アジア

マヒンダ・ラージャパクサ・スリランカ大統領夫妻の訪日(概要と評価)

平成25年3月15日

 
1.日程概要
(1)マヒンダ・ラージャパクサ大統領夫妻は,3月12日~15日,公式実務訪問賓客として訪日した。
(2)12日,多摩動物公園にてスリランカ象の歓迎式に出席した。
(3)13日,麻生副総理兼財務大臣,岸田外務大臣,小野寺防衛大臣,河井衆議院外務委員長,明石・スリランカの平和構築及び復旧・復興担当政府代表の表敬を受けた。
(4)14日,日・スリランカ友好議連関係者との朝食会が行われた後,天皇皇后両陛下が御会見になられ,宮中午餐を催された。同日夕刻,安倍晋三内閣総理大臣との間で首脳会談及び夕食会が行われた。
(5)15日,茂木経産大臣の表敬を受けるとともに,ビジネス界との意見交換を行った。
 
2.首脳会談
 14日夕刻,約45分にわたり,海洋協力,経済・経済協力,国民和解,地域情勢・国際場裡での協力等につき率直な意見交換を行った。会談後,「国交樹立60周年を越えた日本・スリランカのパートナーシップの強化」と題する共同声明の署名式を行った。
(1)海洋
 安倍総理から,自由で開かれた海洋は「公共財」であり,同じアジアの海洋国家として海洋を巡る共通の課題に関し協力や対話を進めたい旨述べました。また,海上自衛隊艦艇の寄港時の協力に謝意を表するとともに,今後の防衛当局間の交流や海上保安当局の能力向上のための協力も拡大したい旨述べた。これに対し,ラージャパクサ大統領から,海洋の自由という考えに同意する,海上自衛隊艦艇についてはいつでも寄港してもらいたい,引き続き海洋の分野で協力したい旨述べた。
(2)経済・経済協力
(ア)安倍総理から,総額約411億円の円借款と約27億円の無償資金協力の供与を決定した旨述べるとともに,日本の技術も活用し,スリランカのインフラ整備に協力したい旨述べた。また,両国の経済を活性化させ,更なる貿易・投資の拡大を推進したい旨述べた。これに対し,ラージャパクサ大統領から,これまでの日本の支援に感謝する旨述べた。
(イ)地上デジタル放送に関し,安倍総理から,地上デジタル放送の日本方式採用を前向きに検討して欲しい旨述べたところ,ラージャパクサ大統領から,スリランカ技術委員会の報告書を見て公平に判断したい旨述べた。
(3)国民和解
(ア)安倍総理から,国民和解・復興に向けたスリランカ政府の努力を評価し,今後とも人権問題を含む国民和解実現に向けたラージャパクサ大統領の指導力に期待を表明するとともに,特に北部州議会選挙の実施や国会選任委員会(PSC)での協議開始等での進展を働きかけた。
(イ)これに対し,ラージャパクサ大統領から,今後も「過去の教訓・和解委員会」(LLRC)報告書に従い努力したい,北部州議会選挙に関しては9月に実施する予定である,国会選任委員会についてもきちんと努力する,人権問題・説明責任問題については必要な対応をしっかり行っていく準備がある旨述べた。
(4)地域情勢・国際場裡での協力等
 その他,国連安保理や東アジア地域情勢,文化交流や青少年交流についても意見を交わした。
 
3.岸田大臣表敬
13日午前,岸田外務大臣がラージャパクサ大統領を表敬し,一昨年の東日本大震災に際し,スリランカから多大な支援を受けたことに対し心から謝意を表したのに対し,ラージャパクサ大統領から,2004年のスリランカでの津波被害への支援をはじめ,これまでの日本の一連の支援に謝意が表明され,日本への連帯の意が表明された。また,岸田大臣より,内戦終了後の人権問題を含む国民和解・復興に向けたスリランカ政府の努力を歓迎し,継続的な取組を働きかけたところ,ラージャパクサ大統領から,明石康政府代表の外交努力をはじめとする日本政府の一貫した平和構築への関与及び支援に謝意が表明された。
 
4.評価
(1)スリランカは,民主主義的価値を共有し,インド洋上シーレーンの要衝に位置する国であり,高い経済成長率を維持し,地域のハブとなる潜在性を有している。日スリランカ国交樹立60周年の翌年に行われた今回のラージャパクサ大統領夫妻の約5年ぶりの訪日は,そのような伝統的親日国であるスリランカと我が国との関係を改めて強化するものとなった。
(2)首脳会談をはじめとするさまざまな会談において,幅広い分野での協力の重要性を確認したが,特に,海洋分野では,防衛当局間の協力及び交流の推進,海上保安機関間の協力を拡大していくこと,また,経済分野では,政府間経済協議を促進し,二国間貿易及び日本からの対スリランカ投資を強化していくことで一致した。
(3)我が国が一貫して関与してきたスリランカの平和の定着に関しては,国民和解の重要性を再確認し,安倍総理から,特に北部州議会選挙の実施や国会選任委員会(PSC)での協議開始等での進展を働きかけたのに対し,ラージャパクサ大統領からは,国民和解促進のための具体的な決意が表明された。
(4)両国間の初の共同声明「国交樹立60周年を越えた日本・スリランカのパートナーシップの強化」が両国の協力の方向性を示す文書として両首脳により署名された。

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