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平成22年1月
1月7日(木曜日)及び8日(金曜日)、デリーにおいて、当省及びインドのシッキム大学、SAARC事務局共催による第3回日・SAARCシンポジウムが開催されたところ、概要は以下のとおり。
2005年11月の第13回SAARC首脳会議においてSAARCへのオブザーバー参加が認められたことを機に、我が国は、2006年に第1回、2008年に第2回シンポジウムを開催した。第2回シンポジウムでは、エネルギー分野について議論を行って提言をまとめており、今回の第3回シンポジウムでは、より具体的なエネルギー協力のあり方や施策につき議論を行い、提言(英文(PDF)、和文)をまとめた。
ダービー前印外務次官、水上在印大公使、ダスタジアーSAARC事務局課長、ラマ・シッキム大学副大学長らが挨拶を行った。発言においてはSAARC加盟国が水力や天然ガス、石炭等のエネルギー関連会合を開催し議論が蓄積されてきたことによって、様々なレベルでのプロジェクトに基づく協力が進展していること、エネルギーの効率的な活用や技術移転等の気候変動問題に対する重要性、エネルギー貿易や投資の誘致によるエネルギー協力の進展はSAARC地域協力における制度調整の成果となる等言及があった。
(1)セッション1:「エネルギー協力促進の枠組み」及び「エネルギー協力に対する地域アプローチ」
これまでの経験と実現可能なSAARC加盟国による地域協力協定について議論が行われるとともに、より具体的な地域協力のアプローチとして、SAARC加盟国のエネルギー不足を解消するためのエネルギー協力やその範囲、潜在的な電力・天然ガス網プロジェクト、中央アジアや南アジアの電力貿易について議論が行われた。
(2)セッション2:「SAARCエネルギー協力促進のための課題」及び「過去のフィージビリティ・スタディの成果」
SAARC加盟国間のエネルギー協力の現状や同協力を推進するための法や規制枠組み、SAARCにおける多国間・地域機構等の役割について議論が行われるとともに、これまでに実施されたフィージビリティ・スタディの成果として、印・スリランカや印・バングラデシュ間の送電の連結、印・バングラデシュ国境の変電所、電力貿易による社会経済利益分析について議論が行われた。
(3)セッション3:「エネルギー貿易促進の課題」及び「エネルギー効率性及び省エネのための地域枠組み」
エネルギー貿易の促進に関し、SAARC加盟国間の電力網構築に関する技術面での問題点、電力網や天然ガス・石油パイプライン発展のために一つずつ積み上げていくアプローチ、地域共通のネットワークやパイプライン構築のための共通の基準づくり、公共セクターやNGOの役割について議論が行われた。また日本の専門家よりはエネルギー効率性及び省エネのための地域枠組みについて提言した。
(4)セッション4:「気候変動とエネルギー協力への影響」及び「政策議論とまとめ」
気候変動による河川システムや水力発電、エネルギー協力への影響、エネルギー安全保障と気候変動に対する南アジアの対応について議論が行われた。
最後に、SAARC域内協力や中央アジアを視野に入れた地域協力を進展させるメカニズムの構築や再生可能エネルギーの活用など、気候変動を考慮した協力、エネルギー安全保障も考慮に入れた協力の重要性につき議論された。
かかる議論の結果、同シンポジウム参加者は、SAARC加盟国におけるエネルギー協力の促進の重要性を認識し、以下を主要点とした提言を採択した。
(1)SAARCの持続的な経済発展や貧困緩和のためのエネルギー供給の拡大が重要。そのためにSAARC加盟国のエネルギー資源を最大限活用し、国境を越えたインフラによって同資源を共有することが重要。SAARC開発基金(SDF)は、地域エネルギー・プロジェクトについて重点的に活用されるべき。
(2)SAARC加盟国の協調や域外地域からのエネルギー獲得の必要性を認識しつつ、国境を越えた投資の促進、技術や経験、最善の方法を盛り込んだ「SAARC地域エネルギー枠組み協定」を進めていくべき。
(3)気候変動問題に配慮しSAARC加盟国の石油輸入依存度を減らすために、最新の技術を用いた風力、太陽、バイオマスといった再生可能エネルギー・プロジェクトを進めていくべき。
(4)地域レベルのプログラム実施のために不可欠なSAARC域内での制度的ネットワークを構築するために、定期的にエネルギー専門家が集う地域フォーラムを設置すべきである。シッキム大学が立ち上げに着手する。
(5)日本は、継続的な日SAARCシンポジウム開催を通じて、SAARC域内及び地域対話及び協力を促進するよう積極的に参加する。
(了)
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