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(仮訳)

第3回日・SAARCシンポジウム「南アジアにおけるエネルギー協力の促進」における提言
(ニューデリー、2010年1月7~8日)



 地域の社会経済発展のためのエネルギーの必要性の増加、SAARC加盟国間のエネルギーの安全保障や協力に対する地域的な要請及び地球温暖化や気候変動問題への深い懸念を認識しつつ、第3回日・SAARCシンポジウム「南アジアにおけるエネルギー協力の促進」(2010年1月7~8日)の参加者は、以下を提言した。


  1. エネルギー供給の増加は、経済的・社会的発展の加速化及びSAARC加盟国の人間開発指標向上にとって不可欠である。SAARC地域の貧困緩和を進める方途としては、貧困ライン以下で共同して暮らす何百万人もの人々に対して入手可能なエネルギーを供給することがあげられるが、SAARC加盟国に固有のエネルギー資源を最大限に活用し、国境を越えたエネルギー・インフラを通じてこうした資源を共有することにより、それが実現可能となる。
  2. 増加するエネルギー需要に応えるためには、SAARC固有のエネルギー資源の利用を促進するとともに他の地域からエネルギー供給を得るためのSAARC加盟国間による協調が必要であることを認識しつつ、「SAARC地域エネルギー枠組み協定」を検討する。SAARC加盟国間のエネルギー分野における国境を越えた投資保護及び仲裁メカニズム、技術や経験及びベスト・プラクティスの共有は、同協定の不可欠な要素たるべきである。戦略的パートナーとして民間セクターを加えた政策も推進すべきである。既存の地域開発政策のメカニズムを、SAARC加盟国間のエネルギー政策の調整及び調和のために効果的に活用する必要がある。
  3. SAARC加盟国は、輸入された燃料への依存を減らすために、最新技術を用いて、風力、太陽、バイオマス等の再生可能エネルギー・プロジェクトを推進するべきである。
  4. 電力セクターにおけるエネルギー効率性及び需要管理は、上述の分野に加えて、SAARC加盟国が注目すべき2つの重要な分野である。
  5. 規制当局、発電・送電・配電・採掘事業等のエネルギー分野に従事する専門家が、定期的に会合し、見解やアイデア、技術、成功例について意見交換できる地域フォーラムを設置すべきである。これによりSAARC域内での制度的ネットワークや連携が促進され、地域レベルのプログラムの実現において不可欠となろう。まず始めに、シッキム大学が見解やアイデア、技術、成功例について、意見交換のためのエネルギー分野の専門家によるフォーラムとして、南アジア・エネルギー・クラブ設立のアイデアを進めていく。
  6. SAARC開発基金(SDF)を、地域エネルギー・プロジェクトのために一層活用すべきである。同基金は、SAARC加盟国からのコミットメントに加え、国際金融機関からの地域プロジェクトに対する財政的支援も得られよう。
  7. 国境を越えたエネルギー貿易は、インドとネパール、ブータン、スリランカの間、また、パキスタンとアフガニスタンとの間で行われている。地域的な電力と天然ガスの相互連結を含む対象及び適用範囲を拡大することによりエネルギー貿易を拡大すべきである。このような文脈における地域電力貿易メカニズムの構築は有益であり、「南部アフリカ電力プール」のような地域電力貿易の促進に役立つだろう。
  8. 気候変動による地球温暖化に起因する気候変動及びそれによる地域のエネルギー資源への影響を、喫緊に評価する必要がある。環境や氷河専門家の協力を得て、南アジアの主要な河川システムを支える氷河の浸食や溶解の程度について、科学的調査を行うべきである。SAARC加盟国のエネルギー安全保障上の懸念について調査し、戦略化し、対処するために、エネルギー専門家の協力を求めるべきである。
  9. 南アジアにおける地域協力や開発の文脈において、エネルギー問題の議論や討論、分析における、学会及びメディアを含む市民社会の果たす役割は非常に重要かつ不可欠である。市民社会は、過去においても多くの地域協力や開発プロジェクトやアイデアを主導してきた。様々なSAARC加盟国において地域的なシンポジウムやワークショップ、会議を更に頻繁に実施することにより、このような南アジアの伝統を一層強化するべきである。
  10. SAARC加盟国は、学校の授業の一環として、エネルギー消費を減少させるためのエネルギー効率について、あるいは化石燃料への依存を減らすための再生可能エネルギー技術に関し、一章を盛り込むべきである。
  11. 日本はSAARC日本シンポジウムを継続することによって域内及び地域対話と協力を積極的に促進する。

(了)


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