー保健・公的介護相(5月)、スナク首相(5月)、ハーパー運輸相(6月)、ロウリー地方政府・建築安全担当相(7月)、チョーク大法官兼司法相(7月)、ボーウィ原子力・ネットワーク担当相(8月)、ホイル下院議長(9月)、ジョンソン卿ビジネス・貿易省投資担当相(10月)、ベイデノック・ビジネス・貿易相兼女性・平等担当相(10月)、クレバリー外務・英連邦・開発相(11月)、シャップス国防相(11月)、シャップス国防相(12月) |
2024年 | ダウデン副首相兼ランカスター公領尚書兼内閣府大臣(3月) |
9 二国間条約・取極
通商居住航海条約、航空協定、文化協定、原子力協定、領事条約、租税条約、査証免除取極、科学技術協力協定、社会保障協定、武器及び武器技術移転協定、情報保護協定、物品役務相互提供協定、包括的経済連携協定、部隊間協力円滑化協定
10 外交使節等
日本側
- 在英国日本国大使館(林 肇 特命全権大使)
- 在エディンバラ総領事館(藤原 直 総領事)
- 在カーディフ名誉領事(キース・メルヴィル・ダン名誉領事)
- 在マンチェスター名誉領事(ジョアン・エリザベス・アーメド名誉領事)
英側
- 在日英国大使館(ジュリア・ロングボトム駐日大使)
- 在大阪総領事館(キャロリン・デヴィッドソン総領事)
- 在北九州名誉領事館(ローレンス・ダラン・チヴァス名誉領事)
11 日英交流関係機関(2023年12月時点)
(1)在日団体
- 日英友好議員連盟(会長 麻生 太郎 衆議院議員)
- 日英協会(会長 ジュリア・ロングボトム駐日大使)
- 在日英国商業会議所(会頭 リチャード・ライル)
(2)在英団体
- 英日議員連盟(会長 グレッグ・クラーク下院議員)
- 日本協会(名誉総裁 リチャード王子(グロスター公爵)殿下、会長 林 肇 特命全権大使)
- 日本クラブ(会長 市ノ川 覚 丸紅欧州会社社長)
- 在英国日本商工会議所(会頭 中野 行庸 欧州三井物産社長)
- 英国日本人会(会長 ウィンター千津子)
(3)その他
- 日英21世紀委員会