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第4回日・SAARCシンポジウム
「エネルギー効率性及び再生可能エネルギーにおける地域協力」(概要)

平成23年4月1日

 3月30日(水曜日)及び31日(木曜日),バングラデシュの首都ダッカにおいて,当省及びバングラデシュ工科大学(BUET),南アジア地域協力連合(SAARC)事務局共催による第4回日・SAARCシンポジウムが開催されたところ,概要は以下のとおり。

1.経緯

 2005年11月の第13回SAARC首脳会議においてSAARCへのオブザーバー参加が認められたことを機に,我が国は,2006年に第1回,2008年に第2回,2010年に第3回シンポジウムを開催した。第3回シンポジウムではエネルギー分野における地域協力について議論を行い,提言をまとめているが,同提言及びその後の進展を踏まえて,今回の第4回のシンポジウムでは,エネルギー効率性と再生可能エネルギーにおける地域協力のあり方や施策について議論が行われ,提言(英文仮訳)がまとめられた。

2.議論の内容

1.特別セッション

  1. (1)モニ・バングラデシュ外相より,日本の東北地方太平洋沖地震への哀悼の意を表明するとともに,日本に対する支援として毛布等の物資を提供した旨発言。また,エネルギー問題はSAARC諸国の共通の課題であり,SAARC諸国が一体となって協力する機会でもある,これまでSAARC諸国間の信頼の欠如等が問題であったが,2010年4月の第16回SAARC首脳会議ではエネルギーや水,食糧をSAARCの共通の資源として協力していく方向性が示された。今後,エネルギー分野における地域協力が進展することを願う旨述べた。
  2. (2)ハック・エネルギー国務大臣より,日本の東北地方太平洋沖地震への哀悼の意を表明するとともに,南アジア地域のエネルギー分野における日本の支援に感謝が示され,バングラデシュ政府としてエネルギー政策の目標策定,エネルギー供給の拡大,僻地での電力アクセス等改善に努めており,今次シンポジウムの提言が地域協力の土台となることを希望するとの発言があった。

2.各セッション

(1)セッション1:「SAARC諸国におけるエネルギー効率性の取組みに関する政策と実施」

 SAARC各国におけるエネルギー効率性の現状や政策,事業が紹介されるとともに,省エネルギー製品の商標の推進や技術開発,省エネルギー教育の重要性について議論が行われた。

(2)セッション2:「SAARC諸国のエネルギー効率性における協力の可能性」

 補助金による必要以上に低いエネルギー価格が省エネルギー政策を妨げる一因である点,日本の技術輸出のためには南アジア諸国が日本の技術を導入出来るよう資金枠組みを提供すべき点など政策や実施について議論が行われた。

(3)セッション3:提言のドラフトに関する意見交換
(4)セッション4:基調講演「SAARC諸国おける再生可能エネルギー資源の現状と予測」

 地域コミュニティに密着したミクロ・レベルで契約やメンテナンス等を行う事業が成功していること,また,SAARC諸国では再生可能エネルギー技術を確立した企業が少ないのが課題であることについて議論が行われた。

(5)セッション5:「SAARC諸国の再生可能エネルギー推進のための金融や技術,法規制に関する課題」

 省エネルギー政策を取り入れるための技術革新や関税,バングラデシュの貧困層への超小型太陽光発電導入や伝統的慣習について議論が行われた。

(6)セッション6:「南アジア及び他の地域の再生可能エネルギー及びエネルギー効率性開発における多国間海外投資やエネルギー協力の取組み」

 アジア開発銀行(ADB)のエネルギー効率性や再生可能エネルギー事業に対する投資(今後3年間でアジア地域における3,000MWの太陽光発電の設置等)や国際的な枠組みに基づく政策や事業展開について議論が行われた。

3.提言

 以上の議論を踏まえ,同シンポジウム参加者は,SAARC加盟国におけるエネルギー効率性や再生可能エネルギーの促進について,以下を主要点とした提言を採択した。

  1. (1)地域内での再生可能エネルギーやエネルギー効率性事業の迅速な組成のための技術オプションや資金メカニズム,政策的介入の特定。
  2. (2)地域で利用可能な事業や取組み等に基づく地域的標準・商標プログラムの策定・実施。
  3. (3)エネルギー効率性や再生可能エネルギー事業に関するSAARC加盟国の機関,専門家間の定期的な交流の促進。省エネルギーに関する啓発活動の促進。
  4. (4)SAARC首脳会議(2011年11月予定)での採択に向けて,地域協力の実施例となるプロジェクトを少なくとも1つ実施すること,エネルギー事業の越境投資への域内国待遇の提供,エネルギー取引の促進等をSAARCエネルギー閣僚会議で検討。
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