12月1日~2日,アスタナ(カザフスタン)においてOSCE首脳会合が開催され,伴野外務副大臣が日本政府代表として出席したところ,概要は以下のとおり。
【ポイント】
- 首脳会合では,各国代表が欧州安全保障の現状と課題,国境を越える脅威等への対処及びOSCEの今後の役割等に関してスピーチを行った。
- 2日午前,伴野外務副大臣は,スピーチを行い,北朝鮮の核・弾道ミサイル・拉致問題及び先般の韓国に対する砲撃並びに中国の透明性を欠いた国防力の強化等に言及し,東アジアの安全保障環境についてOSCE首脳会合参加国の理解を求めた。また,アフガニスタンに対するOSCEの関与を歓迎すると共に,パートナー国として今後もOSCEとの連携を深める旨表明した。
- また,伴野外務副大臣は,OSCEトロイカ(ギリシャ,カザフスタン,リトアニア)とアジア・パートナー国の会合に参加,さらには,キルギス大統領,ルクセンブルク副首相兼外相,マルタ副首相兼外相,カザフスタン副首相兼産業新技術相,デンマーク外相及びカザフスタン外務次官と会談を実施した。
【概要】
1.OSCE首脳会合(アスタナ)の概要
(1)全般
- ア 11年ぶりとなる首脳会合は2日間開催され,グルジア,ナゴルノ・カラバフ,沿ドニエストル等における紛争の解決・防止,アフガニスタン支援,テロ等の国境を越える脅威への対応,軍備管理,人権尊重,法の支配の強化等,多くの課題に対してOSCEが今後果たすべき役割等に関して各国代表がそれぞれスピーチを行った。
- イ 各国スピーチの中で,日本,韓国,英国,スペイン,ルクセンブルク,トルコ,オーストラリアが先般の北朝鮮による韓国に対する砲撃を批判した。
(2)採択文書
- ア 最終的にOSCEの活動に関わる原則事項等を再確認した内容の「アスタナ宣言」を採択した。
- イ 安全保障上の個々の課題に対する具体的対策やOSCEの活動の今後の具体的方向性を盛り込んだ「行動計画」が採択文書に記述されることを多くの国が期待していたが,凍結された紛争等を巡り議論がまとまらず,「行動計画」が採択文書に記述されるには至らなかった。
(3)二国間会談
首脳会合が開催された2日間で,伴野外務副大臣は,OSCEトロイカ(ギリシャ,カザフスタン,リトアニア)とアジア・パートナー国(日本,韓国,オーストラリア,モンゴル,アフガニスタン,タイ)の会合に参加したほか,キルギス大統領,ルクセンブルク副首相兼外相,マルタ副首相兼外相,カザフスタン副首相兼産業新技術相,デンマーク外相及びカザフスタン外務次官と会談を実施した。
- 伴野外務副大臣によるオトゥンバエヴァ・キルギス大統領表敬(概要)
- 伴野外務副大臣とイセケシェフ・カザフスタン副首相兼産業新技術大臣との会談(概要)
- 伴野外務副大臣とボージ・マルタ副首相兼外相との会談(概要)
- 伴野外務副大臣とエスパーセン・デンマーク外相の会談(概要)
- 伴野外務副大臣とアッセルボルン・ルクセンブルク副首相兼外相との会談(概要)
2.伴野外務副大臣ステートメント(骨子)(スピーチ・日本語/英語)
- 広いユーラシア大陸を挟んだ環大西洋地域とアジアの安全保障は分かち難く連結。
- 北朝鮮の核・弾道ミサイル・拉致問題,先般の北朝鮮による韓国に対する砲撃,さらには中国の透明性を欠いた国防力の強化等を懸念。このような東アジアの安全保障環境下で日本は日米安保体制を中核とする日米同盟を一層深化・発展。
- 日本は,OSCEによるアフガニスタンへの関与・取組の強化を歓迎。
- 日本は,パートナー国としてOSCEとの連携を深めつつ,国際社会の平和と安定に尽力。