欧州
第20回OSCE外相理事会の概要
平成25年12月10日
12月5日~6日,キエフ(ウクライナ)において第20回OSCE外相理事会が開催され,坂田東一駐ウクライナ大使(5日)及び飯村豊政府代表(6日)が日本代表として出席したところ,概要以下のとおり。
【ポイント】
- 第20回OSCE外相理事会には,加盟57か国及び協力のためのパートナー11か国のうち,40か国程度の外相が参加。
- 各国代表が,OSCEの活動分野である政治・軍事,経済・環境及び人権・民主主義等にかかる課題や取組について発言。
- 坂田東一駐ウクライナ大使が5日にOSCEトロイカ(本年議長国(ウクライナ),前年の議長国(アイルランド),来年の議長国(スイス))とアジア・パートナー国会合において日・OSCE関係及び日本の外交政策について発言。
- 飯村政府代表は,6日の全体会合において積極的平和主義の立場からの日本の安全保障政策について説明し,日本が2014年に開催を予定する日・OSCE共催会議への理解と協力を求めた。
- 一日目は多数の国がスピーチ冒頭において,ウクライナ政府がEUとの連合協定の署名を停止したことに抗議するデモについて,民主主義,表現の自由,集会の自由といったOSCEの価値に沿った対応をするようウクライナ政府に求める意見を表明。
- 二日目は理事会の冒頭でネルソン・マンデラの逝去に対して参加者全員で黙祷を捧げた。個別のスピーチにおいても哀悼の意を表明する国が相次いだ。
- OSCE加盟国間の自主的な専門用語の提供,最低でも年3回の専門家会合の実施等を規定した世界初のサイバー空間における信頼醸成措置に関する決議を採択。
- 2013年の議長国をスイスが努めること及び第21回OSCE外相理事会を同国のバーゼルにおいて2014年12月4-5日の日程で開催することを決定。
1.OSCEトロイカとアジア・パートナー国会合
- (1)OSCEトロイカとアジア・パートナー国の間で,協力のあり方や将来の可能性につき意見交換を行った。
- (2)この会合において,坂田東一駐ウクライナ大使は,日本が2014年に東京で開催予定のアジア・パートナー国共催会議について,厳しさを増す東アジア地域における安全保障環境を踏まえ,アジアはOSCEといかなる協力を推進していくべきかにつき議論を深めたい旨述べ,関係国の協力を求めた。
2.本会合における飯村政府代表の演説(骨子)
冒頭,ネルソン・マンデラ元南アフリカ大統領の逝去に対し,哀悼の意を表明した後,概要以下のとおり発言。
- グローバル化と相互連結の時代において脅威は国境を越える。世界のどの地域で起こった事態も他の地域に大きな影響を与える。1カ国では平和と安全保障を維持できず,国際社会が協力して紛争や不安定な状況に取り組むことが重要。
- 安倍政権下において日本は「積極的平和主義」を推進。フィリピンの台風にみられるような災害救援,シリア難民への支援,パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合(CEAPAD)等を通じて最大限,人道支援や平和構築に貢献していく。
- 東アジアの安全保障環境に関しては,海上の安全保障が特に重要かつ喫緊の課題。航行の自由は世界平和と繁栄の基礎であり,東アジアの海を開かれ安全に保つことは域内のみならず,全世界の利益。力による一方的な現状変更を許してはならない。国連海洋法条約を始めとする国際法に従い平和に紛争を解決すべき。
- 日本は,2014年にOSCEとアジア・パートナー国との共催会議を主催する。関係国の関心に応えるよう努めるので支援をお願いしたい。
(参考)
OSCEは,北米から欧州,中央アジアの57か国が加盟する安全保障機構。外相理事会は,原則として年1回開催。日本は,協力のためのアジア・パートナー。