スペイン王国

基礎データ

令和6年12月6日
スペイン国旗国旗

一般事情

1 面積

50.6万平方キロメートル(日本の約1.3倍)

2 人口

約4,781万人(2023年)(出典:IMF)

3 首都

マドリード(マドリード市の人口約333万人)(2023年)(出典:スペイン国家統計院(INE))

4 言語

スペイン(カスティージャ)語(なお、スペイン憲法は、第3条において、各自治州の自治憲章の定めにより他の言語も当該自治州の公用語とすることを認めており、現在、バスク語(バスク州、ナバーラ州北西部)、カタルーニャ語(カタルーニャ州、バレアレス州)、ガリシア語(ガリシア州)、バレンシア語(バレンシア州)、アラン語(カタルーニャ州)がそれぞれ公用語として認められている。)

5 宗教

憲法で信仰の自由が保障されている。

6 国祭日

10月12日(コロンブスによるアメリカ到達の日)

7 略史

年月 略史
BC30c 古代イベリア人が定住
BC9c ケルト人が定住
BC201年 ローマ帝国がイベリアの支配権確立
415年 西ゴート王国建国
711年 イスラム勢力がイベリア半島に進出、西ゴート王国崩壊
716年 イスラム・ウマイヤ朝支配始まる(イベリア半島の大部分を支配)
756年 後ウマイヤ朝支配(~1031年)
1469年 カスティーリャ王女イサベルとアラゴン王子フェルナンドの結婚
1492年 グラナダ王国(ナスル朝)陥落(キリスト教徒による国土回復完了)
コロンブス、アメリカ大陸到達
1494年 トルデシリャス条約により、アメリカ大陸での支配権を確立
1516年 ハプスブルク朝スペインの成立(カルロス1世即位)
1571年 レパントの海戦(スペイン・ベネツィア軍がトルコ海軍を破る)
1581年 フェリペ2世、ポルトガル王位継承(1668年ポルトガル独立)
1588年 無敵艦隊、英海軍に敗北
1648年 ウエストファリア条約(30年戦争)によりオランダの独立を承認
1700年 ブルボン朝スペインの成立(フェリペ5世即位)。スペイン王位継承戦争(~14年)
1805年 ナポレオン侵攻、スペイン独立戦争(~14年)
1812年 スペイン最初の憲法(三権分立)
1873年 第一次共和制(~74年)
1898年 米西戦争で敗北。キューバの独立承認、フィリピン、プエルトリコ、グアム米国領に。
1931年 第二次共和制(~39年)
1936年 スペイン内戦(~39年)
1939年 フランコ政権(~75年)
1975年 フランコ総統死去、フアン・カルロス1世国王即位
1977年 総選挙の実施
1978年 新憲法(現行憲法)の制定
1986年 EC加盟
1992年 バルセロナ五輪、セビリア万博、新大陸到達500周年記念事業
1999年 ユーロに第一陣国として参加
2004年 マドリードにおける列車爆破事件
2008年 サラゴサ万博
2014年 フアン・カルロス1世国王退位、フェリペ6世国王即位

政治体制

1 政体

議会君主制

2 元首

フェリペ6世(Felipe VI)国王
(2014年6月19日即位)

3 議会

二院制(議席数:上院266、下院350)(両院共に任期4年、解散制度あり)

4 政府

サンチェス社会労働者党(PSOE)政権(2023年11月発足(第3期)。

  • (1)首相名 ペドロ・サンチェス・ペレス=カステホン(Pedro Sánchez Pérez-Castejón
  • (2)外相名 ホセ・マヌエル・アルバレス・ブエノ(José Manuel Albares Bueno

内政

1 概要

 1980年代から社会労働者党(PSOE)(中道左派)と国民党(PP)(中道右派)の二大政党制が続いている。2000年以降、リーマンショック、ラホイ政権(PP:2011-2018)の汚職問題、移民政策等により、既成政党への社会の不満が高まり、急進左派や急進右派の新興政党や地域政党への支持が増加した。これにより、既成政党が選挙で過半数を取れず、新興政党や地域政党との連合に向けた調整が必要となる状況も見られる。
 2020年、サンチェス政権は、選挙で第一党となったものの過半数を取ることができなかった社会労働者党(PSOE)とその他の左派政党による、民主化後初めての連立政権となった。しかし、連立によっても過半数を獲得することはできず、新型コロナウイルスの拡大への対応も含め、各党との協力の下で政権運営を進めてきた。具体的には、「スペイン復興・改革・強じん化計画」をまとめ、主にグリーン・デジタル分野(再生可能エネルギーや水素の導入、情報通信ネットワークの拡大等)の発展に向けた政策を推進。また、ロシアによるウクライナ侵略によるエネルギー価格を始めとする物価の高騰を抑制するため、ガソリン等の燃料に対する補助金、基礎的食料品及び光熱費の消費税減税、低所得者に対する給付金の支給、銀行及びエネルギー企業に対する臨時課税等の施策を実施。2022年には国防費増大を発表し、前年比8%増とした。

 2023年5月の統一地方選挙では、与党PSOEが、協力している新興政党や地方政党の振舞いと、それに対する与党の対応への不満が高まったこともあり、野党PPに敗北。これを受け、サンチェス首相は上下両院議会を解散。7月23日に上下両院議員選挙が実施され、野党PPが第一党になったが、PPのフェイホー党首は、9月の下院での首相信任投票で所定の票数を獲得できなかった。10月に与党PSOEのサンチェス暫定首相が次期首相候補に指名され、11月にカタルーニャ州やバスク州の地方政党も含めた政党の支持を獲得し、下院で信任され、首相に再任された。

2 当面の課題

(1)経済成長の強化と雇用創出

 第3次サンチェス政権は、GX(グリーン・トランスフォメーション)・DX(デジタル・トランスフォメーション)を通じた経済成長及び産業変遷、完全雇用の達成及び購買力増加、生活の質の向上(医療、年金、介護、ジェンダー平等、住まい等)、全市民・地域に行き届いたエコロジー移行、地域結束の強化や、EUにおけるスペインのリーダーシップ強化を優先課題としている。また、環境・社会・経済全般のサステナブル化及びデジタル化に向けて、欧州復興基金(2020-2026年期に798億ユーロの補助金及び832億ユーロの融資)を活用した「スペイン復興・改革・強じん化計画」も引き続き進める。
 一方、スペイン経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大、ロシアによるウクライナ侵略を経て、観光セクターの回復や電力価格の低下等も踏まえ、EUを上回る成長率を記録しているものの(2023年はEU平均0.4%に対してスペインは2.5%)、EU内でも高い失業率や財政安定化が引き続き課題となっている。

(2)地方自治・分離独立問題

 スペインでは広範な地方自治が憲法で保証されているが、バスク、カタルーニャといった独自の言語や歴史を有する州では、より広範な自治やスペインからの分離・独立を求める動きも見られる。
 2017年10月、カタルーニャ州は「州民投票」及び独立宣言を強行。以降、中央政府は、州議会解散、州知事解任、独立派の逮捕・起訴、急進独立派の次期州知事の公職停止など、強硬姿勢を見せてきたが、サンチェス首相は州政府と対話する姿勢を強調。2021年独立派幹部9名が恩赦により釈放され、2024年6月にはカタルーニャ独立運動に関連し有罪判決を受けた者に対する大赦法が発効した。2024年5月の同州議会選挙では、独立派の与党カタルーニャ共和左派(ERC)が大敗を喫し、1984年以来初めて独立主義政党が絶対過半数を割った。独立派ではないカタルーニャ社会党(PSC)が第一党になり、同党のイリャ党首が州首相に就任した。

 バスク州では、バスク祖国と自由(ETA)が2018年4月に約50年に及ぶ武装闘争中に引き起こした損害、犠牲に対する直接責任の認識及び謝罪宣言を発出し、同年5月には今後一切の政治活動を放棄する等記載した解散宣言を発出した。2023年5月の統一地方選挙では、地方政党のバスク民族主義党(PNV)がバスク州で最大得票数を獲得し、バスク社会党との連立政権が発足。一方、ETA指導下にあるとされるバタスナ党の流れをくむ政党を含む政党グループであるビルドゥ(EH-Bildu)は、候補者の中に、テロ活動関連で有罪判決を受けた44名を入れたことを野党に非難され、44名のうち、殺人・傷害罪に問われた7名は当選しても辞退することを決定し、選挙ではPNVに次ぐ多くの票を獲得した。

外交・国防

1 外交

(1)サンチェス政権の主要外交目標(議会における外務・EU・協力相による外交方針説明の5本柱)

  • ア 民主主義・人権・フェミニズムの擁護。
  • イ 地域統合及び多国間主義への支持。
  • ウ 統合された平等かつ公平な世界経済へのコミットメント。
  • エ 持続可能な開発支援及び気候変動との闘い。
  • オ 参加型で近代化・デジタル化された外交サービスの提供

(2)外交の重点地域

ア 欧州
 EU主要国の一つとして、欧州共通政策の策定に積極的に関与。増加傾向の移民対策は欧州全体で行うべきとしつつ、責任と連帯を主張し積極的に対応。欧州重視の姿勢、独仏との緊密な協調姿勢を維持しつつ、「欧州諸国の結節点となる国」を目指し、その他の加盟国とも関係強化を図っている。欧州統合の強化を重視。ロシアによるウクライナ侵略後は、EU、NATOと連携して対ロシア制裁を実施しているほか、ウクライナに対する人道支援や軍事支援も実施。
 2023年下半期はEU議長国を務め、EUの復興・強じん化計画の見直し、社会的アジェンダへの取組、グリーン・アジェンダへの取組を行ったほか、ラテンアメリカ及び北アフリカとの関係の強化を推進した。
イ 米州(北米及び中南米)
 ロタ基地(スペイン南部)での協力を含め、安全保障を始めとする分野で対米関係を強化。2023年5月にサンチェス首相が米国を訪問し、バイデン大統領と会談。中南米との歴史・文化・言語・経済的連携を強化し、活力を取り込む。イベロアメリカ・サミットを重視。2023年7月には、EU議長国として、8年ぶりにEUーCELAC(中南米カリブ海諸国共同体)首脳会合を開催した。
ウ 中東・北アフリカ
 地理的・歴史的つながりが強い地域。特に、経済、移民、エネルギー、サヘル地域の安定、ISIL等によるテロへの対策等を重視。国内でもテロ支援者を摘発。スペイン政府は各種機会を捉え、EUは東方(ウクライナ、ロシア等)のみならず南方(北アフリカ)に一層目を向けるべきとのメッセージを発信。マグレブ地域では、移民の主要母国・経由国でもあるモロッコとの関係を特に重視。2021年のアフガニスタンでの政権交代の際には、17機の航空機により、アフガニスタンからの約2,200人の退避支援を実施した。イスラエル・パレスチナ情勢を踏まえ、2024年5月にパレスチナ国家を承認。
エ アジア太平洋
 スペイン外交の新たな重点地域。日本を長い交流の歴史と価値観を共有する国、アジア太平洋地域におけるパートナーとして重視。2013年~2014年の「日本スペイン交流400周年」、2018年の外交関係樹立150周年、日本・スペイン・シンポジウム等を通じ様々な分野で関係を活性化。また、経済外交等の観点から中国、韓国、インド、ASEANとの関係、旧宗主国としてフィリピンとの関係も重視。

(3)国際場裡及び開発支援

  • ア 多国間主義及び国連(2015年~2016年安保理非常任理事国)を重視。また、G20にも「恒久的招待国」として継続的に参加。緊縮財政の下、2012年度にはODA予算を前年比約70%削減したが、2021年には、「2030アジェンダ」に対するスペイン政府のコミットメント及びパンデミックへの支援を反映させ、新たな開発協力法に基づき2030年までにGNI比0.7%という目標を掲げている。
  • イ 安全保障面ではNATOを基軸とする。2022年6月にはマドリードでNATO首脳会合を開催。また、イラク、レバノン、ソマリア、マリ等のサヘル地域等における国際ミッションに約3,000名の人員を派遣(2023年現在)。

2 国防

  • (1)国防予算(2023年度):128億2,500万ユーロ(GDP比1.2%(出典:スペイン国防省))
  • (2)兵力(2023年):約12.5万人(陸軍約8万、海軍、空軍各約2.2万、統合軍約3千)(出典:ミリタリーバランス)
  • (3)米西防衛協定により、南部の2基地(ロタ海軍基地及びモロン空軍基地)を米軍と共用(米軍が駐留)

3 スペインによる対外援助実施状況

ODA供与額(2022年):
約41億米ドル (出典:スペイン国際開発協力庁)

経済

1 主要産業

自動車、食料品、化学品、観光業

2 GDP

約1兆5,812億ドル(2023年)(出典:IMF)

3 一人当たりGDP

33,071米ドル(2023年)(出典:IMF)

4 経済成長率(出典:IMF)

  2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
経済成長率 2.3% 2.0% -11.2% 6.4% 5.8% 2.5%

5 消費者物価上昇率(出典:IMF)

  2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
消費者物価上昇率 1.7% 0.8% -0.3% 3.0% 8.3% 3.4%

6 失業率(出典:IMF)

  2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
失業率 15.3% 14.1% 15.5% 14.8% 12.9% 12.1%

7 総貿易額(2023年)

  • (1)輸出 3,837億ユーロ
  • (2)輸入 4,242億ユーロ

(出典:スペイン経済・通商・企業省)

8 主要貿易品目(2023年)

  • (1)輸出:自動車、燃料・鉱物油、野菜・果物、医薬品、機械、電子機器等
  • (2)輸入:燃料・鉱物油、繊維、自動車、電子機器、機械、医薬品等

(出典:スペイン経済・通商・企業省)

9 主要貿易相手国(2023年)

  • (1)輸出:フランス、ドイツ、イタリア、ポルトガル、英国、米国
  • (2)輸入:ドイツ、中国、フランス、イタリア、米国、オランダ

(出典:スペイン経済・通商・企業省)

10 通貨

ユーロ

11 経済概要

  • (1)スペイン経済は、1986年のEU加盟から1999年のユーロ導入を経て2008年のリーマン・ショックまで好調を維持、20年間でGDPは約3倍に拡大し、国民生活も大きく改善した。しかし、2008年以降、景気低迷による財政赤字の拡大、不動産バブル崩壊による金融機関の破綻、欧州債務危機に伴う国債リファイナンスの困難等に直面し、失業も深刻化。
  • (2)経済危機の中で2011年12月に発足したラホイ政権は、財政赤字削減(歳出削減と増税)、金融改革(金融機関再編と不良債権処理)、労働市場改革(解雇コストの引下げと若年労働者の雇用促進)、医療・教育・年金・地方行政等の制度改革に積極的に取り組み、それが功を奏し、2013年第4四半期から回復基調に転じ、前期比ベースでコロナ危機前の2019年第4四半期まで25四半期連続のプラス成長が続いた。
  • (3)2018年6月に発足したサンチェス政権は、財政安定化と福祉国家の再構築、経済成長の強化と質の高い雇用創出を最重要課題と位置付け、これに取り組んでいたが、新型コロナウイルス感染拡大を受けて経済は悪化し、2020年の実質GDP成長率は、先進国の中で最大の下げ幅となるマイナス11.2%を記録。なお、2021年以降は、好調なインバウンド消費及び堅調な輸出などに支えられ、堅固な成長を見せている。
  • (4)近年の世界的な金融引き締めに伴う影響や、ロシア・ウクライナ戦争及び中東危機による先行き不透明感が強まる中、2023年の実質経済成長率は2.5%と、EU内で高い水準にある。財政赤字については、新型コロナ対策のため2020年は大幅に拡大したが(GDP比▲10.1%)、2021年以降は縮小傾向にある(2023年はGDP比▲3.6%)。他方、長期失業者と若年失業者を中心とした構造的な失業問題を長年抱えているスペインは、欧州債務危機時の2013年に26.1%と史上最高値を記録したものの、各政権が講じてきた労働市場改革の効果もあり雇用情勢が改善し、2023年には12.2%まで低下した。

二国間関係

1 全般

 伝統的に良好な関係。

  • (1)1549年、フランシスコ・ザビエル到来。1584年天正遣欧少年使節団がフェリペ2世に、1615年慶長遣欧使節団(支倉常長ほか)がフェリペ3世に謁見。鎖国を経て1868年の修好通商航海条約で外交関係開設。2018年に外交関係樹立150周年を祝賀。
  • (2)我が国皇室とスペイン王室との間で緊密な交流(1994年10月、天皇皇后両陛下スペイン御訪問(国賓)、1980年10月及び2008年11月フアン・カルロス1世国王同妃両陛下訪日(国賓)、2017年4月フェリペ6世国王同妃両陛下訪日(国賓)等)。上皇陛下は4回、天皇陛下は6回御訪西、またフアン・カルロス1世前国王陛下は7回、フェリペ6世国王陛下は5回御訪日されている。
  • (3)2013年6月、日本スペイン交流400周年の開幕に合わせて皇太子殿下がスペインを御訪問。また、2013年10月の日本における交流年開幕にはラホイ首相が訪日し、安倍総理との間で行われた首脳会談で「平和、成長及びイノベーションのためのパートナーシップ」(日西首脳共同声明)を発表。また、日・スペイン新租税条約の署名が行われた。2014年1月には岸田外務大臣が、同年5月には安倍総理がスペインを訪問。
  • (4)2018年10月、日本とスペインの外交関係樹立150周年の機会に、安倍総理がスペインを訪問し、サンチェス首相との間で行われた首脳会談で戦略的パートナーシップに関する共同声明を発表。
  • (5)議会間交流については、2013年2月及び2014年2月には、それぞれスペイン上下両院議長の訪日が実現した。
  • (6)2017年4月にはフェリペ6世国王王妃両陛下が国賓訪日。同行して来日したダスティス外務・協力相と岸田外務大臣の間で「ワーキング・ホリデー制度に関する日本国政府とスペイン王国政府との間の協定」の署名が行われた。
  • (7)2019年10月の即位礼正殿の儀には、フェリペ6世国王同妃両陛下が御参列された。同年12月、マドリードで開催された第14回アジア欧州会合(ASEM)外相会合への出席のため、茂木外務大臣がスペインを訪問。
  • (8)2022年6月、岸田総理大臣が、マドリードで開催されたNATO首脳会合に日本の総理大臣として初めて出席。サンチェス首相との首脳会談も行われた。
  • (9)2022年7月、バリで開催されたG20外相会合及び2023年2月、ニューヨークで開催されたウクライナに関する国連緊急特別総会の機会に、林外務大臣とアルバレス外相との外相会談が行われた。

2 経済関係

(1)貿易

ア 貿易収支(出典:スペイン経済・通商・企業省)
(単位:百万ユーロ)
  2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
日本からスペインへ 4,133 4,359 2,894 2,982 3,942 4,653
スペインから日本へ 2,530 2,729 2,542 2,938 3,299 2,797
イ 主な貿易品目(2023年)(出典:スペイン経済・通商・企業省)

日本からスペインへ:自動車(38.2%)、鉄鋼(7.7%)、二輪自動車等(4.5%)等
スペインから日本へ:豚肉(21.8%)、自動車(11.4%)、自動車部品(7.1%)等

(2)投資

 2023年の日本の対スペイン直接投資額(ネット)は517億円、スペインの対日直接投資額(ネット)は61億円。(出典:日本銀行国際収支統計)。
 スペインにおける日本企業拠点数は404拠点(出典:海外進出日系企業拠点数調査、令和5年10月1日現在)。

(3)観光

 スペインは、コロナ禍前の2019年は年間約8,350万人の外国人観光客を受け入れていた観光大国であり、2022年9月に「観光問題に関する協力についての覚書」が更新されるなど、日本との協力が進められている。
 スペインからの訪日旅行者数は、2019年には過去最高の年間13万人(2013年の訪日旅行者数の3倍)を記録するなど、訪日旅行者数は大きく伸びた。
 新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けた2020年以降の訪日旅行者数は大幅に減少したが、水際対策終了などを受け、2023年の訪日旅行者数は大幅に回復した。

  2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
日本からスペインへ 54.7万人 67.8万人 11.3万人 2.9万人 12.4万人 31.1万人
スペインから日本へ 11.9万人 13.0万人 1.2万人 0.3万人 1.6万人 11.6万人

(出典: INE(日本からスペインへ)、JNTO統計(スペインから日本へ))

3 文化関係

  • (1)華道、盆栽などの伝統文化、空手、柔道等への関心も高いが、漫画、アニメ、ゲームなどのポップカルチャーや日本食、日本文学、科学技術等に対する関心も急速に増大し、日本文化に対する関心の深化・多様化が進んでいる。日本語学習者及び日本語教育機関の数も増えており、日本語能力検定試験受験者数も着実に増加している。
  • (2)スペイン政府の文化機関であるセルバンテス協会の東京事務所が2007年9月に開設され、スペイン語・スペイン語圏文化の普及活動を開始。2008年11月、スペイン国王王妃両陛下の御臨席の下、正式に開設された。2010年4月、国際交流基金マドリード日本文化センターが開設された。
  • (3)1994年の天皇皇后両陛下の御訪問を記念し、1999年3月にサラマンカ大学に日本・スペイン文化センターが開設。サラマンカ市における日本・日本文化の情報発信拠点となっている。
  • (4)2018年の日スペイン外交関係樹立150周年では、年間を通じてスペイン各地で500件を超える記念事業が催された。
  • (5)姉妹都市交流
     姉妹道交流も含めて計12件。
     奈良市―トレド市(1972年)、山口市―パンプローナ市(1980年)、丸亀市―サン・セバスティアン市(1990年)、呉市―マルベージャ市(1990年)、大船渡市―パロス・デ・ラ・フロンテラ市(1992年)、三重県―バレンシア州(1992年)、神戸市―バルセロナ市(1993年)、清須町―ヘレス・デ・ラ・フロンテラ市(1994年)、豊岡市―アリカンテ市(1996年)、熊野古道(和歌山県)―サンティアゴ巡礼道(ガリシア州)(1998年)、山口県―ナバーラ州(2003年)、宇部市―カステジョン・デ・ラ・プラーナ市(2019年)
     このほかに和歌山県田辺市とガリシア州サンティアゴ・デ・コンポステーラ市の観光交流協定(2014年)、四国四県とガリシア州の「遍路道とサンティアゴ巡礼道との協力協定」(2015年)、和歌山県とガリシア州の包括的協力協定(2015年)、三重県とバスク州の「世界遺産の巡礼道を活かした協力・連携に関する覚書」(2018年)、福島県とバスク州の協力覚書(2019年、2023年に更新)等の地方自治体同士の交流の動きも盛んになってきている。
  • (6)大学、留学生交流等
     毎年、語学学習を目的に多くの日本人学生がスペインへ留学しており、スペイン語学科を持つ日本の多くの大学がスペインの大学と留学生の受入れのための協定を結んでいる。それ以外にも社会科学分野を中心に日本とスペインの大学間での学術協定が締結されている。
     また、2017年7月から日本とスペインの間でワーキング・ホリデー制度の運用を開始。スペインは、日本がワーキング・ホリデー制度を導入した18番目の国・地域。

4 知的交流

  • (1)1997年以来、2024年まで計24回、「日本・スペイン・シンポジウム」をほぼ毎年交互に開催。第24回会合は2024年10月に香川県高松市で開催。
  • (2)2008年以降、科学技術振興機構(JST)と科学・技術革新・大学省との協力枠組み等を始め、日西間における科学技術交流が進展。2011年1月には日西科学技術協力協定が発効し、同協定に基づき2012年7月に第1回合同会合、2014年9月に第2回合同会合、2021年6月に第3回合同会合がそれぞれ開催された。
  • (3)特に、宇宙物理学、医療、核融合、極地に係る研究協力が活発に進んでいる。東京大学宇宙線研究所とカナリア宇宙物理学研究所、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)とSEIDI(現在のスペイン科学・技術革新・大学省)、自然科学研究機構核融合科学研究所(NIFS)とスペイン・エネルギー環境科学技術研究センター(CIEMAT)との間ではそれぞれ協力覚書を作成済みであり、加えて、大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立極地研究所とスペイン科学・技術革新・大学省との間でも2019年9月に協力覚書が作成された。
     また、情報通信、再生可能エネルギー等の分野において、民間での協力が進んでいるほか、福島県とバスク州との間で再エネ分野における連携覚書が作成される等、自治体間等における協力も拡大している。

5 在留邦人数

9,712人(2023年10月)

6 在日当該国人数

3,902人(2023年12月、法務省)

7 要人往来

(1)往(2010年以降)
年月 要人名
2013年6月 皇太子殿下
2014年1月 岸田外務大臣
2014年5月 安倍総理大臣
2014年5月 根本復興大臣
2017年1月 伊達参議院議長
2017年7月 滝沢外務大臣政務官
2018年1月 中根外務副大臣
2018年9月 世耕経済産業大臣
2018年10月 安倍総理大臣
2019年5月 平井内閣府特命担当大臣
2019年12月 小泉環境大臣(COP25)
2019年12月 茂木外務大臣(ASEM外相会合)
2022年6月 岸田総理大臣(NATO首脳会合)
2023年1月 井野防衛副大臣
2023年6月 古川国土交通大臣政務官
2023年6月 太田経済産業副大臣
2023年11月 深澤外務大臣政務官(第23回日本・スペイン・シンポジウム)
(2)来(2010年以降)
年月 要人名
2010年9月 サパテロ首相(公式実務訪問賓客)
モラティノス外務・協力相
セバスティアン工業・観光・商務相
ガルメンディア科学・イノベーション相
2011年10月 ゴンサレス・シンデ文化相(「ゴヤ光と影展」)
2012年10月 デ・ギンドス経済・競争力相(IMF世銀総会)
2013年2月 ガルシア=マルガージョ外務・協力相(外務省賓客)
ガルシア=エスクデロ上院議長(参議院招待)
2013年10月 ラホイ首相(公式実務訪問賓客)
2014年2月 ポサーダ下院議長(衆議院招待)
2014年11月 モレネス国防相
2015年2月 デ・ギンドス経済・競争力相
2017年4月 フェリペ6世国王同妃両陛下(国賓)、ダスティス外務・協力相
2018年1月 デ・コスペダル国防相
2019年6月 サンチェス暫定首相(G20大阪サミット)
マロト産業・通商・観光相(貿易・デジタル経済大臣会合(6月))、
カルビーニョ経済・企業相(財務大臣会合(6月))
2019年10月 フェリペ6世国王同妃両陛下(即位の礼)
ボレル外務・EU・協力相(即位の礼)
2021年8月 フランコ・スポーツ庁長官
2021年9月 イセタ・文化スポーツ相
2022年9月 アンデル・ヒル上院議長(故安倍晋三国葬儀)
2022年9月 バルデス観光庁長官
2024年7月 クエルポ経済・通商・企業大臣

8 二国間条約・取極

 特別通商条約(1900年)、修好交通条約(1911年)、司法共助条約(1924年)、請求権問題解決に関する取極(1957年)、査証及び査証料免除取極(1965年)、租税条約(1974年)、航空協定(1980年)、文化協定(1982年)、社会保障協定(2010年12月発効)、科学技術協力協定(2011年1月発効)、税関相互支援協定(2015年5月発効)、ワーキング・ホリデー協定(2018年6月発効)、新租税条約(2021年5月発効)

9 外交使節

  • (1)スペイン駐箚日本国特命全権大使 中前 隆博
  • (2)本邦駐箚スペイン国特命全権大使 フィデル・センダゴルタ
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