パレスチナ

基礎データ

令和7年1月23日

一般事情

1 面積

約6,020平方キロメートル(西岸地区5,655平方キロメートル(三重県と同程度)。ガザ地区365平方キロメートル(福岡市よりやや広い)。)

2 人口

約548万人(2023年、パレスチナ中央統計局(PCBS))
(西岸地区 約325万人、ガザ地区 約222万人)

(注)パレスチナ難民数:約597万人(2024年、UNRWA)
(西岸91万人、ガザ159万人、ヨルダン240万人、シリア59万人、レバノン49万人)

3 パレスチナ自治政府所在地

ラマッラ(西岸地区)

4 人種・民族

アラブ人

5 言語

アラビア語

6 宗教

イスラム教(92%)、キリスト教(7%)、その他(1%)

7 略史

  • (1)1947年国連総会はパレスチナをアラブ国家とユダヤ国家に分裂する決議を採択。イスラエルは1948年独立を宣言、1967年第三次中東戦争によりイスラエルが西岸・ガザを占領。
  • (2)1993年のオスロ合意等に基づき、1995年からパレスチナ自治政府(PA)が西岸及びガザで自治を実施。
  • (3)2004年11月、アラファト・パレスチナ解放機構(PLO)議長死去。2005年1月の大統領選挙でアッバース首相(当時)が大統領に就任。
  • (4)2006年1月の立法評議会選挙において、ハマスが過半数の議席を獲得。2007年3月、サウジアラビアの仲介でパレスチナ諸派間の挙国一致内閣が成立したが、2007年6月、ハマスは武力でガザ地区を掌握。
  • (5)2012年11月、パレスチナは国連の非加盟オブザーバー国家の地位獲得に係る国連総会決議案を提出し採択(我が国は賛成)。
  • (6)2024年4月、パレスチナの国連加盟に関する安保理決議案が否決(我が国は賛成)。同年5月、パレスチナへの国連総会における新たな権利付与等に係る総会決議が採択(我が国は賛成)。

政治体制・内政

1 政府

  • 大統領:マフムード・アッバース(PLO議長を兼任)
  • 首相 :ムハンマド・ムスタファ(外相を兼任)

2 議会

パレスチナ立法評議会(PLC: Palestinian Legislative Council 132名。)
(注)現在は停止状態。

3 内政

  • (1)【大統領】2004年11月にアラファトPLO議長・パレスチナ自治政府(PA)長官が逝去したことを受け、2005年1月、PA長官(現在の呼称は大統領)選挙が実施され、アッバース氏が就任し(PLO議長も兼任)、現在に至る。
  • (2)【議会】2006年1月、パレスチナ立法評議会(PLC)選挙でイスラム原理主義組織であるハマスが過半数の議席を獲得。しかし、その後のパレスチナ内部の対立、ハマスの武力によるガザ掌握(2007年)等を受け、事実上、西岸とガザが分裂状態となり、PLCは現在に至るまで停止状態。2018年12月、憲法裁判所がPLCの解散及び6ヶ月以内のPLC選挙実施を呼びかける決定を下し、現在までPLC選挙は実施されていない。
     2021年1月15日、アッバース大統領は、同年5月22日にPLC選挙、7月31日に大統領選挙、8月31日にパレスチナ国民議会(PNC)選挙を実施すると発表したが、同年4月29日、アッバース大統領は、イスラエルの合意が得られず、東エルサレムでの選挙実施が困難であるとして、東エルサレムでの選挙実施が保証されるまで、一連の選挙を延期する旨発表した。
  • (3)【政府】2024年3月、アッバース大統領の指名に基づき、ムスタファ首相が新内閣を組閣。
  • (4)2023年10月7日、ハマス等パレスチナ武装勢力が、ガザ地区からイスラエルに数千発のロケット弾を発射。更に、1,500名規模がイスラエル側検問・境界を破って、イスラエル国防軍(IDF)兵士の他、外国人を含む市民を殺害・誘拐。これを受け、IDFがガザ地区において軍事作戦を実施。

経済

1 主要産業

サービス業(20.5%)、小売業・貿易(17.8%)、鉱工業・電気・水(12.1%)、公共・防衛(11.7%)、農・漁業(6.0%)、金融・保険(4.7%)、建設業(4.5%)、情報・通信(3.1%)、運輸業(1.5%)、家事(0.1%)(2022年GDPに占める割合、PCBS)

2 名目GDP

約186.02億ドル(2023年 IMF)

3 1人当たりGDP(GDP per capita

3,396.263ドル(2023年 IMF)

4 実質GDP成長率

-6.1%(2023年 IMF)

5 物価上昇率

15.233%(2023年 IMF)

6 失業率

28.65%(2023年 IMF)

7 総貿易額

  • 輸出 約15.61億ドル(2023年、PCBS)
  • 輸入 約77.44億ドル(2023年、PCBS)

8 貿易品目

  • 輸出品 セメント、石灰岩、オリーブなど
  • 輸入品 石油・石油製品、穀物、非金属鉱物製品など

9 貿易相手国

イスラエル(輸出の約80%、輸入の約55%)

10 通貨

独自の通貨なし
(イスラエル・シェケル)

11 為替レート

1シェケル=約39円(2024年8月)(イスラエル中央銀行)

12 経済概況

  • (1)1967年以降、イスラエルの占領下にあった西岸・ガザ地域は、同地域境界をイスラエル側が管理していたことから他国との通商は困難で、イスラエル経済への依存が進み、パレスチナの経済関連団体や金融機関は未発達なまま経済的自立性が失われた。
  • (2)1993年以降の和平プロセスの進展に伴い、ドナー国・国際機関による対パレスチナ経済支援が進むが、2000年9月末以来、イスラエル・パレスチナ間の衝突及びそれに伴うイスラエルによる自治区封鎖、移動の制限等により、経済発展は進んでいない。
  • (3)実質経済成長率は、2011年までは二桁台が続くも2013年には全体で2.8%と大幅に低下、2014年にはガザ紛争と経済封鎖により、-0.4%と2006年以来初めてのマイナス成長となった。2020年からの新型コロナウイルス感染症の流行とロックダウンにより、経済活動は落ち込み、再び-13.1%のマイナス成長を経験した。新型コロナ関連規制措置の緩和に伴う消費回復により、経済成長率の回復が見込まれるが、高い人口増加率のため一人あたりGDPは停滞気味であり、経済は十分な雇用を生んでいない。特にガザの失業率は45%以上と高止まりしており、若者を中心に住民は大きな不満を抱えている。

13 主要援助国

UAE、ドイツ、米国、スイス、EC、フランス、サウジアラビア、ノルウェー、カナダ、カタール、英国、オーストラリア、日本等(2023年、OCHA-FTS)

日・パレスチナ関係

1 政治関係

年月 略史
1977年2月 PLO東京事務所開設
1989年10月 アラファト議長訪日。PLO東京事務所の名称を「パレスチナ総代表部」に格上げ。
1995年6月 PLO東京事務所 資金難により閉鎖
1998年7月 在ガザ出張駐在官事務所(日本政府代表事務所)を開設
2003年9月 在本邦パレスチナ常駐総代表部 再開
2007年4月 在ガザ日本政府代表事務所をラマッラに移転

2 経済関係・経済協力

(1)主要品目(財務省貿易統計)

  • ア 対日輸入 医療機器、建機等
  • イ 対日輸出 オリーブオイル、石けん等

(2)貿易額(財務省貿易統計)

  • ア 対日輸入 523,004千円(2023年)
  • イ 対日輸出 32,017千円(2023年)

(3)我が国の援助(1993~2023年度までの累積)

3 在留邦人数

25人(2024年10月)

4 在日パレスチナ人数

95人(2023年12月 法務省在留外国人統計)

5 要人往来

-我が国政府要人のパレスチナ自治区訪問
年月 要人名
1995年9月 村山富市総理大臣
1996年8月 池田行彦外務大臣
1998年1月 鈴木宗男北海道開発庁長官
1998年12月 鈴木宗男官房副長官
1999年1月 高村正彦外務大臣
1999年3月 町村信孝外務政務次官
2000年3月 東祥三総括外務政務次官
2001年8月 杉浦正健外務副大臣
2002年1月 与党三幹事長
2002年5月 山崎拓自民党幹事長
2002年6月 川口順子外務大臣
2003年4月 川口順子外務大臣
2003年6月 茂木敏充外務副大臣
2004年11月 川口順子特派大使(アラファト議長葬儀のための政府代表)
2004年12月 福島啓史郎外務大臣政務官
2005年1月 河井克行外務大臣政務官(パレスチナ自治政府大統領選挙政府監視団長)、町村信孝外務大臣
2006年1月 伊藤信太郎外務大臣政務官(パレスチナ立法評議会選挙政府監視団長)
2006年7月 小泉純一郎総理大臣
2006年8月 伊藤信太郎外務大臣政務官
2007年5月 小池百合子総理大臣補佐官
2007年8月 麻生太郎外務大臣
2008年2月 中山泰秀外務大臣政務官
2010年8月 武正公一外務副大臣
2011年6月 伴野豊外務副大臣
2012年1月 山根隆治外務副大臣
2012年5月 玄葉光一郎外務大臣
2013年7月 岸田文雄外務大臣
2014年7月 岸信夫外務副大臣
2014年7月 茂木敏充経済産業大臣
2014年10月 薗浦健太郎外務大臣政務官
2015年1月 安倍晋三総理大臣
2015年6月 中山泰秀外務副大臣
2016年9月 薗浦健太郎外務副大臣
2017年4月 岸信夫外務副大臣
2017年5月 世耕弘成経済産業大臣
2017年11月 薗浦健太郎内閣総理大臣補佐官
2017年12月 河野太郎外務大臣
2018年5月 安倍晋三総理大臣
2019年12月 鈴木馨祐外務副大臣
2021年8月 茂木敏充外務大臣
2023年2月 髙木啓外務大臣政務官
2023年7月 河野太郎デジタル大臣
2023年8月 山田賢司外務副大臣
2023年9月 西村康稔経済産業大臣
2023年11月 上川陽子外務大臣
2024年2月 辻󠄀清人外務副大臣
-PLO及びパレスチナ自治政府(PA)要人の訪日
年月 要人名
1976年4月 カドゥーミPLO政治局長(自民党招待)
1981年10月 アラファト議長(日・パ議連招待)
1989年10月 アラファト議長(日本政府招待)
1996年9月 アラファト議長(日本政府招待)
1997年11月 シャアスPA計画・国際協力庁長官
1999年4月 アラファトPLO議長兼PA長官(日本政府招待)
1999年10月 アラファトPLO議長兼PA長官(パレスチナ支援調整会議出席)
2000年5月 シャアスPA国際協力庁長官
(第一回日・パレスチナ政治協議・合同委員会)
2000年8月 アラファトPLO議長兼PA長官
2002年3月 クレイ立法評議会議長
2002年12月 シャアスPA国際協力庁長官、マスリPA経済・産業・貿易庁長官
(第二回日・パレスチナ政治協議・合同委員会)
2004年2月 シャアスPA国際協力庁長官、ファイヤードPA財務庁長官
(第三回日・パレスチナ政治協議・合同委員会)
2004年7月 エラカートPA交渉担当長官、アブドルラージクPA拘禁者担当長官、シュタイエPECDAR長官
(第二回イスラエル・パレスチナ和平信頼醸成会議)
2005年5月 アッバースPA大統領(日本政府招待)
2007年3月 エラカートPLO交渉局長(第三回イスラエル・パレスチナ和平信頼醸成会議、「平和と繁栄の回廊」構想4者協議立ち上げ会合)
2007年6月 アブ・アムロPA外務庁長官(第四回 日・パレスチナ政治協議)
2008年10月 エラカートPLO交渉局長、シュタイエ・パレスチナ経済開発・復興委員会(PECDAR)総裁(第4回信頼醸成会議)
2009年11月 アブ・リブデ国民経済庁長官(日・パレスチナ政治協議)
2010年2月 アッバース大統領、マーリキー外務庁長官
2010年12月 ファイヤード首相、マーリキー外務庁長官、ジャルバーウィ計画・行政開発庁長官
2011年7月 シュタイエ・ファタハ中央委員
2011年7月 ラジューブ・パレスチナ・オリンピック委員会委員長
2012年1月 アブドラッポ・PLO執行委員会事務局長
2012年3月 ラジューブ・パレスチナ・オリンピック委員会委員長
2012年4月 アッバース大統領、マーリキー外務庁長官
2012年10月 シュタイエ・ファタハ中央委員
2012年12月 ラジューブ・パレスチナ・オリンピック委員会委員長
2013年2月 ファイヤード首相、マーリキー外務庁長官
2013年11月 ラマダン計画庁長官
2014年3月 マアーヤ観光・遺跡庁長官
2015年2月 マーリキー外務庁長官
2016年2月 ビシャーラ財務庁長官兼計画庁長官
2016年2月 アッバース大統領、マーリキー外務庁長官、オウデ経済庁長官
2016年5月 スルタン農業庁長官
2016年7月 アルアラジュ地方自治庁長官
2017年4月 オウデ経済庁長官
2018年2月 シャアス・パレスチナ大統領顧問
2018年3月 グネイム・パレスチナ水公社長官
2018年11月 ラジューブ・パレスチナ・オリンピック委員会委員長
2019年5月 ルデイネ副首相兼情報相
2019年7月 マアーヤ観光・遺跡庁長官
2019年10月 アッバース大統領
2020年1月 ホーリー・PLO執行委員兼難民問題担当局長
2021年7月 ラジューブ・パレスチナ・オリンピック委員会委員長
2022年9月 ハムダッラー元首相
2023年2月 マアーヤ観光・遺跡庁長官
2024年9月 ラジューブ・パレスチナ・オリンピック委員会委員長
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