アフリカ

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TICAD平和の定着会議
(概要と評価)

平成18年2月

1.開催日・場所

 2月16-17日 アディスアベバ(エチオピア)
(日本政府、国連、GCA(アフリカのためのグローバル連合)、UNDP、世銀の共催

2.参加国・機関

 73カ国(うちアフリカ23カ国の外相等閣僚級が参加)、38地域・国際機関、20団体(NGO・市民社会等)から400名以上が参加。

(1)日本:塩崎外務副大臣(全体議長、日本政府代表団長)、明石元国連事務次長、駒野前駐アフガニスタン大使、佐藤アフリカ紛争・難民問題担当大使

(2)TICAD共催者:ジンワラGCA共同議長(元南ア下院議長)が分科会議長を務めた他、国連、UNDP、世銀から局長級が出席。

(3)アフリカ諸国・地域機関:51カ国、6機関が参加。ピン・ガボン外相(前国連総会議長)及びジニットAU平和・安全保障委員が分科会議長を務めた他、大湖地域、西アフリカ、スーダン、タンザニア、南ア等の主要国を中心として、計25名の閣僚級参加者が出席。

(4)主要ドナー:G8、EU、ベルギー、スウェーデン、オランダ、デンマーク等。仏からは、ヴィルツェール外務省安全・紛争予防上級代表(元協力・仏語圏担当閣外大臣)が参加。

(5)国際機関:UNHCR、UNICEF、UNIDO、WFP、UNECA、FAO、IOM等20機関。

(6)市民社会・NGO:アフリカ女性の団結、OXFAM、セーブ・ザ・チルドレン、TICAD市民社会フォーラム、ワールド・ビジョン・ジャパン、難民を助ける会等。

3.議論のポイント(議長総括骨子)

【総論】

(1)オーナーシップ、パートナーシップ
 アフリカ自身がオーナーシップを発揮して取り組みを進めること、及び、それを国際社会等がパートナーシップにより支援することが基本(特に、AUの実績・役割を評価)。

(2)包括的・統合的アプローチ及び個別的アプローチの必要性
 分野(治安、開発、和解等)及び時期(平和維持・人道支援から開発まで)の面で、包括的かつ統合的なアプローチが重要(国連平和構築委員会(PBC)の活動に期待)。また、各々の状況に合った適切な対応をとるためには、個別的なアプローチも必要。

(3)人間の安全保障の重要性、NGO/市民社会及び女性の役割
 平和の定着には人間の安全保障、更にはNGO/市民社会や女性の役割が重要。

(4)アジア・アフリカ協力
カンボジア、アフガニスタンでの平和の定着の経験の共有を通じて、TICADプロセスの特徴であるアジア・アフリカ協力の推進への期待が表明された。

【各論】

(1)治安確保
 DDRに関し、シエラレオネ、アフガニスタン等の経験が紹介された他、女性、児童の元兵士への配慮の重要性が指摘された。多くの参加者から、小型武器対策について、ナイロビ議定書等の地域的な取り組みや、武器製造国を含めた流通管理の重要性が強調された。

(2)政治ガバナンス・体制移行
 国民和解の手法として、裁判方式と真実・和解委員会方式が議論され、多くの参加者が後者の利点が多い旨指摘した。また、行政組織の強化や議会の役割についても議論が行われた。

(3)コミュニティ復興・社会経済開発
 復興支援について、人間の安全保障に重点を置いたコミュニティ開発が強調され、インフラ整備(学校、病院、道路、橋等)、基礎生活ニーズ(水供給、衛生等)の他、所得創出、農業育成等の重要性も議論された。多くの参加者から、紛争後の復興資金の確保、当事国政府の財政不足への対応が必要である旨指摘がなされた。

4.我が国の新たなイニシアティブ・支援実績(塩崎副大臣の基調演説

(1)新たなイニシアティブ昨年のG8サミットの際に発表したアフリカの平和の定着支援拡充の具体化)

(イ)スーダン、大湖地域、西アフリカを中心に、DDRや小型武器対策、政治ガバナンス強化、国民和解、難民・国内避難民の帰還・再統合促進、人間の安全保障を重視したコミュニティ開発(水・衛生・教育分野等)等のための資金協力・技術協力を積極的に行う。

(ロ)上記の一環として、先ず、本年3月末までに、6,000万ドルを目途とする支援を実施(別添2参照)。AU、RECs、国際機関及びNGOとの連携を引き続き重視。アジア・アフリカでの平和の定着経験の共有の取り組みを進める(例:カンボジアの地雷、小型武器対策の経験共有)。

(ハ)国連平和構築委員会の活動に対して、日本のこれまでの経験を踏まえ、国際的な連携・調整の促進に向けて、包括的かつ積極的な役割を果たしていく。

(ニ)アフリカに展開する国連PKOの活動経費の約2割を負担(国連予算05/06年度に7億5,000万ドル以上)。

(2)我が国の支援実績

(イ)我が国のアフリカでの平和の定着分野での2003-2005年の支援実績は3億5,000万ドル以上。これには、2005年3月に実施したアフリカ14ヵ国に対する総額約6,000万ドルの支援パッケージや、2005年4月に表明し同年中にその約7割の使途を決定し実施中の、当面1億ドルの対スーダン支援が含まれる。

(ロ)これに加え、同期間(国連予算2003/2004年度及び2004/2005年度)には、アフリカに展開する国連PKOの活動を支援するため、9億2,000万ドルの貢献(国連PKO分担金)。特に、スーダンPKO(UNMIS)については、人的貢献に加え、同ミッションに参画するアフリカ諸国の部隊が利用するための物資協力も実施。

5.参加国・機関との会談・昼食会

(1)会議期間中、塩崎副大臣は、エチオピア(メレス首相、タケダ外務担当国務大臣)、AU(コナレ委員長)、ガボン(ピン外相)、タンザニア(ミギロ外務・国際協力大臣)、ジブチ(ユスフ外務・国際協力大臣)、スワジランド(ドラミニ外務大臣)、ケニア(ウェタングラ外務副大臣)、ガーナ(オセイ=アジェイ外務副大臣)、スーダン(アルワシラ外務担当国務大臣)、カメルーン(ディオン=ングテ英連邦担当外務副大臣)と二国間会談を計12件実施した。また、先方の求めに応じ、ジョンソン=サーリーフ・リベリア大統領と電話会談を行った他、サラUNICEF事務局次長とも意見交換を行った。

(2)更に、16日には塩崎副大臣主催にて紛争後の平和の定着を経験した国(スーダン、シエラレオネ、モザンビーク、ルワンダ、ブルンジ、リベリア、コンゴ(民))の首席代表等を招いて昼食会を開催した。

(3)上記の会談等においては、塩崎副大臣から我が国のTICADプロセスを基軸とした対アフリカ支援の取り組みにつき説明した他、ほぼ全ての二国間会談において、国連安保理改革に関する働きかけを行った。

6.塩崎副大臣のスーダン訪問

 塩崎副大臣は、本会議に先立ち(12日~14日)、2005年1月に南北内戦が終了したスーダンの南部地域(ジュバ及びルンべック)を訪問し、UNICEF等の国際機関による避難民の帰還、医療、教育等の支援の現場を視察した他、アコル外相とも会談し、ダルフール問題の解決に向けた更なる努力を働きかけた。

7.評価

(1)本会議では、多くの紛争が終結に向かいつつあるアフリカにとって喫緊の課題である平和の定着に関し、アフリカ、アジア及び欧米諸国、地域・国際機関並びにNGO・市民社会の代表により活発な議論が行われ、多くの参加者から、大変時宜を得た会議であり、各地域の経験や教訓を共有するうえで貴重な機会であるとの高い評価が示され、TICADプロセス及び我が国のイニシアティブに対する謝意が示された。

(2)我が国が発表した新たなイニシアティブ(総額6,000万ドルの当面の支援等)(PDF)PDFに対し、アフリカ諸国を中心として、我が国のアフリカ定着支援への強いコミットメントを示すものとして、高い評価と期待が表明された。

(3)アフリカでの平和の定着の経験・課題につき、アンゴラ、モザンビーク、シエラレオネ、リベリア、コンゴ(民)等の閣僚が自国の経験・現状に基づき発表を行い、議論を深めたことにより、アフリカのオーナーシップの具現化と強化を図ることができた。

(4)明石元国連事務次長や駒野前駐アフガニスタン大使、カンボジアの地雷専門家から紹介されたアジアでの平和の定着経験に対してアフリカ側出席者から強い関心が示され、本分野での今後のアジア・アフリカ協力の発展可能性の高さが窺われた。

(5)まもなく活動を開始する国連平和構築委員会や、AUの紛争後復興・開発枠組み(PCRD)に対し、本会議の議論を踏まえた具体的提言を取り纏めた議長総括を踏まえ、国連、世銀等の共催者とも連携しつつ、積極的な貢献を行っていくことが可能となった。

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