中南米
シンプソン=ミラー・ジャマイカ首相の訪日(概要と評価)
平成25年11月8日
1.日程概要
- (1)シンプソン=ミラー首相は,11月4日~8日,実務訪問賓客として訪日した。
- (2)5日,秋篠宮殿下と御接見した。同日夕刻,安倍晋三内閣総理大臣との間で首脳会談及び夕食会が行われた。また,竹田・日本オリンピック委員会(JOC)会長による表敬を受けた。
- (3)6日,日・ジャマイカ友好議連及び日・カリブ友好議連の共催よる懇親会,ビジネス関係者との意見交換が行われた。
- (4)7日,ビジネス関係者との意見交換,在京ジャマイカ大主催レセプションが行われた。
- (5)8日,IDB主催「日本-ラ米 ビジネスフォーラム」に出席し,スピーチを行った。
11月5日午後6時頃から45分間,安倍晋三内閣総理大臣は,実務訪問賓客として来日中のポーシア・シンプソン=ミラー・ジャマイカ首相と首脳会談を行ったところ,その概要は以下のとおり。首脳会談後,共同声明(骨子(和文)(PDF),英文(PDF)
,和文(PDF)
)への署名が行われた。また,両首脳立ち会いの下,髙瀨駐ジャマイカ大使とアリコック駐日大使による「技術協力に関する日本国政府とジャマイカ政府との間の協定」への署名が行われた。その後,両首相は夕食会において,両国のスポーツ,教育,投資関係等につき歓談した。
- (1)総論
- (ア)安倍総理より,日ジャマイカ外交関係樹立50周年を来年に控えての訪日を歓迎し,両国が民主主義,法の支配といった基本的価値観を共有し,同じ島国・海洋国家として長年友好・協力関係を構築してきた,関係を一層発展させたい旨述べた。
- (イ)シンプソン=ミラー首相より,日本の歓待に謝意を表しつつ,50年におよぶ歴史的友好の絆を確認したい旨述べた上で,2020年のオリンピック・パラリンピック招致を祝した。
- (2)二国間関係,国際場裡における協力
- (ア)シンプソン=ミラー首相より,これまでの日本の支援に感謝を述べるとともにハイレベルの対話継続,文化交流の強化を望むこと,また,民間活力による経済成長を重視するところ,日本からの一層の投資および貿易の多様化を期待している旨述べた。また,再生エネルギー,省エネルギー,鉱物資源開発などの面での日本の知見への期待が表明された。更に,安倍総理の推進する経済再生戦略は国際経済の再生のためにも重要であるとして成功への期待を表明した。
これに対し,安倍総理より,支援を引続き行っていくと述べるとともに,互恵的経済関係の強化,人的・文化的交流の一層の強化をしていきたい旨述べた。 - (イ)シンプソン=ミラー首相より,カリブの小島嶼国としては,小島嶼国の脆弱性にかんがみ援助供与に関する伝統的な所得基準を見直してほしい旨述べた。これに対して安倍総理は,国内の格差や脆弱性への対処という要素も重要であり,ジャマイカ等の要望や懸念を十分踏まえて真剣に検討していきたい旨述べた。
- (ウ)両首脳は,2014年の日カリブ交流年及び第4回日・カリコム(カリブ共同体)外相会合が有意義な成果を生むよう協力していくことで一致した。
- (エ)両首脳は,このほか,国連安保理改革,ポスト2015年開発目標,気候変動等の国際場裡においても協力していくことで一致した。
- (オ)最後に,シンプソン=ミラー首相より,是非,ジャマイカを訪問してほしいとの招請があり,総理より検討したい旨述べた。
- (1)ジャマイカは,民主主義,人権,法の支配といった基本的価値を共有し,同じ島国・海洋国家として日本とは伝統的な友好関係を構築している。2014年の日・ジャマイカ外交関係樹立50周年を控えての今回のシンプソン=ミラー首相の訪日は,そのような伝統的友好国であるジャマイカと我が国との関係を改めて強化するものとなった。
- (2)首脳会談をはじめとするさまざまな会談において,2014年の外交関係樹立50周年及び日・カリブ交流年を契機として交流を活性化することで一致した。特に,経済,スポーツ,観光,人的交流といった幅広い分野において二国間関係を進展させていくことで一致した。
- (3)ジャマイカは,カリブ共同体(カリコム)における対外交渉を担当する主要国であり,気候変動,海洋生物資源の持続的利用,国連改革等について,地域及び国際場裡におけるカリコムを通じた連携強化でも一致した。
- (4)両首脳が署名した「共同声明」では,これまでの両国の協力・友好関係を確認するともに,両国関係強化に向けた協力の方向性を示すことができた。また,技術協力協定により,より円滑な協力の実施が可能となった。