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パキスタン・フレンズ東京閣僚会合及び支援国会合の開催
(概要と評価)

平成21年4月17日

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 4月17日に東京において開催した標記会合(31の国とIMFを含む18の機関が参加)の概要と評価は以下のとおり。主な参加者は、日本(麻生総理、中曽根外務大臣、橋本外務副大臣、御法川外務大臣政務官、吉川アフガニスタン・パキスタン支援担当大使、緒方JICA理事長)、UAE(アブダッラー外相)、豪(スミス外相)、韓国(ユ・ミョンファン外交通商部長官)、イラン(モッタキ外相)、米(ホルブルック特別代表)等。

I.概要

1.フレンズ東京閣僚会合

(1)主催国:パキスタン ザルダリ大統領(議長)

(2)会議の結果、議長声明が発出され、ザルダリ大統領のテロ対策、武装勢力打倒と、経済改革の達成に向けた政治的なコミットメントが明示され、こうしたパキスタンを支援するとの国際社会の政治的な決意が表明された。

(3)我が国からは、会議冒頭に麻生総理が国際社会のテロ対策において重要な役割を担うパキスタン支援の重要性、また地域的アプローチの重要性を強調した。(麻生総理大臣スピーチ

(4)本会合でのパキスタンとフレンズ会合メンバーの双方のコミットメントをフォローアップするため、開発、安全、エネルギー、制度構築、貿易・金融の分野で、国際的協力のためのフォローアップメカニズムを設立することとなった。次回会合はトルコで開催予定。

(参考)パキスタン・フレンズ会合

 経済問題、テロ対策等の困難な課題に取り組むパキスタン政府を国際社会が一致して支持する姿勢を示すとの目的で、昨年9月の国連総会時、パキスタン(ザルダリ大統領)が関係国を集めて第一回閣僚会合を主催したもの。

2.支援国会合

(1)共催:我が国及び世界銀行

(2)国際的な食料価格や石油価格の高騰に加え、金融危機に伴う世界経済の減速の影響を受け、昨年11月にIMFからの76億ドルの融資を得て、当面の危機を回避したパキスタンを国際社会としてどの様に支援していくかにつき議論した。パキスタンのタリーン財務担当顧問から経済改革やIMFプログラムの着実な実施等の取組についての説明と決意が表明された。その後、パキスタンが直面する経済的な課題、短期的な開発ニーズについて議論した。(議長声明

(3)日本は中曽根外務大臣がスピーチを行い、フレンズ閣僚級会合で示されたパキスタン政府の経済改革やテロ対策に向けた固い決意を評価しつつ、IMFプログラムの着実な実施を前提に、10億ドルの支援を表明した。

(4)会議の結果、パキスタンの支援要請額40億ドルに対して、50億ドル以上の支援表明があり、パキスタンの経済改革と安定のため国際社会が積極的な支援を示すとの所期の目的は、十分に達成された。

II.評価

(1)テロ撲滅に向けた国際社会の取組が正念場にある中、アフガニスタンと国境を接するパキスタンの平和と安定は国際社会の重要課題。我が国はフレンズ閣僚会議を東京で開催する機会に、パキスタン支援国会合を世銀と共催するとともに、ザルダリ大統領を招くことにより、パキスタンのテロ対策と経済改革への取組に向けた大統領自らのコミットメントを引き出すとともに、パキスタンの安定的な発展に向け、国際社会の結束した支援を主導。国際社会の責任ある一員として、時宜にかなった貢献ができた。

(2)特に、今回の会合は、(イ)オバマ政権の「包括的な対アフガニスタン・パキスタン新戦略」の発表(3月27日)、(ロ)「アフガニスタンに関するハーグ会議」(3月31日)、(ハ)NATO首脳会議(4月)の流れの中で開催された。この一連の会合では、アフガニスタン・パキスタンを一体として捉えようとする地域的アプローチが強調され、更に、オバマ政権の「新戦略」に見られるように、テロ対策でのパキスタンの重要性が指摘されるようになっていた。そのような背景の下、開催された今回の会合は、国際社会のパキスタンへの支援に弾みを付けるとともに、我が国と同様に地域的アプローチをとる米国等友好国との政策協調の面でも、極めて有益なものであった。

(3)今後は、今回の一連の会合で示されたテロ対策と経済改革に関するパキスタンのコミットメントの具体的な実施をフォローアップするとともに、国際社会として、関係国・機関が効果的に連携しつつ、パキスタンの安定的発展を実現するための具体的な施策を行うことが重要。

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