1-2. 成長の加速化 - 貿易・投資・観光 -
TICADプロセスの下で今後5年間に取られる措置(横浜行動計画)
TICADプロセスは、以下の事項への取組を強化する。
- (1)貿易の促進・拡大
- (2)外国投資の奨励
- (3)民間セクター開発支援
- (4)観光促進
TICADプロセスの下における2009年2月までの主な実施事項
貿易促進・拡大
アフリカ産品の日本市場への参入を改善すべく、日本国経済産業省(METI)及び日本貿易振興機構(JETRO)は、新しい包括的プログラムである「アクセス・ジャパン」(アフリカ産品の日本市場参入支援プログラム)を開始。第一段階として2009年4月に、アフリカ産品の商品価値を評価し改善のための助言を行う「品評会」を開催することを決定。
外国投資の奨励
2008年8-9月にかけてアフリカ12カ国に対して3つの貿易・投資促進官民合同ミッションを派遣。本ミッションの成果をまとめた包括的な報告書がまとめられている。これには、同ミッションに参加した民間企業からの評価と提言が盛り込まれており、今後日本政府、日本企業及びアフリカ諸国がミッションのフォローアップを行うための基礎をなすもの。
アフリカ開発に貢献する日系企業の活動をODAが補完できるようにするメカニズムを設立。
アフリカ向け日系投資促進及び投資環境整備のため、JBIC はTICADⅣ以降、計7.4億ドルのアフリカ向け金融支援を承諾するとともに、ナイジェリアにおける投資環境の整備のため、UNCTAD と協力して政策提言を準備している。
民間セクター開発支援
3億ドルを上限とする円借款をアフリカ開発銀行に供与することを決定(交換公文ベース)。また、アフリカ諸国による知的財産の保護やエネルギー・資源開発の促進のため、幅広い分野で技術協力や「リスクマネー供給」を実施。
観光促進
アフリカ内外の観光促進に対する世界の関心を喚起するため、UNDPは、2009年5-6月に第5回アフリカ・アジア・ビジネス・フォーラム(AABFV)を、観光促進に焦点を当てた形で開催すべく準備中。
2010年に南アにおいて開催されるサッカーワールドカップは、TICADプロセスにおいて観光促進プログラムを推進する上で重要かつ極めて有用な潜在性を有する機会。
今後の課題
・アフリカ諸国が国際貿易体制からより十分に利益を得、アフリカ諸国が世界経済に一層統合されるためには、長期にわたって継続されてきた世界貿易機関(WTO)ドーハ開発アジェンダ交渉が、早期かつ開発途上国の利益に決定的にかなった形で妥結することが重要。このためには、先進国による更なる理解と協力が必要。
・農業補助金を含む、貿易歪曲的補助金及び他の保護主義的措置は、1)アフリカにおける投資と開発を抑制し、2)農産品を含むアフリカ産品の国際市場への参入を制限しており、何らかの対応がとられる必要がある。
・ドーハ開発アジェンダ交渉を補完する貿易のための援助(Aft)は、アフリカが自らの生産能力を構築するのを支援する上で重要。
・現下の世界金融・経済危機のアフリカへの影響を最小限に抑え、持続可能な経済成長を達成するためには、アフリカにおける貿易金融を含む金融セクターを強化するための様々な支援の早急な実施が必要。
・アフリカの貿易・投資・観光を促進するためには、インフラ整備、総合的な生産性向上を含むアフリカ諸国の投資環境の整備に向け、一層の注力・支援が必要。
・特にアフリカにおける観光促進のためには、アフリカ諸国への航空便の範囲及び便数の増加を検討する必要がある。空港関連施設の新設や改修は、大陸の経済インフラ開発の重要な要素。