トーゴ共和国
トーゴ共和国(Republic of Togo)
基礎データ


一般事情
1 面積
56,790キロ平方メートル
2 人口
930万人(2023年 世銀)
3 首都
ロメ(Lomé)
4 民族グループ
エヴェ(約35%)をはじめ約40のグループからなる
5 言語
フランス語(公用語)、エヴェ語、カビエ語他
6 宗教
伝統的宗教67%、カトリック18%、イスラム教10%、プロテスタント5%
7 略史
年月 | 略史 |
---|---|
1884年 | ベルリン会議によりドイツ領(トーゴランド) |
1919年 | フランス委任統治(東トーゴランド) |
1946年 | フランス信託統治 |
1960年4月 | 独立・初代大統領にオリンピオ氏就任 |
1963年1月 | オリンピオ大統領殺害、グルニッキー大統領就任 |
1967年1月 | 軍事クーデター(エヤデマ中佐) |
1972年1月 | エヤデマ中佐が元首・大統領に選出 |
1979年12月 | エヤデマ将軍・第三共和国初代大統領に当選 |
1986年12月 | エヤデマ大統領三選 |
1991年12月 | 軍が首相を拘留、国民統合暫定政府 |
1992年3月 | 国民投票により第四共和制憲法採択 |
1993年3月 | エヤデマ大統領襲撃事件 |
1993年7月 | 民主化に向けたワガドゥグ国際合意成立 |
1993年8月 | 大統領選挙(エヤデマ大統領再選) |
1994年2月 | 国民議会選挙で野党勢力勝利 |
1998年6月 | 大統領選挙(エヤデマ大統領再選) |
2002年10月 | 国民議会選挙 |
2002年12月 | 憲法改正 |
2003年6月 | 大統領選挙(エヤデマ大統領再選) |
2005年2月 | エヤデマ大統領逝去 |
2005年4月 | 大統領選挙(フォール・ニャシンベ設備・鉱山・郵政大臣当選) |
2007年10月 | 国民議会選挙 |
2010年3月 | 大統領選挙(フォール・ニャシンベ大統領再選、2期目) |
2013年7月 | 国民議会選挙 |
2015年4月 | 大統領選挙(フォール・ニャシンベ大統領再選、3期目) |
2018年12月 | 国民議会選挙 |
2019年5月 | 憲法改正 |
2020年2月 | 大統領選挙(フォール・ニャシンベ大統領再選、4期目) |
2024年5月 | 新憲法公布 |
2025年2月 | 初の上院議員選挙 |
政治体制・内政
1 政体
共和制
2 元首
フォール・エソジンナ・ニャシンベ(Faure Essozimna GNASSINGBE)大統領
3 議会
- 二院制
- 上院 61議席、任期6年
- 下院(国民議会) 113議席、任期6年
4 政府
- (1)首相 ヴィクトワール・トメガ=ドグべ(Victoire TOMEGAH-DOGBE)
- (2)外務・地域統合・在外国民大臣 ロベール・ドュセ(Robert DUSSEY)
5 内政
1967年以来エヤデマ大統領による長期政権が継続してきたが、1990年に民主化の動きが高まり、1991年3月、首都ロメにて野党支持派による流血を伴う大衆デモが発生し、1993年2月ロメ市民の約半数の20~30万が国内外に退避する事態となった。主要野党が不参加のまま大統領選挙が実施され、EU等は援助を中止したが、1994年2月の国民議会選挙では野党側が過半数の議席をおさえ、与野党連立政権が成立して、民主化の歩みが始まった。
1998年6月大統領選挙ではエヤデマ大統領再選をめぐり与野党間の政治的緊張が高まるが、EU等の仲介により1999年7月末に与野党間合意に至った。2002年12月、エヤデマ大統領は憲法を改正し、大統領の多選禁止規定を廃止して、2003年6月に再選されるも、2005年2月に逝去。国民議会は再び憲法を改正し、子息のニャシンベ氏が後任大統領に就任したが、AU及び西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)からクーデターとして非難を受け同氏は辞任した。
2005年4月に大統領選挙が実施されニャシンベ氏が当選。2006年4月、連立に加わらない主要野党も含めた和解対話が開始され8月に包括的政治合意成立。2007年10月には、国民議会選挙が民主的に実施された。2015年4月には、大統領選挙が平和裏に実施され、ニャシンベ候補(共和国連合)が3期目となる再選を果たした。2020年2月の大統領選挙でニャシンベ大統領が再選された(4期目)。ニャシンベ政権は民主化の促進や国内融和に取り組み、ロメ自治港を中心としたインフラ整備に注力するなどして、ロードマップ(2020-2025)の下で社会的包括性及び調和の強化や平和の保障、経済力強化による雇用創出活性化、国家近代化及び構造強化を推進しながら安定した政権運営を続けている。2020年9月、クラス内閣の総辞職に伴いドグベ首相が任命され、10月新内閣が組閣された。2024年3月、国民議会は新憲法案を採択し、同年5月に公布・施行。以降、大統領は新設されたコングレス(上下両院合同会議)によって選出され、国民議会で過半数を獲得した政党の党首が首相となる。2025年2月に初の上院議員選挙を実施。
外交・国防
1 外交
穏健な非同盟中立路線が基調。アフリカ域内では、積極的に紛争の平和的解決に努力。リビア・チャド関係の正常化、モーリタニア・セネガル間の紛争調停、ナイジェリア・カメルーン国境紛争に関与する等、その外交手腕は評価されている。エヤデマ大統領は1997年にはザイール(現コンゴ民主共和国)紛争問題でモブツ、カビラ両派の会談を実現、また、1999年中は西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)議長としてギニアビサウ紛争、シエラレオネ紛争、また、2002年コートジボワール危機仲介の役割を積極的に果たした。2007年10月の国民議会選挙が平和裡に実施されたことを受け、主要援助国・国際機関は援助を再開。2012-2013年は国連安保理非常任理事国を務めた。近年も、コートジボワールやスーダンの国連PKO、国連マリ多面的統合安定化ミッション(MINUSMA)へそれぞれトーゴ軍を派遣する等、紛争防止、平和構築に貢献している。2017年はECOWAS議長として、ギニアビサウの危機解決、ガンビアの経済再建及び安定等を支援した。また、2018年から2019年まではアフリカ連合(AU)平和安全保障理事会の理事国を務めた。2022年から2023年にかけてはマリ・コートジボワール間の対立を仲裁、2023年からはスーダンやニジェールでも仲介役を担うなど、西アフリカ及び国際社会の平和と発展に積極的に貢献している。
2 軍事力(ミリタリーバランス2024)
- (1)予算 198百万米ドル(2023年)
- (2)兵役 選択徴兵制(2年)
- (3)兵力 13,750名(陸軍13,000名、海軍500名、空軍250名)
経済(単位 米ドル)
1 主要産業
- 農牧業 (綿花、カカオ、コーヒー)
- 鉱業 (リン鉱石)
2 GDP
91.7億米ドル(2023年 世銀)
3 一人当たりGNI
1,000米ドル(2023年 世銀)
4 経済成長率
6.4%(2023年 世銀)
5 インフレ率
8%(2022年 世銀)
6 失業率
2%(2022年 世銀)
7 総貿易額(2023年 ITC)
- (1)輸出 14.56億米ドル
- (2)輸入 30.5億米ドル
8 主要貿易品目(2023年 ITC)
- (1)輸出 リン酸塩、鉱物油、プラスチック製品、動物性・植物性油脂
- (2)輸入 鉱物油、自動車関係、機械類、プラスチック製品
9 主要貿易相手国(2023年 ITC)
- (1)輸出 インド、ブルキナファソ、ベナン、マリ
- (2)輸入 中国、フランス、インド、ガーナ
10 通貨
CFAフラン
11 為替レート
1ユーロ=655.957CFAフラン(固定レート)
12 対外債務残高
33.75億ドル(2023年 世銀)
13 経済概況
農業がGDPの約40%、労働人口の約70%を占める。リン鉱石、セメント、金といった鉱物資源及び綿、コーヒー、カカオが主要な外貨獲得源。食料及び燃料価格高騰や、主要輸出品であるリン鉱石の市場価格の変動、政治的不安定が与えた民間セクターへのマイナス影響、新型コロナウイルス感染症などの要因で同国経済をとりまく環境は不確実性を有している。ウクライナ情勢により成長が鈍化し、輸出収益の減少、生活費の上昇、エネルギーや肥料の価格の上昇等が発生し、極度の貧困状態は全国で30.6%に及んだ。
ニャシンベ大統領は、国際社会からの支援を得つつ、ロメ自治港を中心としたインフラ整備等に取り組み、経済成長による雇用の創出や貧困削減を進めている。また、徴税能力の向上、公共投資、民間投資の活性化のための制度改革も実施され、近隣諸国の経済成長の恩恵も受けて、2014年以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた2020年を除き、毎年5%前後の成長率を維持しており、2025年以降も成長率が上昇することが予想されている。
経済協力
1 援助実績
- (1)有償資金協力(2022年度まで、交換公文ベース)
- 93.46億円
- (2)無償資金協力(2022年度まで、交換公文ベース)
- 284.46億円
- (3)技術協力(2022年度まで、経費実績ベース)
- 31.05億円
2 我が国の協力概要
これまで主に無償資金協力及び研修員受け入れ等の技術協力を実施するとともに、1980年代には同国の構造調整努力を支援する目的で円借款を実施した。しかし、1993年以降、反政府勢力・民主派への弾圧が多く見られたため、援助を一時的に停止した。1996年に援助を再開したものの、2001年の政情悪化に伴い二国間支援を一時停止、その後、2007年10月の国民議会選挙の実施を機に援助を再開した。
近年の主要案件として、食糧援助やカラ橋及びクモング橋建設、ロメ漁港整備、並びにソコデ市バイパス道路建設計画などがある。
3 主要援助国(2021年 単位:百万ドル)
ドイツ(67.55)、フランス(44.25)、米国(13.73)、ハンガリー(8.02)、カナダ(4.45)
二国間関係
1 政治関係
日本はトーゴ独立直後の1960年4月27日に政府承認し、1964年に開館した在コートジボワール大使館が兼轄。2016年8月に駐日大使館が開館。
2 経済関係
(1)対日貿易(2023年:財務省貿易統計)
- (ア)貿易額
- 輸出 22.73億円
- 輸入 31.17億円
- (イ)主要品目
- 輸出 ごま、非鉄卑金属くず等
- 輸入 織物用繊維、一般機械、輸送用機器等
(2)進出日本企業(2024年10月現在)
0社
3 文化関係
文化無償により、1990年度教育・文化番組制作機材(国営テレビ局)を供与。2022年には初めて日本映画上映会を開催。2024年に2回目の日本映画上映会を開催。同年、スポーツ外交推進事業でトーゴ柔道連盟(FTJ)に対し柔道着を供与。
4 在留邦人数
7人(2024年10月現在)
5 在日トーゴ人数
80人(2024年6月現在)
6 要人往来
年月 | 要人名 |
---|---|
1985年3月 | 列国議会同盟(IPU)会議参加のため10名の衆・参議員団(団長:奥田敬和衆議院議員) |
2006年7月 | 日・AU友好議員連盟(三原朝彦衆議院議員、三ッ矢憲生衆議院議員、西村明宏衆議院議員、伊藤忠彦衆議院議員) |
2013年10月 | 東郷哲也衆議院議員 |
2014年7月 | 東郷哲也衆議院議員 |
2018年8月 | 牧原秀樹厚労副大臣、牧島かれん衆議院議員 |
年月 | 要人名 |
---|---|
1985年1月 | アリピュイ財務相、アドド計画・工業相 |
1986年8月 | アドド計画工業相 |
1987年8月 | バルケ計画・鉱山相 |
1987年9月 | バルナボ国民議会副議長(弔問特使) |
1988年3月 | バルケ計画・鉱山相 バルナボ国民議会副議長 |
1988年12月 | バルナボ国民議会副議長(弔問特使) |
1989年2月 | エヤデマ大統領(大喪の礼) |
1989年4月 | エヤデマ大統領(非公式) |
1990年2月 | バルケ計画・鉱山相、ジョンド工業相 |
1990年11月 | エヤデマ大統領(即位の礼) |
1993年10月 | ヤンチャブレ計画相(TICAD (アフリカ開発会議)) |
1998年10月 | バルケ財務・民営化担当国務相(TICAD II(第2回アフリカ開発会議)) |
2001年12月 | プレ計画・国土整備、住宅都市計画相 |
2003年9月 | デババ・バレ経済・財政・民営化相(TICAD III(第3回アフリカ開発会議)) |
2008年5月 | マリ首相、ニネヴィ外相(TICAD IV(第4回アフリカ開発会議)) |
2009年2月 | エサオ外務・地域統合相 |
2010年11月 | エサオ大臣、外務・協力問題担当大統領顧問 |
2011年6月 | ニャシンベ大統領 エクエ計画・開発・国土整備担当相(MDGsフォローアップ会合) |
2011年11月 | アグバ保健相 |
2012年2月 | エサオ大臣、外務・協力問題担当大統領顧問 |
2012年10月 | アヤソ経済・財務相(IMF・世銀総会) |
2013年6月 | ニャシンベ大統領、オイヌ外相、セモジ開発相、ドグベ草の根開発・手工業・青少年・青年雇用相(TICAD V(第5回アフリカ開発会議)) |
2014年9月 | エクエ社会運動・女性地位向上・識字教育相(WAW!2014) |
2015年3月 | ジョンソン環境・森林資源相(国連防災世界会議) |
2019年8月 | ニャシンベ大統領、ラウソン郵便・デジタル経済・技術革新相、ドュセ外務・アフリカ統合・在外トーゴ人相、ヤヤ経済・財務相、アデゼ商業・産業・民間セクター開発・消費促進相、トラオレ・インフラ・運輸相、オラドクン環境・持続的開発・自然保護相、バタカ農業・畜産・水産相(TICAD7(第7回アフリカ開発会議)) |
2019年10月 | ニャシンベ大統領(即位の礼正殿の儀) |
2021年7月 | ベシ・スポーツ・余暇相(東京オリンピック競技大会) |
2022年9月 | ニャシンベ大統領、ベベニ農業・畜産・農村開発相、ミヴドール投資促進相(故安倍晋三国葬儀) |
2024年8月 | ドュセ外務・地域統合・在外国民大臣(TICAD閣僚会合) |
7 二国間条約・取極
- 1963年10月 貿易取極