中東
パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合「民間セクター促進会合」(概要と評価)
平成25年12月3日


12月2日及び3日、東京にて、「パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合(CEAPAD:Conference on the Cooperation among East Asian countries for Palestinian Development)」の下、「民間セクター促進会合」が開催されたところ、概要と評価は以下のとおり。なお、同会合は日・パレスチナ共催で、パレスチナからはラマダン企画庁長官が出席した。
1 会合概要
(1)日時:12月2日(開会レセプション)、3日 (本会合)
(2)場所:三田共用会議所 (東京)
(3)意義・目的:
本件会合は、パレスチナ支援をアジア諸国で協議するCEAPADの第1回閣僚級会合(本年2月に日・パレスチナで共催)の共同声明に基づき開催。本会合は、アジアの官民の知見や資源を活用して、「二国家解決」の基礎となるパレスチナ経済発展のために民間セクター強化に取り組むこと、また、現行の直接交渉に臨むパレスチナを経済面から後押しすることを目的としている。
(4)参加者:官民併せて約50人参加
- 政府: 日本(主催)、パレスチナ(共催)、ブルネイ、インドネシア、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、豪州、インド、ノルウェー、米国
- 国際機関: イスラム開発銀行(IDB)、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)、カルテット事務所
- その他:JICA、JETRO、三菱商事株式会社、オルター・トレード・ジャパン、アサカ・コーポレーション株式会社、KOICA(韓国国際協力団)、KADIN(インドネシア商工会議所)、パナソニック・ゴーベル・インドネシア株式会社、シンガポール・マレー系商工会議所、パルトレード社(パレスチナ企業)、マグラビ・エンジニアリング社(パレスチナ企業)、アスヤーフ貿易投資社(サウジ企業)、イスラエル・パレスチナ商工会議所(イスラエル人)、他
2 議論の概要
(注)第5部を除き、全てのセッションは官民合同で実施。
(1)会合冒頭、飯村政府代表から本会合の意義等について発言した後、ラマダン企画庁長官よりパレスチナ経済の現状と今後について説明。
(2)第1部では、パレスチナから2014-16年の経済開発計画やビジネスの潜在性につきプレゼン。その後、カルテットから、パレスチナ経済の現状と今後の見通しを、また、米から和平交渉の現状を説明。
(3)第2部では、アジア諸国、ノルウェー、IDB、UNRWA、JETROからパレスチナ民間経済の強化に資する取組等を紹介。
(4)第3部では、カルテット、米政府、JICAから現行の支援案件をそれぞれ紹介。
(5)第4部では、民間企業から、パレスチナのビジネス環境への評価・展望・要望等が提起された。パレスチナ企業家よりパレスチナのビジネス機会、女性の経済活動等を、イスラエル人企業家よりイスラエル・パレスチナ商工会議所の活動状況を、三菱商事よりパレスチナへのビジネス展開の可能性を説明。
(6)第5部では、政府・国際機関関係者のみで成果文書の最終調整を行った。
3 評価
(1)本会合は、以下の内容を含む成果文書を採択し(2014年予定のCEAPAD第2回閣僚級会合に提出予定)、民間経済強化に資するパレスチナ支援を呼びかけ。
- パレスチナ、JICA、IDBが、アジア諸国等の協力を得て、パレスチナへの人材育成支援を強化するためのメカニズムを設立することを確認。
- 人材育成支援、貿易・投資拡大に向けた貿易フェア―やワークショップ実施、パレスチナのビジネス・ミッションの受入れ準備、日本の支援プロジェクトである「ジェリコ農産加工団地」への協力等を検討することを確認。
- パレスチナと東アジアのビジネス関係者のネットワークを促進する施策を検討。
(2)ドナーベースを一層拡大するため、インドや豪州を含め、更なるアジア諸国の参加を呼びかける方針を確認。
(3)和平交渉を仲介する米政府、パレスチナ支援調整会合(AHLC)議長国であるノルウェー、パレスチナ支援を計画するカルテット事務所等も特別参加。アジア諸国に対して、それぞれのパレスチナ支援への協力を要請。
(4)本会合にはイスラエルやアラブの民間人も参加。イスラエルとパレスチナのみならず、アラブ及びアジア諸国との信頼醸成にも貢献。
(5)本会合マージンでは参加国・国際機関同士の会談も開催され、パレスチナ支援のための新しいパートナーシップ形成に寄与。